沖縄ヘリパッド 翁長知事がアセス再実施の要望書提出 - 毎日新聞(2016年11月21日)

http://mainichi.jp/articles/20161122/k00/00m/010/066000c
http://megalodon.jp/2016-1122-1933-22/mainichi.jp/articles/20161122/k00/00m/010/066000c

沖縄県翁長雄志知事は21日、防衛省稲田朋美防衛相と会談し、米軍北部訓練場(同県東村、国頭村)へのヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)移設に関し、米垂直離着陸輸送機MV22オスプレイを対象とした環境影響評価(アセス)の再実施を求める要望書を提出した。稲田氏は、再実施ではなく事後調査する方針を伝えた。
要望書は県、東村、国頭村の連名。防衛省が2007年度に行った自主的なアセスは輸送ヘリCH53を対象としていたことを挙げ「エンジンの性能も異なり、環境への影響が大きく異なる」と指摘。オスプレイ対象のアセスの事前実施と、改めてのオスプレイ配備撤回を求めた。翁長氏は記者団に「調査をしないで(オスプレイが)飛ぶことは信義違反だ」とけん制した。
北部訓練場を巡っては、政府はヘリパッド4カ所の移設工事を来月中旬に終わらせ、一部の土地が同22日に返還される予定。防衛省はヘリパッド移設後の事後調査で済ませる考えだ。稲田氏は会談で「日本全体でオスプレイを受け入れようとしている」と述べ、理解を求めた。【村尾哲】

トランプ氏、就任初日にTPP離脱へ 「代わりに2国間協定を交渉」 - AFPBB News(2016年11月22日)

http://www.afpbb.com/articles/-/3108794

【11月22日 AFP】米国のドナルド・トランプDonald Trump)次期大統領は21日、日米などが署名した環太平洋連携協定(TPP)について、選挙戦の公約通り、「就任初日に」離脱する考えを明らかにした。
トランプ氏は就任後100日間の優先事項の概略を説明する動画メッセージで「われわれの法を回復し、雇用を取り戻すため、就任初日に大統領令で実行できる行動のリストを作成するよう、私の政権移行チームに指示した」と述べた。
その上で「貿易に関しては、わが国に災難をもたらす恐れがある環太平洋連携協定からの離脱の通知を出すつもりだ。その代わりに、雇用と産業を米国に取り戻す公平な2国間貿易協定の交渉を進めていく」と言明した。(c)AFP


強制送還か就労許可か、米国の若い移民を待つ運命 - WSJJapan(2016年11月22日)

