2000年頃、日本企業では年俸制が流行し、多くの企業が導入を進めた。当時の背景には、バブル崩壊後の経済低迷や、欧米型の成果主義を取り入れようとする動きがあった。特に外資系企業やIT業界などで積極的に採用され、個人の能力や成果に応じた給与体系が、従来の年功序列型の賃金制度に代わるものとして期待された。しかし、年俸制を導入した多くの企業が、その後見直しや廃止を進めることとなった。では、なぜ年俸制は広まったものの定着しなかったのか。その背景には、成果主義の弊害、経済環境の変化、モチベーション低下、人事制度とのミスマッチなど、さまざまな要因が絡んでいる。 まず、成果主義の弊害が大きな要因の一つとなった…