極悪非道なる明治の精神文化

※敬称略。

……… (1)中華民族を1300年間支配した内蒙古朝鮮族鮮卑)と日本………

「世界の歴史4 古代の中国(堀敏一)」講談社がつんどく状態だったので読んだ。数千年前から唐帝国までの歴史である。それで思わぬことを知らされた。中国の歴代帝国の多くは漢民族ではなく朝鮮・モンゴル族の帝国であったというのだ。

①3400年前に成立した殷と周に始まり、2800年前に始まる春秋時代という乱立政権時代、2400年前の戦国時代を経て2200年前の秦、漢帝国までは漢民族の王朝であったらしい。

②ところが、1800年前の五胡十六国時代から、魏の南北朝時代朝鮮族遼東半島鮮卑族)が黄河流域(中原)を支配した乱世であり、中国を統一した隋、現在の中国よりも広い版図(朝鮮半島の2/3、ベトナムの1/2)の大帝国を作った唐も鮮卑族であったという。

③つまり司馬遷が「史記」に記録した時代と「三国志」の時代をもって、中華民族の帝国は消滅。消滅させたのは、内モンゴルから遼東半島に本拠を持つ鮮卑という朝鮮族が南下し、黄河から揚子江まで広がり、西方から侵略した匈奴という胡人(トルコ族)をも従属させた。それが五胡十六国時代

北魏の始祖、拓跋珪(太祖道武帝)は内モンゴルを本拠としていた鮮卑である。
⑤1450年前に隋帝国を創立した楊堅(文帝)も鮮卑族で魏の十二代将軍の一人、宇文泰を先祖としている。

⑥彼は、朝鮮族の二十倍もの中華民族を統治するために、言語と風俗を取り入れ、「均田法」で豪族を衰退させ、統治させる官僚に優秀な中華民族を抜擢するために「科挙」を用いた。

⑦さらに、小作人から奴婢まで平等に田畑と宅地を与えるために、黄河流域の大規模な治水工事と開墾、杭州から長江(揚子江)と淮河を経て黄河流域の長安および北京を結ぶ大運河を完成させた。そんな最中に小野妹子の遣隋使が派遣された。

⑧隋は鮮卑の同族が支配する朝鮮半島高句麗に三度出兵したが成功しなかった。その出兵が隋帝国の庶民(胡族、中華民族)を疲弊させ、不満が募って農民蜂起(水滸伝)が頻発し、隋は崩壊した。

⑨中国を再統一したのは山西大原の地方官李淵(高祖)であり、国名は唐。李淵鮮卑族西魏の八柱国の一人李虎を先祖とする鮮卑族であった。鮮卑族は女性の権力が、公的制度とは裏腹に、極めて強力で、則天武后とイ(偉から人偏抜き)后が有名で、政治介入しなかった皇后は楊貴妃だけとも。

律令制度(刑法、行政法)を治世の支柱に置き、均田制と租庸調を完成させた。均田制は田畑の国家支給、租庸調は支給した田畑に比例した税金で、祖(稲)、調(布織物)と公共事業の労役(庸)である。日本の大宝律令(701年)で大々的に導入された制度である。

⑪盛唐期の版図は雄大であった。西は現在の中国人民共和国の新疆を超えてアラル海に達し、南はネパールを含むインダス川北岸まで、南東は雲南からベトナムまで、北はモンゴルからシベリアのアムー河口に達し、朝鮮半島は最南部を除く3/4を版図としていた。

⑫隋唐の後も元帝国はモンゴル族、最後の清も女真族で、398年北魏建国から現在までの1600年のうち、中華民族の統一帝国は明の280年間だけ。残る期間はほとんど朝鮮・モンゴル族に支配されたことになる。純粋の中華民族は「覇権」を嫌い、実生活に役立つ利と理を優先するからだ。

⑬ただし、両族共に巨大な人口の中華を統治するために漢人を官僚に使い、自らも華人化したので、現在では殆ど区別できない。東北地方(含む大連など遼東半島)は旧朝鮮族地域で、北京を含む華北も同様である。現代中国になって混血が進み、純粋の朝鮮・モンゴル族少数民族化している。

