きょうび田舎の町でも現代風の洋式の家屋、建築、構築物で風景が構成されていますね。道路も綺麗に整備され、都市に比べて人間が少ない緑が多い事以外特段の違いが無い様に見えます。二階建てまでの瓦屋根、土壁どころかトタン張りの錆びた壁、土道とその水溜まり、民家と何ら違わない個人商店、家前(いえさき)の夏の露台、狭い路地、今そんな昭和二十年代から三十年代迄の光景を求めてもまず得られません。私にはそれが残念です。それは間違いなく私の『故郷』だからです。白過ぎる、明る過ぎる、綺麗過ぎる、そういう現代の物から遠く離れた所に在る『昔の物』。それが私の魂の住んでいる故郷です。遠慮せずに言います。外観ばっかり綺麗にし…