『魏志倭人伝』には、日本古代史に登場する女王・卑弥呼について、次のように記されています。 「鬼道につかえ、人々を惑わしている」 この記述を現代の感覚で読むと、なんだか呪術めいた、少し怖い印象を受けます。しかし、この「鬼道」や「惑わす」という言葉が、本当に邪悪なものを意味していたのかどうかは、実のところはっきりしていません。 「鬼道」は「死者の道」だった? 一説によれば、ここでいう「鬼」とは、現在の「妖怪」や「悪霊」といった意味ではなく、古代中国において「死者」を指す言葉だったとされます。 中国の長江流域では、死者の霊を祀る原始道教的な信仰が広まっており、卑弥呼の時代にも、そのような習俗が日本列…