⑭白村江で日本軍を大破した唐と高句麗も同族の鮮卑系であり、百済をめぐる内部抗争の面もあった。唐が中国全土を支配したから、「中国」が朝鮮半島を侵略したと記述されるが、朝鮮族の内部抗争だったのである。ちなみに百済も日本(朝廷を含む日本人の6割)も朝鮮族である。

「中華は覇権を求める民族」だとするのは誤りだろう。版図を拡大した王朝は、大日本帝国を含めて、すべて朝鮮・モンゴル族の王朝であったからだ。それにしても、紀元後の歴史の殆どの期間を朝鮮・モンゴル族に支配させ続けたのだから、中華民族は「覇権」を好まない民族と言えるだろう。

安倍晋三も、彼を支える官僚とマスコミも朝鮮・モンゴル系である。だから「覇権意識」が濃厚であり、全アジアの軍事制覇(八紘一宇)で惨敗したが、経済で覇権を握って「優越民族観念」を自己満足させた。日本人にしみ込んだ中国人蔑視は積極的で持続的な教育なくして根本的に治癒される可能性はない。

しかし経済が成長拡大しきって飽和し、国内人事も沈滞するすると、高度成長する中国に「覇権を奪われる」という強迫観念が前面に出てくる。日本が覇権を追求したように、中国も覇権を拡大するに違いないと思い込んでいるからだ。そのニュアンスは朝日を含めた報道に常に顕れる。

中国との覇権闘争を煽る安倍晋三と日本マスコミの言動が、アジアの人々を嫌悪させる原因は、全てを「覇権の命運」でしか考えず、そのイデオロギーを押し付けようとする差し出がましさに起因している。

南京大虐殺慰安婦性奴隷も世界から非難されたから、歴史を歪曲改竄して、無かったことにし始めたが、もし非難されなかったら、アジアでの犯罪行為を自慢げな「英雄譚」か、中国人や韓国人を人間視しない「優越民族意識」の正当性を実証する例として同調を求める会話に終始していただろう。


………(2)日本の「優越民族意識」………

明治時代に流行った子供の歌が「優越民族意識」の塊で醜悪だと辺見庸さんが書いている(週刊金曜日2015.4.10号P34)。

①「桃太郎」には、「そりゃすすめ、一度に攻めて、潰してしまえ鬼ヶ島。おもしろい、おもしろい、残らず鬼を攻め伏せて、分捕り物をえんやらせ」。手まり歌「いちれつらんばん」には、「死ぬまで尽くす日本兵、さっさと逃げるロシア兵。御門の兵(天皇の軍隊)を引き連れて、6人残して皆殺し」

②「桃太郎」の歌詞には、なぜ「鬼」なのかの説明が無い。これを唄う児童の心中は「勢力が強くなって、攻めてくる前に、全滅しなければ」が支配していたであろうと推測する。手まり歌「いちれつらんばん」の歌詞にも、なぜ「皆殺し」なのかの説明が無い。

そのころの国文学を専門とする偉い先生がNHKの経営委員をなさっている。長谷川三千子である。極右の大本山日本会議」の代表委員という世にも恐ろしい肩書もお持ちである。彼女は「今上天皇は再び現人神となられた」と公言して憚ることがない御仁である。ご意見を拝聴したいものだ。

ヘイト・デモの看板と掛け声『XX人は皆殺し』はそんな明治の伝統文化を継いだだけなのだろう。勢力が増した中国は「鬼」である、その鬼の「家来」になった韓国も「鬼」の一味である。鬼は皆殺ししなければならぬ、そんな怖さをデモの連中にも安倍晋三にも感じ取ることができる。

いやいや、明治文化を継いだのなら、極めて陰険で強欲な独裁政権とその支持国民からなるニッポンを意味するから、評するにふさわしい言葉を知らない・・・ただただ、恐ろしい日本人が復活した。


………(3)日本の美しい伝統文化は明治が歪曲した偽装である………

5月5日は文化の日。日本の「美しい伝統文化」とは一体なんなのか? 安倍一族に乗っ取られたニッポンはおぞましい事実を歴史に刻み続けているが、大多数の日本人はそれを知らない。安倍の再登場によって、日本が激変したのではない。それは明治が準備していたのだと辺見庸が描く。