http://jp.wsj.com/articles/SB10316534201594473698304582449790087726060

【ロサンゼルス】グアテマラ出身のマリア・シルン・ツォクさん(21)は、4歳の時に親と一緒に米国に不法入国した。先に行われた米大統領選の翌朝、会社に向かう車の中で聖歌を流し、「トランプ氏、どうかDACAを取り上げないで」と祈った。
シルンさんは、バラク・オバマ大統領が2012年に大統領令によって導入した「DACA」の恩恵を受けている。DACAは、不法入国時に16歳未満だった移民に更新可能な2年間の就労許可を与えて強制送還から守る制度。全米で約75万人が対象となっている。
ロサンゼルス市内の小児病院で患者の保険手続きなどを手伝う仕事に就いているシルンさんは「DACAがなければ、私は大好きな仕事を失うだろう。国外送還されるかもしれない」と述べた。
DACA反対派を次期司法長官に
ドナルド・トランプ次期大統領は選挙戦を通じ、オバマ政権下で発動された大統領令を「直ちに終了」すると言明してきた。これにはDACAも含まれる。トランプ氏は、DACA反対派のジェフ・セッションズ上院議員(共和、アラバマ州)を司法長官に指名する考えを明らかにしている。
トランプ氏の代理人はメールと電話でのコメント要請に回答しなかった。
オバマ氏は銃規制など他の問題についても大統領令を発動しているが、大統領令については議会を迂回(うかい)しており違憲だとの批判もある。
移民削減を目指す団体、米国移民改革連盟を率いるダン・スタイン氏は「議会の明確な承認がないまま米国の雇用と公益を滞在資格のない人々に提供する能力は、いかなる大統領にも与えられるべきでない」と述べた。
トランプ氏の勝利後、一部の民主党議員はDACAを守るようオバマ大統領に呼びかけている。オバマ氏は先週、「トランプ次期大統領と次期政権に熟考を促す」意向だと述べた。
申請を更新すべきか否か
10代後半から30代初めのDACA対象者の多くは、先行きの見えない不安定な状況に置かれている。500ドル近くかけてDACA申請を更新するか失効するにまかせるか、決められずに困っているとの声も多い。
更新した後にトランプ氏がプログラムを撤廃すれば、手数料を無駄にしたことになる。再申請をせず、トランプ氏がたとえ一時的にでもプログラムの存続を認めれば、雇用や滞在資格が危うくなる。
DACAの適用を受けるには、申請者は米国到着時に16歳未満だったことを証明する必要があり、犯罪歴がなく一定の教育を受けていなくてはならない。
一方、移民支援団体は、DACAのデータベースが不法移民の送還に使われかねないとして、新規の申請は思いとどまるよう勧めている。DACA適用者は市民権を申請できない。
若い不法滞在者を支援する非営利団体のエデュケーションズ・フォー・フェア・コンシダレーション(E4FC)のキャシー・ジン氏は「初めてDACAに申請した場合、次期政権が成立する前に処理される公算は小さく、無用に自らを国土安全保障省 (DHS)にさらすことになりかねない」と述べた。
雇用をめぐり反対する声も
11歳の時に米国に入国した韓国出身のエリ・オーさん(29)は、DACAの資格を得る前はウエーターをしていた。「DACAができて、看護職に就くことができた」と話す。現在は、スタンフォード大学医療センターの救命救急チームに所属している。
「DACAのおかげでやっと安全を得られたと思った」が、DACAが終わる可能性が浮上して、「裏切られた」と感じているという。
多くの雇用主は、DACA適用者を雇っているという意識さえないかもしれない。
DACAについては、不法入国者が大きな労働力となれば、雇用をめぐって不公平な競争が起きると反対する声もある。オー氏が就業する分野のように、人手不足の可能性が懸念されている分野についてもそれは同じだ。
カリフォルニア州の元看護師は「看護師が不足していようと、DACAは終了する必要があると感じている」と述べた。トランプ氏に投票し、不法移民に反対する活動家を自認するこの女性は「米国人にそれらの仕事をやってもらおう」と述べた。
一方、DACAを通じて仕事に就いている人たちは、自分たちの目標に向かって働き続けると話している。オー氏は、トランプ氏の勝利後に「危機モード」から「計画モード」に転じたと話した。DACA終了に備えて「残業を多くこなし、貯金している」といい、出国を余儀なくされた場合、やはり看護師の需要があるカナダ行きを検討するという。
冒頭のシルン氏は、DACAの更新時期を知らせる政府の書簡を9日に受け取った。すぐに新しい労働許可証用の写真を撮影し、申請手数料の資金を貯金から下ろした。「一瞬たりともちゅうちょしない。心配だが、信念を持つ必要がある。税金は全て支払っているし、自分の仕事を愛している」

地震 福島第2原発の冷却機能一時停止、復旧 - 毎日新聞(2016年11月22日)

http://mainichi.jp/articles/20161122/k00/00e/040/154000c
http://megalodon.jp/2016-1122-1020-41/mainichi.jp/articles/20161122/k00/00e/040/154000c

原子力規制庁によると、地震東京電力福島第2原発3号機の使用済み核燃料プールの冷却設備が自動停止したが、午前7時47分に復旧した。
規制庁によると、同6時10分ごろ、プールの水位を測定するタンクの水位が低下したことを示す警報が鳴り、自動停止した。地震の揺れでプールの水がタンクに流れこまなくなったのが原因とみられる。プール周囲に水の漏えいは確認されていないという。プールには使用済み核燃料が2544体あるが、多くは十分に冷えており、すぐに水温が上昇する懸念はない。【酒造唯】
同庁によると、午前6時31分に東京電力福島第2原発、6時38分に福島第1原発でそれぞれ1メートルの津波が到達した。施設への影響はなく、周囲のモニタリングポストの数値にも異常はない。

