はじめに:ただの「背景」じゃない、私たちの「生活」そのもの 秋が深まり、スーパーの棚に並ぶキノコを見るたび、ふと思うことがあります。私たちが普段、当たり前に享受している「豊かさ」の源は、実はすぐそばの**「森」**にあるのではないか、と。 最近、森や林は「環境保全」や「CO2吸収源」として語られがちですが、私にとって森は、それ以前に**「暮らしの倉庫」でした。特に、木材、きのこ、山菜、そして薪炭材といった森の恵みと、私たちの生活の関係を振り返ると、現代社会が失った「ちょうどいい暮らしの知恵」**が見えてくる気がするのです。 山村に住む、ある森林学者が考えたこと 作者:岩井 吉彌 大垣書店 Am…