インド料理の「ソース」を意味する語から英語に転写された際には curry だったのに、日本ではなぜかカレーと言われることが多い。
もとがソースだけにこれと言った定型は無い。
レシピはそれこそ千差万別。極論するとなんでもあり。
遠藤哲夫氏は、その理論のなかで、ソースだけを論じるのではなくライスとともにある料理たる観点を導入することによって、その料理が、アジア全域にひろがる < ぶっかけ飯 > のヴァリエーションである、という(傾聴すべき)観点を導入している。
「めざめよ、諸君、ほんとうのカリー(ほんとうのカレー)などどこにも存在しない」(逆にいえば、すべてが、ほんとうのカリーである)という説でもあります。
語源についてやや厳密に言えば、一般に、カレー(curry)という語は、タミル語の「Kari」(ソースを意味する)であり、ポルトガル人によって紹介され、英語に入って世界中に広まったとされる。
ただし他方にカンナダ語の「Karil」や、はたまたオランダ語の「gelei(ケレー)」への着目をうながす声もあり、定説とは言えない。
また、9世紀南インドの資料にすでに、寺院で、神への捧げものとして野菜を調理するのに、ターメリック、クミン、コリアンダー、胡椒、マスタード、タマリンドがもちいられたことが記されているそうな。そのほかシナモン、クローブ、カルダモン、ナツメグ、フェンネルなども用いられていたとされる。ただし、唐辛子は新大陸から伝えられたもので、16世紀以降のことだといわれる。(『南インドを知る事典』平凡社刊より、この項執筆 寺島貴子を、上1段落だけは、ほぼ引用した)