(核リポート)脱原発訴訟の先頭に立つ、元裁判長の決意(聞き手・小森敦司) - 朝日新聞(2016年11月21日)

http://digital.asahi.com/articles/ASJCK4JX2JCKULFA00X.html?_requesturl=articles%2FASJCK4JX2JCKULFA00X.html&rm=1075
http://archive.is/2016.11.22-010633/http://www.asahi.com/articles/ASJCK4JX2JCKULFA00X.html

東京電力福島第一原発の事故後、若狭湾原発の運転差し止めを求める住民らの訴えを司法は二度認めた。住民側弁護団の先頭に立つのは、裁判官出身の弁護士、井戸謙一さん。裁判長時代、巨大地震による事故のリスクを指摘し、営業運転中の原発差し止めを初めて導いたその人だ。原発の是非をめぐり、司法判断の流れは変わりつつあるのか。3・11のショックで立ち上がったという弁護士は、かぎを握るのは「世論」と語る。
――脱原発の一連の訴訟にかかわるきっかけは。
「福島の事故のあと、同じ滋賀県の故・吉原稔弁護士から『大津地裁原発差し止めの裁判をやりたいので弁護団に入ってくれないか』と誘われたのですが、私はお断りしていたんです。ついこの間まで法壇(裁判官席)の真ん中にいた人間が、自分がかかわったのと同種の裁判で当事者席に座るのは、品がないように思えて。それが、吉原弁護士が、とにかく話だけでもと来られたのですが、若手弁護士3人も一緒で、もう、私がウンと言うまで絶対に帰らないという雰囲気(笑)。それで『アドバイザーなら』と承諾したんです」
「そうして2011年8月、定期検査で停止中の関西電力福井県内の原発7基について再稼働を認めないよう求める仮処分申請を大津地裁に出しました。しかし、12年初め、吉原弁護士が病に倒れてしまって。弁護団を見渡すと若い人ばかり。オレがやると腹を決めました。これとは別に、11年6月、別の親しい弁護士から、放射線の悪影響を心配して子どもの疎開を求める集団訴訟に誘われ、その仮処分申請を福島地裁の郡山支部に出しにいくのですが、いきなりテレビカメラの前で先頭を歩かされ、記者会見を仕切らされ、中心的立場になってしまいました」