それは辺見庸週刊金曜日に2月から連載している「『時間』はなぜ消されたか 1★9★3★7」である。第11回、2015.4.10号から抜書きをしてみる。

①有名な日本軍歌「討匪行」(八木沼夫作詞、藤原義江作曲)で、中国の馬を「賊馬」と呼んでいる。押し込み強盗のように大挙侵略してきた日本軍に対し中国の抗日ゲリラが抵抗するのは当然のなりゆきだが、ゲリラや遊撃隊は「皇軍」によって「匪賊」とよばれ、かれらの馬は「賊馬」と蔑称された。

皇軍の攻撃で「賊馬」ともにうち倒れて中国の大地が血に染まるのだが、「皇軍将兵の気分は爽快。なぜこうなるのか。なぜこうもニッポンというのは、なぜこうも身勝手なのか。

③ついでに5番は「さもあらばあれ日の本の/吾はつわものかねてより/草生す屍悔ゆるなし」。なにゆえ死んでも悔いがないのだ。ニッポン人であること自体の理由なきカタルシス。それは、しかし、かならず死を負うていた。

④13番、御稜威(みいつ)のために草生す屍になる。御稜威とは(長谷川三千子が専門分野の語彙で)天皇の威光。その旗の下に例外なくまつらう。なぜバラけないのか。なぜ逃げないのか。大義なき侵略になぜ逆らわなかったのだ。

⑤14番「敵にはあれど遺骸(なきがら)に/花を手向けて懇ろに/興安嶺よいざさらば」。ウソをつけ、と言いたくなる。皇軍の一般的ふるまいとして。略奪、強姦はいやというほど知らされているが、中国人犠牲者に献花し、あつく弔うなど、寡聞にして聞いたことがない。

⑥大興安嶺は中国東北部の山脈で、気安くうたうが、これは外国の山なのであり、ニッポンの山ではない。

夜郎自大と倒錯的な優越民族観念は十五番で明々白々となる。「亜細亜に国す吾日本/王師一度ゆくところ/満蒙の闇晴れ渡る」。王師とは天皇の軍隊である。満蒙はかって中国の満州内蒙古を指した(満蒙は五胡から隋唐を経て清王国に至る鮮卑族の大地である)。

藤原義江が作曲し自らレコーディングした「討匪行」を聴いてみると、もどかしいほど名状しがたいニッポン・ミリタリズムの股関節からのにおいのようなものがただよう。

⑨ところで、芥川龍之介の「桃太郎」(1924年)はさにあらず。鬼ヶ島は、じつは美しい「天然の楽土」で、鬼たちは平和をこよなく愛して暮らしていた。

⑩桃太郎は、にもかかわらず、「日の丸の扇」をうちふり、犬、猿、雉に号令をかける。「進め! 鬼という鬼は見つけ次第、一匹の残らず殺してしまえ!」。

⑪「桃太郎部隊」の犬は鬼の若者を噛み殺し、雉も鬼の子供らを突き殺す。猿は猿で「我々人間と親類同志の間がらだけに、鬼の娘を絞殺す前に、必ず凌辱を恣にした」というのである。書かれたのは南京大虐殺より十三年もまえのことだ。南京大虐殺の「祖型」は南京大虐殺のはるかまえにあったのだ。

⑫捕えられた鬼の酋長はおそるおそる桃太郎に質問した。「わたくしどもはあなた様に何か無礼でも致したため、御征伐を受けたことと存じております。就いてはその無礼の次第をお明かし下さる訳にはまいりますまいか?」

⑬桃太郎「日本一の桃太郎は犬猿雉の三匹の忠義者を召し抱かえた故、鬼ヶ島へ征伐にきたのだ」。答えになっていない。桃太郎(ニッポン)側には、もともと征伐を正当化できる理由がなく、また合理的な説明をする必要も感じていないので、生き残った鬼たちの<なぜ?>自体がまるで理解できないのだ。

