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弁証法

(一般)
べんしょうほう

 この世のすべての概念は、正(テーゼ)、反(アンチテーゼ)、合(ジンテーゼ)の三つに分けられるという考え方や、その方法。

 (dialectic)本来は対話術の意で、ソクラテス・プラトン達によるとイデアの認識に到達する方法であったとのこと。

 アリストテレスは多くの人が認める前提からの推理を弁証的と呼び、学問的論証と区別した。彼の学派の弁証法は初源的と目される。それは、

・「ある状態について、[その状態は本来あるべき姿ではない](第一の否定)この「姿ではない」をそうではない(第二の否定)とすれば、本来のあるべき姿に戻ると説明される。ここには「否定の否定」の論証がある。

なお、中世では自由七科の一つとされた。またカントは錯覚的な空しい推理を弁証的と呼び、弁証法を「仮象の論理」とした。

 シュライエルマッハーは対話的思考によって思考と存在とを動的に一致させ、主体の世界認識と神認識を深化させる根本学問として弁証法を構想した。

 ヘーゲルは思考活動の重要な契機として抽象的・悟性的認識を思弁的・肯定的認識へと高めるために否定的理性の働きを弁証法と呼び、これによって全世界を理念の自己発展として認識しようと試みた。
 
 マルクス・エンゲルスは唯物論の立場からヘーゲルを取り入れ、弁証法を「自然、人間社会および思考の一般的な発展法則についての科学」とした(唯物弁証法)

 キルケゴールはヘーゲル的な弁証法を量的な弁証法と批判、神と人間との質的断絶を強調しつつ、宗教的実存へと高まりゆく人間存在を質の弁証法で説明した。これはK.バルトの弁証法神学に影響を与えた。ほかに、西田幾多郎の絶対矛盾の自己同一という弁証法、アドルノの否定的弁証法などがある。
 
 

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