――原発の差し止めを認める06年の金沢地裁判決を書いたという経験も背中を押したのでは。
「やはり、3・11ショックです。原発の差し止めを認める判決を出したとはいえ、こんなに早く事故が起き、あんな大変な事態を招くとはイメージしていませんでした。福島の事故で明らかになった原発の集中立地や使用済み核燃料のプールの危険性についても、自分の認識の甘さを思い知らされました。もっとも、あれほどの事故が起きたのだから、日本の原子力政策は、私なんかが声を上げなくても根本的に変わるだろうと思いました。ところが、日本政府は何もなかったかのように原発再稼働路線を進めます。放射線防護もめちゃくちゃ。国民のために働いていると思っていた官僚に裏切られた、とショックでした。自分の中に『義憤』を覚えました」
北陸電力志賀原発2号機訴訟は1999年、地元住民はじめ17都府県の135人が北陸電力を相手取り、建設差し止め(のちに運転差し止めに変更)を求めて金沢地裁に提訴。井戸さんは2006年3月、同地裁の裁判長として、巨大地震による事故発生の危険性を指摘、営業運転中の原発の運転差し止め訴訟では初めて原告側の訴えを認める判決を言い渡した。高裁で原告が逆転敗訴し、10年に最高裁で確定した。ほかに住民側が勝訴したのは、高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県)の設置許可無効確認訴訟で、二審・名古屋高裁金沢支部が03年に許可無効の判決を出している。ただ、これも05年に最高裁が二審判決を破棄、住民側逆転敗訴とした。
■専門家に従うのが「無難」
――福島の事故前、原発の運転差し止めを求める訴訟は、ほとんどが原告住民側の敗訴でした。
「裁判官には、専門家の判断に従って判決を書いていれば『無難』と考えているところがあります。変に目立ちたくないんですね。流れに逆らって、それが間違いだと大きなミスになりますが、流れに従って間違っても、裁判所はみなそうなんだから、と言い訳できますよね」
――だからこそ、06年の金沢地裁判決は重い。のちに朝日新聞のインタビューでも、判決文の詰めの作業にとりかかり、布団の中で、言い渡し後の反響を考えていると真冬なのに体中から汗が噴き出した、と振り返っています。
「あの判決があったので、日本の司法は救われたという自負はあります。ただ、あの裁判は、原告側が原発の危険性について一応の立証をしているので、被告の電力会社側がそれでも安全だという立証ができているかどうか、が問題でした。で、それができていない、と。そこから差し止めという結論が自然に出てきました」
――北陸電力の姿勢はどうだったのでしょう。
「『慢心』と言えるでしょうか。まさか、差し止められることはないと。国の規制に従っているということさえ言っておけば、あとは裁判所が救ってくれるという感覚だったと思います。ただ、あの判決は、原発をやめろというのではなく、動かすなら耐震性能をもう少しアップしてくださいという内容でした。当時、私も原発がないと日本の社会は成り立たないと思っていました。福島の事故後、原発はなくても大丈夫と学びましたけど」
■「世論」が裁判官動かす
――福島事故後の脱原発訴訟で、井戸さんらは大きく「2勝」しています。まず、福井地裁(樋口英明裁判長)が14年5月、関西電力大飯原発3、4号機の運転差し止めを命じた。要は「経済より命」だと。改めて評価を。
「裁判官の矜持(きょうじ)を示した、と思います。矜持という言葉が一番ぴったりきますね。従来の裁判所の判断によらずに、判決全体を一からつくりあげているんです。失礼ながら、樋口裁判長が、それまでの他の裁判で、(流れに逆らうような)目立った判断をしたと聞いたことがありません。普通の裁判官だと思います。しかし、福島原発事故で被害の深刻さを目の当たりにして、思い切った書き方ができたのだと思います」
――そして、再稼働したばかりの関西電力高浜3、4号機に対して、大津地裁(山本善彦裁判長)が16年3月、運転を差し止める仮処分決定を出した。驚きました。すぐに効力が生じるため、実際に稼働中の原発が止まった。前代未聞のことです。
「山本裁判長ら裁判官は現実に止まることが分かっていたわけで、非常に勇気がいることだったと思います。しかし、山本裁判長は関西電力に対し、原告側の主張にかみあうように具体的に反論してくれと何度も警告していた。それに関電はちゃんと向き合わなかった。ですから、ああいう結論になるのも自然だったのだと私には思えます」
――井戸さんは、裁判官の認識も、市民の認識や意識が基盤と主張されています。
「はい。大津地裁の仮処分決定も、『原発はいらない』という大きな世論が支えだったと思います。逆に、あの大津地裁の決定が世論に与えた影響も大きいのでは。司法も世論を変える刺激になりうるということです。政治でも新潟県知事選で脱原発派の候補が勝つと、それもまた世論に影響しますよね。そういう一つ一つのトピックが互いに影響しあいながら、原発なんていらないという社会を醸成していくのではないでしょうか」
――裁判官が気負わずに原発の運転差し止めを判断できる日がくると。
「そのためにも、もっと世論が変わらないとダメです」
■「世界一安全」本当か
――法廷の外でも脱原発の「言論活動」をされています。例えば、日本の原発の建設費は1基4千億〜5千億円なのに対し、欧州では安全規制の強化などで1兆円超かかる、と講演で話されていますね。「半額でできて、なぜ世界一安全なのか」と。
「欧州で求められる(溶け落ちた炉心を受け止める)『コアキャッチャー』の設置や(大型航空機の衝突に耐える)二重構造の格納容器などは日本の新規制基準では必要とされていません。それらを求めなかったのは、電力会社が出せる程度の費用で補強させ、再稼働にこぎ着けるという全体戦略があったのではないでしょうか。コアキャッチャーなんて求めたら、費用がオーバーしてしまうということです」
――福島の事故後に民主党政権が定めた、運転期間を40年とする「原則」も骨抜きになりそうです。
「安倍政権は15年7月、30年度の電源構成で原子力を20〜22%と決めましたが、それを実現しようにも新設は厳しいので、40年超の老朽原発を動かすしかない、と考えたのでしょう。それで原子力規制委員会も、ほかに審査すべき候補はたくさんあるのに、あえて(40年超の)関西電力高浜原発1、2号機、美浜原発3号機の審査を優先して延長を認めた、と私は疑っています」
――大阪高裁の判事を退かれたのが11年3月31日。まさに東日本大震災福島原発事故の20日後なんですね。
「実は、私が生まれたのは1954年でビキニ水爆実験の年。任官した79年は米スリーマイル島原発事故があった年なんです。何かあるんですかね(笑)。退官前、地元に密着した街の弁護士になろうと思い描いて、自宅を買い求めていた滋賀県彦根市で弁護士事務所を開きましたが、いま、原発関連が仕事の7割ぐらいでしょうか。なかなか地元に根を張るにいたっていないですね」
――全国を飛び回っていますが、ご家族から何か。
「妻からは、ちょっとは依頼を断りなさい、と言われます。旅行に行くとか、そういうこともしたかったと、時々、ぶつぶつ言われます。本当に申し訳ないと思っています」
     ◇
井戸謙一(いど・けんいち) 54年、大阪府堺市生まれ、東京大学教育学部卒。79年に裁判官に任官。神戸や甲府、小倉、彦根、大阪、宇部、京都、金沢などの家裁・地裁・高裁を回り、11年3月31日、大阪高裁裁判官を最後に退官。現在、若狭湾原発の差し止めを求めた「福井原発訴訟(滋賀)弁護団」の団長を務めるほか、福島の事故で子どもたちに無用な被曝(ひばく)をさせたとして国や福島県の責任追及を求める集団訴訟青森県大間原発をめぐり対岸の北海道函館市が建設差し止めを求めた裁判の弁護活動にもかかわる。(聞き手・小森敦司)

