昴が赦しを示し、その場にいた人々が随喜の涙を流したあの日から、 彼の周囲にはこれまでになかった静かな変化が訪れていた。 職場の同僚の態度も、少しずつ柔らかくなり、 顔を合わせたときに交わす言葉のトーンが温かくなっているのを感じた。 ある朝、昴がいつものように会社へ向かう途中、 いつもはそっけなかった同僚の一人が声をかけてきた。 「昴さん、最近なんか変わったな。なんか、いい顔してるよ」 昴は驚きながらも、ほんの少し照れくさそうに笑った。 「ああ、護摩の火のおかげかな。 何かを許して、自分が楽になったのかもしれません」 同僚はうなずき、微笑んだ。 また、昴は日々の小さな出来事に感謝の気持ちを持つよ…