五山の禅僧には、宗教活動を行う「西班衆」と、寺院の経理や荘園の管理を担う職能集団の「東班衆」がいたことが分かっている。これはどんな宗派の寺院も一緒なのだが、巨大な寺院群を運営していく以上、このように役割を分担せざるを得ないのである。 例えば旧仏教の一員である根来寺のケースを見てみよう。これまでの記事でさんざん紹介済みだが、根来寺には上級僧侶である「学侶方」と、下級僧侶である「行人方」がいた。そして両者の間には、はっきりとした身分の差があったのである。下級僧である行人は、あくまでも学侶僧の修業を補助する存在であり、学侶僧が参加する法会などには参加する資格はなかった。(最も時代が下っていくと、行人…