村上靖彦氏は、東京大学大学院総合文化研究科で学び、パリ第7大学で基礎精神病理学・精神分析学の博士号を取り、現在は、大阪大学大学院人間科学研究科教授。専門は、現象学的な質的研究だとのこと。手元にあるのは、2024年の第6版である。 以前に『客観性の落とし穴』(ちくまプリマー新書2023)を読ませていただいた。 【2つの対照的な光景】 まえがきに、氏は、亡くなった家族の医療についての思い出を2つ記す。 「ひとつは、…祖父が都心の病院のICUに入院したときのこと…私が二重のドアを抜け、窓がない新築の病棟に入ると、ひとりの若い看護師が…私に挨拶することもなく、祖父の足元のモニターだけを注視していた。祖…