原発避難いじめ「氷山の一角」 大人の偏見、子に影響 - 東京新聞(2016年11月22日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201611/CK2016112202000127.html
http://megalodon.jp/2016-1122-0921-16/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201611/CK2016112202000127.html

東京電力福島第一原発事故福島県から自主避難した子どもが横浜市立小学校で数年間にわたり、いじめを受けていた問題が波紋を広げている。東京都内に自主避難する複数の母親が本紙の取材に応じ、子どもがいじめに遭った経験を打ち明けた。避難者団体にも同様な訴えがあり、親たちからは「横浜の問題は氷山の一角」との声も聞かれる。(中山高志)
二〇一四年夏ごろ、福島県いわき市から一家で自主避難した女性(46)は、当時小学生だった長男の胸元に、同級生に蹴られたという靴跡を見つけた。訳を聞くと長男は「『東京にただで住んでいるのか』って言われるのツラいよね」とつぶやいた。
住居は、原発事故の避難者を対象に、福島県が家賃を負担している「みなし仮設住宅」。放射能への不安から、仕事などこれまでの生活を断ち切り避難した一家にとって、無償の住宅は命綱に等しい。理不尽さを感じつつ、女性にできたのは、息子を抱き締めてやることだけだった。
横浜市のケースでも、「賠償をもらっているだろう」と同級生からゲームで遊ぶお金を負担させられた。「賠償や自主避難の意味が、大人にも子どもにも分かってもらえていない」。女性は悲痛な表情で語る。
いわき市から自主避難した別の一家は、小学生の長女、長男が感情的に不安定になったため、いったん転入させた小学校から学区外の学校に転校させた。
四十代の母親が長女から「ママ、学校を代えてくれてありがとう」といじめ被害を打ち明けられたのは、転校から数年後だった。「○○ちゃんって、中学生になれば死ぬんじゃない」「放射能を浴びたから長くは生きられない」などの陰口を言われていたという。中学生になった長女は最近、母親の財布から現金を持ち出した。同級生から「避難者でお金に困っている」と思われたくなくて、友人にお菓子などを配っていたという。
長男は実際、前の学校で「貧乏人だから帽子を取った」と同級生から言い掛かりをつけられた。
各地の避難者らでつくる「ひなん生活をまもる会」が、横浜のいじめが発覚した後の十六日、メールを通じいじめ被害について会員に尋ねたところ「いじめと縁を切るため転校したいと言っている」「金を取られた」などの訴えが、五件寄せられている。代表の鴨下祐也さん(48)は「周囲が傍観者にならず支えてほしい」と訴える。

