はじめに 日本の酒文化には、長い歴史と深い味わいがあります。そして、それを注ぎ、口に運ぶための「酒器」にもまた、同じくらいの物語が宿っています。酒を楽しむとき、器を選ぶことは、味わいに変化を与え、場の雰囲気を左右する重要な要素なのです。 本記事では、酒器に焦点を当て、その種類、産地、歴史的背景を詳しくご紹介します。 1. 日本酒と酒器のはじまり 日本で本格的に酒と器が文化として結びついたのは、稲作文化が発展したかれでしょう。古代から中世にかけて、酒は神に捧げる神聖な飲み物でもあり、祭祀や儀式に欠かせないものでした。 器の素材は当初、木や竹、漆が主流でしたが、奈良〜平安時代には陶器や土器も登場。…