子どもにできないことがあると、周りの大人は心配する。そして、できるようにしようとして働きかける。僕自身、数学を教えるとき、“できるようになること”を目指しがちだ。それは目標として分かりやすく、手応えも感じやすい。できると、子どもも嬉しい。次のステップに進むために、できておいた方がよいこともある。でも、できるようになることを目指すことには、様々な落とし穴がある。 「勉強が嫌い」という中学生に「どうして?」と聞いてみると、「小さい間違いを注意されてばかりで嫌になった」と言う。ちゃんとできるようにならないと、と思って、大人は注意する。注意されてできるようになることもあるけれど、注意ばかりされて嫌にな…