16世紀にドイツから始まった、堕落したキリスト教会を批判する革新運動。キリスト教を「キリストの教え本来の姿」に戻すことを目的とした。
牧師マルティン・ルターが、罪が軽減されるとして教会が販売していた証明証「贖宥状(しょくゆうじょう)」*1を、「お金を払えば罪が許される制度」であり「堕落だ」として批判したことがきっかけとなった。
結果、プロテスタントがカトリック教会から分離したこの宗教改革は、宗教面のみならず、政治・経済・社会に大きな影響を及ぼした。
*1:以前は免罪符と訳されていた
1.日本のアイデンティティ ヨーロッパは海の道から「生」の時代を作り出し、日本は海の砦から「死」の時代を作り出しました。 フランスのアナール派の歴史学者プローデルが大著「地中海」で「海は文明の行き来する場所である」と定義付けました。彼の著書では地中海はスペインのフェリペ2世(1527~1598)の施政を中心とした近世ヨーロッパの発展の中心舞台と見立てられました。イタリアで始まったルネッサンスがヨーロッパ全体に浸透し、近代哲学の父と呼ばれたデカルト(1598-1650)が「方法序説」で著した理性的精神を以て最初に近代科学の理論的枠組みを確立したと言われています。 またそれ以前の1517年にはマル…
しゃろむ! アイです🫐 私は日本の学校で日本史を学び、イスラエルではユダヤ教について触れました。そして最近では、ポルトガルなど他の文化にも触れながらキリスト教について学ぶ機会が増えています。その中で、「キリスト教って、ユダヤ教を少し緩くしたものなのかな?」とふと思ったんです。 さらに考えてみると、「厳しい戒律を緩和して、多くの人々に広がる」という流れは仏教にも見られるな、と。どちらも、一部の人のためのものから、より広い人々を救うための変化が起きているように感じました。 宗教の変化って難しそうに思えますが、実は意外と身近で共通点もたくさんあるんです。そんな発見をシェアする今回の記事、ぜひ最後まで…
教育政策のレポートを書いていて思い出した文章を紹介します。 ヘーゲル『歴史哲学講義(下)』第3篇近代、第1章宗教改革pp308-309 (1994年長谷川宏訳、岩波文庫) 「宗教改革は教会の堕落の中から生じてきます。教会の堕落は偶然におこったことではないし、単なる権力や支配権の乱用などではありません。堕落をいうとき、乱用という言葉が非常によくつかわれる。土台はよいものであり、事柄そのものに何の欠陥もないのだが、欲望や主観的利害や人間の勝手気ままな意思がそのよきものを利己的な手段として使用したのが悪く、したがって、この偶然の要素さえ遠ざければそれでよい、というわけです。そうした考えにたてば、事柄…
現代政治の思想と行動 - Wikipedia を読むときに参考になりそうな諸研究者を紹介します。 岩崎 正弥 (Masaya Iwasaki) - マイポータル - researchmap 昭和の農本主義 踊 共二 (Tomoji Odori) - マイポータル - researchmap 宗教改革。主に中欧、東欧。 梅澤 佑介 (Yusuke Umezawa) - マイポータル - researchmap ラスキ 以上です。
時は中世ヨーロッパ。 カトリック教会は絶対的な権力を誇示して繁栄を極めていました。 ローマ帝国の国教として保護され、独裁政治さながら、やりたい放題です。 他に競合もいないし、信者は神の教え以外、学ぶ機会がなかったのですから 当然ですよね。その時代の科学は神を冒涜する悪であるとされ、科学者は 弾圧や処刑され、書物はすべて焼き払われました。人々は文字も読めないし、 神には逆らわないので、教会としても、よい家畜程度にしか考えていなかったの でしょう。 しかし、そんな皇帝を凌ぐ教会をも揺るがす大事件が発生します。 中東で生まれたイスラム教です。聖地エルサレムがイスラムに占拠されて しまったため、教会は…
ルターとクラーナハへの旅 表紙 ルターとクラーナハへの旅 松田至弘 著 牧野出版 発行 2001年12月15日 第1刷発行 ルターとその同時代人の足跡がよくわかる内容となっています。 第一章 ルターとその時代への旅(1) ドイツ・歴史探訪への誘い アイゼナハ バッハの生誕地 ルターの母の出身地で、少年ルターの住んだ町 ルターがかくまわれたヴァルトブルク城のある町 エアフルト ルターが入学したエアフルト大学 ルターが入ったアウグスティヌス修道院がある ヴィッテンベルク 「ルターの町」 ヴィッテンベルク大学の神学部に就任したルターが免罪符に抗議した発端の場所 メランヒトン、クラーナハも住んでいた …
難関私立大学になればなるほど出題される文化史のキリスト教編、今回は宗教改革から現代まで一気に概観します。 ヨーロッパの宗教分布 文科省の『地理総合』検定のページのスクショ 引用元 https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2021/000015567/20210601-mxt_kyokasyo02-000015651_036.pdf 参考文献は前回参照。画像は断りがなければパブリックドメインのものです。 目次 8 宗教改革 空欄 補足 ① 贖宥状買うといいことがあるの? ② 「九…
大阪城公園内の「ピースおおさか」で、9月24日まで開催中の「#HereIstand 我ここに立つ ―マルティン・ルター、宗教改革とそれがもたらしたもの」。 キリスト教宗教改革の切っ掛けと成ったマルティン・ルターによる「95ヵ条の論題」提示から数えて500年目に当たる2017年に始められた巡回展示で、大阪・神戸ドイツ連邦共和国総領事館の共催に成ってます。 なぜ「ピースおおさか」で「マルティン・ルター」のパネル展かと云うと、世界各地の紛争やテロには宗教が関係している場合が多々有り、現在では収まっていますが北アイルランドのカトリックとプロテスタントの係争など未だに火種は尽きません。 戦争と宗教という…
◆山川出版社の『詳説世界史』には、かなり辛口の評価をしてきましたが、宗教改革のページは旧課程の教科書から大幅に刷新され、充実した内容になっています。 ◆私は、「世界史の扉をあけると」でも述べたように、宗教改革期のイコノクラスム(聖像破壊運動)に注目してきました。プロテスタントによる聖像礼拝の否定は、聖像の破壊にまで進むことがありましたが、この事実を世界史の教科書は伝えてきませんでした。プロテスタントの研究者の影響力が強く、プロテスタントの暴力に触れたくなかったのでしょうか? たとえ執筆者がプロテスタントの方であったとしても、歴史的事実は直視しなければなりません。 ◆山川の新しい『詳説』は、注に…
日比谷のTOHOシネマズシャンテにて。観終わった後に、後味が悪いってほどでもないが、変な余韻を残す映画を観た。イニシェリン島の精霊、という映画だ。 宇多丸も絶賛してたな。 www.tbsradio.jpふたりのオジサンの諍いの地味な映画、と思って観に行ったのに、観た後数週間にわたって、あれは一体何だったのだろう、と考えてしまう、わたしのなかで、始めは小さな存在だったこの映画が、いまや忘れられないものとなっていることに気付き、マーティン・マクドナー脚本、監督の力量の凄さを感じる映画でした。 あらすじはこんな感じだ。 realsound.jp 舞台となる「イニシェリン島」は現実には存在せず、アイル…