⑭桃太郎は再質問した鬼たちに言う。「これでもまだわからないといえば、貴様たちも皆殺ししてしまうぞ」・・・芥川によれば「しかし桃太郎は必ずしも幸福に一生を送った訳ではない。捕虜にされた子供たちは大きくなって雉を噛み殺して逃げ、島の鬼たちが海を渡ってきて桃太郎の家に火をつけ・・・

⑮テロ事件が続発するようになったのだ。「寂しい鬼ヶ島の磯には、美しい熱帯の月明かりを浴びた鬼の若者が五、六人、鬼ヶ島の独立を計画するため、椰子の実に爆弾を仕込んでいた。黙々と、しかし嬉しそうに茶碗ほどの目の玉をかがやかせながら」、と芥川版「桃太郎」には爆弾テロ準備が描かれている。
辺見庸


………(4)安倍ニッポン「優越民族意識」………

昨日、今日の報道にも、安倍ニッポン「優越民族意識」が色濃く反映している。明治の「富国強兵」は朝鮮と中国を侵略を実現させる軍需工場の建設に基礎を置いた。その軍需工場群を「産業革命」と偽装し、おそらく多額の金をばらまいてユネスコ周辺組織に文化遺産登録を勧告させた。

当然韓国は強烈に非難し、正式登録審査で熾烈な反論を展開すると朴槿恵大統領が声明。日本側は数年前から準備してきたというが、それを加速させたのは、一昨年から中国と韓国が慰安婦問題や強制労働の国家謝罪と個人賠償で共闘し、中国が国内の戦争犯罪遺跡を世界遺産に申請してからだ。

南京大虐殺などを否定し、慰安婦性奴隷もでっち上げと声高に世界に叫ぶ安倍の仲間。その日本側の姿勢を懸念した中国と韓国が、歴史学習の実践を示そうとすると、反教育実践で安倍側が仕返しするという、なんとも悪ガキ同然のみっともなさであるが、安倍は12歳ではない。一国の首相である。

台湾の与党国民党の朱立倫主席が北京を訪問し習近平首席と会談した。その朝日報道は、日本「優越民族意識」に染められた感性で、「国民党は日本の恩を忘れて中国に走った。朝日は独立志向の民進党を応援する」と感じさせるいつもの記事で書いた。その記事の端々に意図的歪曲を感じ取れる。

台湾の民進党は独立志向を捨てている。独立したら一瞬のうちに台湾経済が壊滅する。すでに有力企業のほとんどが大陸に移動してしまったからだ。民進党もそれを知って台湾独立を否定し、李登輝すら台湾独立など言ったことがないなどと、言い訳している。

ところで、日本と米国が拒否権を持ち、政治利用しているアジア開発銀行(ADB)の年次総会が報道されている。これは毎日の記事であるが、朝日のような日本「優越民族意識」を感じさせず、淡々と描いている。現実はこの記事の些細な表現から類推できる。

新華社は安倍訪米を批判する論文を掲載している。安倍は戦争犯罪の謝罪を一切拒否した。それだけでなく歴史の改竄も正当化した。それを米国議会に反対っせないためのニンジンをぶら下げた。そのニンジンは毒物であるだけでなく、日本の憲法を無視した戦争国家宣言に等しいと。

世界文化遺産:「明治日本の産業革命遺産」に登録勧告(毎日)
http://mainichi.jp/feature/news/20150505k0000m040041000c.html
明治の「富国強兵」⇒大陸侵略戦争準備を美化する下村博文は腐っている。これらは軍需工場であり、国民を酷使し、中韓から強制連行し虐待し、こん棒などで殺した犯罪の遺跡だ。
①通称「軍艦島」で知られる「端島(はしま)炭坑」(長崎市
長州藩が西洋式帆船軍艦を造るために設置した「恵美須ケ鼻造船所跡」(山口県萩市
薩摩藩が手がけた兵器機械工場や反射炉の遺構で構成する「旧集成館」(鹿児島市
④幕末に実際に稼働した反射炉で国内で唯一現存する「韮山(にらやま)反射炉」(静岡県伊豆の国市)−−など、日本の近代工業化を支えた炭鉱、製鉄、造船などの23施設で構成される。