◆正しい認識持って
避難した子どもの心のケアをしている福島大の本多環(ほんだたまき)特任教授(教育学)の話 福島から避難した子どもがいじめられる例は全国的にあり、過去には「おまえが給食当番をやると放射能が入る」と言われたなどの相談があった。いじめが起きるのは、放射能について大人が正しい認識を持っていないから。大人が持つ偏見が、子どもにも影響している。福島の子だからといって特別な配慮は必要ないが、学校などでは差別的言動をその都度注意し、困っている子に手を差し伸べることが大切だと思う。

原発避難いじめ 被害広げた大人たち - 東京新聞(2016年11月22日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016112202000140.html
http://megalodon.jp/2016-1122-0920-50/www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016112202000140.html

愚かな大人がいかに子どもを追い詰めるか。福島第一原発事故で、福島から横浜に避難した転校生へのいじめの問題は、大人世界のゆがみを映し出した。人の痛みへの想像力が欠けているのだ。
「いままでなんかいも死のうとおもった。でも、しんさいでいっぱい死んだからつらいけどぼくはいきるときめた」
今は中学一年の男子生徒が、小学六年だった昨年七月に書いた手記である。非道ないじめを耐え忍びながら、大震災で学んだ命の重みをかみ締めて、生きる道を選んだ。正しい決断だったと思われる社会でありたい。
同じ苦境に立たされている子たちの励みになればと願い、公表したという。本来、こうした勇気や思いやりを培うことこそが使命であるはずの教育現場で、まったく倒錯した仕打ちが行われていた。
小学二年だった二〇一一年八月に横浜市立小学校に転入した。直後からいじめられ、やがて不登校になる。暴言、暴力、恐喝まがいの行為に日々切りさいなまれた。
「ばいきんあつかいされて、ほうしゃのうだとおもっていつもつらかった。福島の人はいじめられると思った」
残念ながら、原発事故で、福島には、放射能と賠償金のイメージがつきまとうようになった。心ない大人の偏見や差別意識にもあおられ、いじめの標的にされやすいことは容易に察しがつく。
学校と教育委員会はそうした特殊事情に配慮し、見守るのが当たり前である。にもかかわらず、いじめを放置した背景には、事なかれ主義と呼ぶべき体質が浮かぶ。
生徒の持ち物が隠されても、自己管理の甘さのせいにした。百五十万円もの遊興費が巻き上げられても、警察の領分として取り合わなかった。学校の対応である。
不可解なのは、警察を通じて金銭トラブルの実態が伝えられても、学校も、教委も腰を上げなかったことだ。小学生同士のやりとりである。金額の多さから異常事態を疑うのが当然ではないか。
調査した第三者委員会は「教育の放棄に等しい」と難じたが、今の教育環境のままでは、子どもにとって有害でさえある。
「いままでいろんなはなしをしてきたけど(学校は)しんようしてくれなかった」
学校は「忙しい」と、耳を傾けなかった。子どもの命や心を守ることより大切な仕事があるのか。文部科学省にも、指導するだけではなく、自省すべき責任がある。

LGBT差別解消 進まぬ法整備 与野党にズレ、歩み寄れず - 東京新聞(2016年11月22日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201611/CK2016112202000116.html
http://megalodon.jp/2016-1122-0920-17/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201611/CK2016112202000116.html

