はじめに 本稿ではデカルト『情念論』における「精神」の概念について考察する。筆者の問題関心についてはすでに「デカルト『方法序説』覚書(1)」の「はじめに」で以下のように述べておいた。 私の問題関心は「魂」「心」「精神」「意識」「知能/知性」の概念をどのように整理すべきなのかと言う点にある。これらの概念は、外国語でいえば、soul(英), mind(英), spirit(英), conscious(英), intelligence(英), Seele(独), Gesit(独), Bewusstsein(独), ψυχή(Psyche,希), πνεῦμα(Pneuma,希), mens(羅), …