生来のものぐさに加えて、老化による出不精がひどくなってきた。さらに筆不精まで。もはや致命的症状か。 礼儀知らずにして無謀だった若き日に、ご高齢の大先輩に宛てて自分らの同人雑誌を送りつけたり、あとさきも省みずに書面をお送りしたりもした。むろんお眼に止まらずに屑籠へ直行することは、覚悟のうえだった。 ありがたいことに、そんな無礼な若造に対しても、受取った旨のお葉書をくださるかたも、稀にはあった。嬉しかった。ありがたかった。励まされた。 ご高齢のかたの筆跡は、しばしば頼りなかった。この先生はこんな字をお書きになるのかと、意外な気がした。が、私の幼稚未熟ゆえの感想だった。そのかたの筆跡ではなく「老人の…