私とミスドが出会ったのは尼崎の駅前にある伯父と伯母の部屋に居候していた頃です。あの頃、彼らが楽しそうにミスドの箱を持ち帰り、ドーナツをお皿に配るのが楽しみでした。当時の伯父は資格の勉強をしているものの、社会的には無職で、生計を立てていたのは伯母でした。彼ら夫婦は何か良いことがあるとドーナツを買いに行き、みんなで食べるのでした。それは、本当にささやかな楽しみという感じで、暮らし向きが良くなった現在に思い出しても、うっとりしてしまうような時間でした。後から生まれてきた従姉妹たちはあれを経験していないと考えると少し複雑な気分になります。 きっと辛い日々だったと思うので、あの頃に戻りたいと家族の誰も思…