性的少数者(LGBT)への差別を解消する法整備の議論が足踏みしている。七月の参院選前に国会で法制化の動きが活発化したが、自民と野党で考え方に違いが大きく歩み寄れなかった。先進各国で法整備が進む中、与野党とも世界の注目が集まる二〇二〇年東京五輪を意識するが、見通しは立っていない。LGBTの当事者らは集会や署名活動で機運を盛り上げる。 (奥野斐)
インターネットで署名活動を展開しているLGBTの当事者らが十六日、国会内で法整備を求めて集会を開催。百人超の関係者が集まった。戸籍上、女性として生まれたが自分を男性と認識する性同一性障害の当事者は「自分がおかしいのかと悩み、十七歳で自殺未遂をした」と打ち明けた。「家族にもずっと隠して生きているのがつらかった」(レズビアンの女性)など切実な訴えが続いた。
集会の実行委員長でゲイの松中権(ごん)さん(40)もマイクを握り「当事者を救うセーフティーネットとして、差別はダメだと言える法律が必要だ」と求めた。
集会には、LGBTに関する超党派議連会長の馳浩衆院議員(自民)も姿を見せた。これに先立つ十四日、馳さんは議連総会で法制化作業の継続を確認し、「(与野党が)互いに理解し合わないと十年たっても法律はできない」と危機感を示した。
LGBTの差別解消を目指す法案は一月、旧民主党が法案骨子を発表。恋愛や性的な感情がどの性別に向かうかの「性的指向」と、自分の性別をどう認識するかの「性自認」を理由にした差別を禁じる内容で、政府に基本方針の策定を義務付けるとともに、行政や企業が当事者を差別することを禁止した。これを基に野党四党は五月、法案を国会に提出。筆頭提出者の西村智奈美衆院議員(民進)は「差別禁止を明記し、実効性のある法案にした」と話す。
一方、自民党も二月、党内に特命委員会を発足させた。だが「自民党は関心が薄く、法整備が必要な実態を知らない議員も多い」とある当事者は懸念する。参院選前に公表された党の基本的な考え方に「差別禁止」は盛り込まれず、LGBTを巡る「理解増進」にとどまった。法案は今も提出されていない。
国連人権理事会は五年前、性的指向などによる差別問題に取り組む決議を採択し、先進国の多くでLGBTの差別を禁じた法律が成立。国際オリンピック委員会も二年前、五輪憲章性的指向による差別禁止を加えた。LGBTの問題に詳しい中川重徳弁護士は「日本でも、理解促進と差別禁止を車の両輪に法制化を進めるべきだ」と強調した。

◆不利益 職場でも学校でも
LGBTの当事者はどんな場合に不利益を受け、苦しんでいるのか。当事者団体などの全国組織「LGBT法連合会」は事例をリスト化、公開している=CG。
事務局長代理の綱島茜さんは「現状は相談先も少なく、相談相手に知識がないと、周囲に当事者だと知られてしまうなど二次被害もある」と説明する。そのうえで「差別が何かという基準を社会で共有し、当事者の困難が解消されるよう体制を整えるべきだ」と訴える。
<LGBT> レズビアン、ゲイ、両性愛バイセクシュアルと、身体と心の性に違和感を持つトランスジェンダーの頭文字をとった総称。国内の20〜59歳を対象にした調査(2015年電通調べ)では、7・6%を占めると推計された。

「給費制」打ち切り5年 司法修習生経済的負担ズシリ - 東京新聞(2016年11月21日)

http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52172891.html

司法試験合格後の修習期間中に国が支払っていた実質的な給与に当たる月額二十万四千二百円(基本給)の給費の支給が打ち切られ、返済義務がある貸与制に移行してから今月で五年となった。重い経済的負担から法曹への道を断念するケースも出ており、法科大学院の進学希望者も減少。深刻化する「司法離れ」を食い止めるため、新たな支援制度を求める声が高まっている。

「土人発言、差別と断定できず」は訂正不要 政府答弁書 - 朝日新聞(2016年11月22日)

http://www.asahi.com/articles/ASJCP5748JCPUTFK00C.html
http://megalodon.jp/2016-1122-0111-24/www.asahi.com/articles/ASJCP5748JCPUTFK00C.html