◆韓国「強制労働の事実を無視」 世界遺産登録に反発(テレ朝)
http://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000049791.html
①韓国では「日本がこの施設で蓄えた国力で日清戦争などを引き起こし、朝鮮を植民地化した」と認識。今後、登録を巡って21の委員国に対する激しい説得工作が。(中国が議長国だが)

◆中台関係改善アピール 国共トップ6年ぶり会談 総統選にらみ民進党牽制(朝日)
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11739216.html
習近平主席と国民党の朱立倫主席が北京で会談
②習『手を取り合って運命共同体を建設しよう』
③朱氏は「92年共通認識」進化に6回言及。AIIBに台湾加盟や経済連携協定の受入要請。
習近平総書記、中国国民党朱立倫主席と会見(新華社
http://jp.xinhuanet.com/2015-05/05/c_134210983.htm
習近平主席】
①10年前、両岸関係が激しく動揺していた頃、国共両党は両岸民衆の共同の運命のために、歴史の垣根を突き破り、和解を実現させ、台湾海峡の平和の道への擁護を共に検討した。10年にわたり、国共両党と両岸同胞は共に努力して、両岸関係の平和発展における明るい前途を切り開き、両岸同胞に本当のメリットをもたらし、両岸同胞の広範な支持や賛同を獲得し、また国際社会の普遍的な肯定や称賛を受けた。
②両岸関係の平和発展の成果は獲得が容易ではなく、その経験は尊いものだ。かいつまんで言うと、両岸関係の平和発展の道を堅持して歩んでゆき、「九二共識」を堅持し、「台湾独立」政治的基盤に反対し、両岸の協議・交渉を展開し、各分野での交流や協力の推進を堅持し、両岸民衆のために福祉を図るよう堅持してゆかねばならない。
③両岸同胞はもとが同じで、同文同種であり、これまで運命を共にしてきた。経済のグローバル化が深く進み、両岸関係が日益しに緊密になっている今日、両岸は切っても切れない運命共同体だ。新たな情勢に直面し、国共両党と両岸双方は信念を固め、相互信頼を増進させ、両岸関係の平和発展におけるプロセスを守り、両岸の運命共同体を手を携えて築き上げねばならない。

朱立倫主席】
①1992年に海峡両岸関係協会(海協会)と海峡交流基金会(海基会)の両会による共同の努力の下、両岸が共に一つの中国に属するという「九二共識」を達成し、この基礎の上で、双方は会談を重ね、両岸の対抗と紛争を協力と交流に一転させた。
②2005年以降、国民党は「九二共識」を党の綱領に組み入れている。両岸経済貿易文化フォーラムが作り上げた提案も交流や協力の中で徐々に実行されている。
③海峡両岸は同様に中華民族であり、運命共同体だ。両岸の平和発展はすでに多くの成果を上げている。海峡両岸は共に中華民族であり、運命共同体だ。「九二共識」の基礎の上で、両岸が地域の平和、環境保護、経済統合といった方面で手を携えて協力し、両岸関係の発展の成果をより多くの基層の民衆や中小企業、若者層に恩恵を受けさせ、両岸関係の平和発展を引き続き推進してゆけるよう望んでいる。

◆習書記が朱立倫主席と会談、両岸関係の平和的発展について5つの主張(人民日報)
http://j.people.com.cn/n/2015/0505/c94474-8887426.html

①「92年コンセンサス」と「台湾独立」反対の堅持は両岸関係の平和的発展の政治的な基礎であり、大陸と台湾が共に1つの中国に属することを認めることがその核心だ。国共両党は両岸関係に対する正しい認識を堅持し、両岸関係の政治的な基礎を損なうあらゆる言動に旗幟鮮明に反対すべきであり、苦労して手に入れたばかりの台湾海峡の平和と両岸関係の平和的発展の成果を失っては断じてならない。
②地域経済協力への台湾の参加問題において、両岸は研究を強化し、実務的に検討し、「1つの中国」の原則に背かない状況で適切な取り決めを行うことができる。台湾がアジアインフラ投資銀行(AIIB)への参加意思を表明したことを、われわれは歓迎する。
③両岸同胞は心と心で付き合い、違いを尊重し、理解を深め、民族アイデンティティー、文化アイデンティティー、国家アイデンティティーを強化し続ける必要がある。
④国共両党と両岸双方は大局に着眼し、相互尊重の精神に基づく必要がある。共通点を集めて相違点を解消し、政治的相互信頼を強化し続けるよう努力すべきだ。
⑤両岸同胞、全世界の中国人が団結し、心を一つにし、力を合わせさえすれば、中華民族の偉大な復興は必ずや実現間近なものとなる。

