僕がカフェテラスでコーヒーを飲んでいると、 シルクハットを被った年配の紳士が やって来て僕の近くの席に腰掛け、 ひとり葉巻を吸いはじめた。 紳士はドライシガーの先に ライターで火をつけ、一服した。 やがて、葉巻から立ち上る紫煙とともに、 甘い香りが僕のところまで漂ってきた。 しかし、僕はやがて妙なことに気づいた。 この紳士は葉巻を吸い続けているが、 吸った煙を全く吐かないのだ。 一服吸っては、煙を呑みこみ、 また一服吸っては煙を呑み込む、 を繰り返している。 やがて、紳士の顔が真っ赤になり、 息苦しそうに顔をしかめはじめた。 それでも紳士は葉巻を吸い続けた。 「う…うううっ、んっ。」 ついに紳…