デンマークの哲学者キルケゴールは、その著書で死に至る病とは絶望であると主張しました。そして絶望とは自己喪失であり、自己喪失は自己と造物主 との関係を喪失した状態と定義しています。 キリスト教徒のキルケゴールにとって、造物主との関係が自己のアイデンティティ(存在証明)だったのでしょう。また、氏は「真のキリスト教徒以外は造物主との関係を喪失した罪人であり、自覚の有無を問わず全員が絶望している」とも主張しています。 キルケゴールは、ヘーゲルの弁証法(弁証法そのものは、アリストテレスの時代から存在する)を批判した事で有名になった人物です。例えるなら弁証法は思考の積み上げであり、氏が提唱した逆説弁証法は…