沖縄県の米軍施設建設現場付近で機動隊員が抗議活動をしている人に「土人」と叫んだことを鶴保庸介・沖縄北方相が「差別と断定できない」と述べたことについて、政府は鶴保氏の訂正や謝罪は不要とする答弁書閣議決定した。大西健介衆院議員(民進)の質問主意書に答えた。
鶴保氏は21日の衆院決算行政監視委員会で「(発言を)差別と断定する立場にない」との考えを示した。これに対して、大西氏は「なぜ不適切だった、申し訳ないと言えないのか。沖縄の皆さんの気持ちを踏みにじっている。沖縄担当大臣として失格だ」と批判した。
答弁書は、土人という言葉に「未開の土着人」との軽侮の意のほか、「その土地に生まれ住む人」などの意味もあり、差別用語にあたるかどうか「一義的に述べることは困難」と説明。訂正や謝罪が不要と判断した理由として、鶴保氏が機動隊員が土人と叫んだこと自体を「許すまじきこと」とし、「沖縄県民の感情を傷つけたという事実があるならば襟を正していかなければならない」との趣旨の発言をしたことを挙げた。
土人発言をめぐってはこれまで、金田勝年法相が差別用語との認識を示しているほか、沖縄県翁長雄志(おながたけし)知事が「土人発言は言語道断。鶴保氏は沖縄への理解が進んでいないのではないか」と批判している。大西氏は質問主意書で「一般に、報道機関では土人という言葉は差別用語として、表現の自主規制対象用語に指定されている」などと指摘していた。

NPO副代表 鶴保氏のパーティー券、上限超え購入 - 毎日新聞(2016年11月20日)

http://mainichi.jp/articles/20161120/k00/00m/040/094000c
http://archive.is/2016.11.20-011224/http://mainichi.jp/articles/20161120/k00/00m/040/094000c

直後、補助事業選定
鶴保庸介沖縄・北方担当相の資金管理団体「鶴翔(かくしょう)会」が2013年に開いた政治資金パーティーで、観光振興を目的とする山梨県NPO法人副代表の男性が、法令の上限を超える200万円分のパーティー券を、破産手続き中のホテルなど自分以外の名義で購入していたことが分かった。男性によると、購入直後に当時副国土交通相だった鶴保氏と面会。後にNPO国交省が所管する観光庁の補助事業に選ばれた。【杉本修作】

「仮放免の外国人に医療を」 茨城でNPOが相談会 - 朝日新聞(2016年11月22日)

http://www.asahi.com/articles/ASJCQ0H6TJCPUBQU015.html
http://megalodon.jp/2016-1122-0917-39/www.asahi.com/articles/ASJCQ0H6TJCPUBQU015.html

不法滞在で入国管理局(入管)に収容中、体調不良などを理由に一時的に身柄を解かれた「仮放免」の人らを対象とする無料の医療相談会が20日、茨城県取手市内であった。医師らでつくるNPO法人「北関東医療相談会」(本部・群馬県太田市)が、県内で初めて開いた。体調に不安を抱える13カ国28人が診察を受けた。
「良い病院を紹介するから心配するな」。診療所で医師が語りかけると、ブラジル国籍の男性(31)は涙をこぼした。男性は出稼ぎに来た日系ブラジル人の母親を追い、13歳の頃に来日。19歳で強盗事件に関与して逮捕され、実刑判決を受けた。服役後に国外退去処分になったが、体調不良を理由に3年前から仮放免となっている。
在留資格がないため、健康保険証を持てず、仕事はできない。定期的に胃の痛みに襲われるが、医療費を払えないため、病院へは行かない。男性は「将来に不安を感じると体調が悪くなる。体を見てもらえてありがたい」と話す。
入管は、不法滞在で強制退去の必要がある外国人を収容し、60日以内に処分を決めるとしている。その間や強制退去になった後でも、難民申請の手続きや訴訟、病気の治療などを理由に仮放免を申請できる。保証金の納付や行動範囲の制限などが条件で、定期的に更新手続きが必要となる。ただ、何十年も仮放免状態の人もいるという。
入管によると、退去を求められた後に仮放免になっている外国人は、昨年末現在で3606人。在日外国人の増加に伴い、2010年比で2・2倍に増えた。
NPOは前身団体が1997年に設立され、経費を寄付で集め、関東で医療相談会を開催。今回が41回目で診断結果についての説明会も開く。必要に応じ、通院に付き添ったり、貧しい人の医療費の自己負担を減免する「無料低額診療」をする病院を紹介したりする。同NPOの長沢正隆事務局長は「仮放免の人は『制度のすき間』にいて、国が放置している。支援しないと多くの人が命を落とす」と語る。
寄付口座は同会ホームページ(http://npo-amigos.org/別ウインドウで開きます)にある。問い合わせは同NPO(080・5544・7577)。