姫君の顔からもまた目は離せなかった。 日蔭《ひかげ》の子として成長していくのが、 堪えられないほど源氏はかわいそうで、 これを二条の院へ引き取って できる限りにかしずいてやることにすれば、 成長後の肩身の狭さも救われることになるであろうとは 源氏の心に思われることであったが、 また引き放される明石の心が哀れに思われて 口へそのことは出ずにただ涙ぐんで姫君の顔を見ていた。 子心にはじめは少し恥ずかしがっていたが、 今はもうよく馴れてきて、 ものを言って、笑ったりもしてみせた。 甘えて近づいて来る顔が またいっそう美しくてかわいいのである。 源氏に抱かれている姫君は すでに類のない幸運に恵まれた人…