朝日の中台首脳会談記事には「独立志向の最大野党・民進党蔡英文(ツァイインウェン)主席が優位との見方がもっぱらだ」とあるが、民進党は独立を否定している。蔡英文は、中国(台湾地区)という肩書の中で、北京に物が言える立場を探して、失敗続きだ。

朝日はまた「馬英九総統の過度の対中傾斜に不安感、昨年学生らが立法院占拠。11月統一地方選で国民党惨敗」と書くが、学生も朝日も誤認識。台湾企業が大陸に移動、台湾民衆に生活問題。その現象は民進党政権化で加速したのだ。国民党も民進党も大陸の台湾企業からの利益再配分を協議したいのだ。

昨年3月、学生が立法院(国会)を占領し、更に行政府(政府)を占拠したとき、即時に米国の台湾関係代表部(国なら大使館)が真っ向から反対する声明を出し、すぐに米本土の台湾担当機関も同じ声明をだした。米国すら、オバマ政権とネオコン官僚は真っ向から対立していた。

台湾学生の動機は就職難と賃貸料高騰。だが学生の対中國嫌悪が、台湾企業を更に大陸に移動させた。彼らの就活は中国本土の台湾企業を訪問して歩くほか無くなった。中国は空洞化した台湾内の穴埋めを中国企業にさせようとし、台湾学生がそれを侵略と誤解。北京は手を引いて、「お好きにどうぞ」。

台湾学生の「国会占拠」も香港学生の「中環占拠」も、背景は同じ米ネオコン官僚らジャパンハンドラ―ズの一味。米国に呼んで、「占拠」作戦を練り、訓練を施し、金を与えて帰国させ、「占拠」を実行させた。だが、台湾も香港も地域経済を疲弊させ、企業を逃亡させる結果を招いた。

◆アジア開発銀:総会開幕 日本、存在感アピール 投資銀主導、中国に余裕(毎日)
http://mainichi.jp/shimen/news/20150505ddm008020118000c.html
①麻生がADB融資枠を1.5倍に拡大し、インフラ基金創設と声明したが、融資枠は資金需要の2%に届かず、基金も46億円と、中国のシルクロード基金4兆円の千分の一。

②麻生はバカの一つ覚え『AIIBが緩い基準で融資すれば環境破壊などに手を貸す』と演説。韓国の代表から『ADBはアジアのインフラ需要への対応を高めるべきだ』と非難された。ADBは日米の政治駆け引きに使われ、それ以外の案件は、膨大な計画資料要求と審査で、何年たっても融資未決状態。

③麻生はまた『AIIBは中国に支配され透明性に欠け不公正融資横行の可能性』という意味の発言も。しかし、そのAIIB非難をADBに置き換えるとそっくり当て嵌まる。中国が拒否権と麻生が言い、中国は拒否権非保有を声明し、逆にADBでの「日米の拒否権」がAIIBを創設させたと諭した。

④中尾武彦ADB総裁の総会前記者会見では質問がAIIBとの関係に集中。ADB出資国の3/4がAIIBに鞍替えする勢い。ADBは政治利用され、また審査効率が最悪で、開発案件を遅延させ、建設コストも暴騰させている。AIIBに縋らぬとADBは破産するがADBはどうするのという質問。

⑤中尾武彦ADB総裁はこの2月間何度も北京に脚を運び、ADBの元副総裁で臨時AIIB創立事務局長を務める中国高官を介して、中国財務省と何度も協議している。

⑥開発案件をADBは沢山抱えているから、AIIBとADBで協調融資する実務環境の調整だと言われているが、それに失敗すればADBは破産する。ADBに出資している国々は拒否権を持つ日米に損失補填を要求するかもしれない。出資金を返済せよ、融資の焦げ付きは日米で負担せよと。