1934年奈良県生。京都大学医学部卒、東大分院神経科、青木病院、名古屋市立大を経て、神戸大学医学部精神神経科教授。97年退官、現在神戸大学名誉教授。精神科医。精神病理学者。臨床、研究(風景構成法の考案)、翻訳など多岐にわたる功績で知られる。また、広範な知識を背景とした明晰な文章家としても著名。
主な著書
訳書
詩の翻訳
ふつうの相談0とは、不調を「個人症候群」(中井久夫)として扱っているときに生じるものであり、疾患として診断、ラベリング、抽象化される前の原初の状態のものを言う。ふつうの相談0を持ちかける相手は、中井の言う熟知性の間柄にある人たち、つまり主に親しい友人や家族である。専門家が介入する前に、素人同士でケア/治療が行われる。医療人類学的には、クラインマンのヘルス・ケア・システムで言う民間セクターでまずは処理される。ふつうの相談0は日常の関係性の延長上で親しい人に「自然に」なされるものである。そして、家族や熟知の間柄で解決できない問題が専門職セクターや民俗セクターに持ち込まれる。 医師は、一般的な解釈で…
私の日本語雑記中井久夫岩波書店 2010年5月28日 第1刷発行 とある有志の会で、日本語がテーマだった時に話題になった。いつか読もう、、、と思っていて、だいぶたってしまったのだけれど、図書館で借りて読んでみた。 著者の中井さんは、言語学者ではない。精神医学者。1934年生れ、京都大学医学部卒業、名古屋市立大学医学部 助教授、 神戸大学医学部教授、甲南大学文学部教授。 兵庫県こころのケアセンター 初代所長。 ひょうご被害者支援センター 理事長を歴任。著書も多く、医学からエッセイ、幅広く活躍。残念ながら、昨年、2022年逝去。 これは、言葉や言語にまつわるエッセイ集。 表紙の裏の説明には、 ”精…
斎藤環が「生き延びるためのラカン」で尊敬(転移)の対象として言及していた精神科医中井久夫のエッセイ集「精神科医がものを書くとき」(ちくま学芸文庫)を長距離移動中に読み始めたら夢中になってしまった。 昨年に亡くなったことを知り、昨年末に斎藤環が監修したNHK「100分DE名著」の中井久夫スペシャルのテキストも出先で購入し、一気に読む。 感想は改めて書くが、中井はあるアメリカの学者に「どうして日本の政治家は魅力がないのか。他の国ならあれくらいの政治家ばかりだと潰れてしまう」と問われて、「日本は有名な人っていうのはたいしたことはない。無名な人が偉いので、こういう人が国を支えているのだろう」と答えたと…
彼女とは平成20年頃公募でしていた読書会で知り合った仲でした。私の感触では 13,4人いた中でとても実直な読みで印象に残っていました。その会を離れてからも私たちは年賀状のやりとりが続いておりました。 彼女は理系で家庭教師などしながら両親を看取られた様です。お1人で暮らしておられることはずっと記憶にあったのでどんな日常でおられるか今年になって電話したのです。年齢は私より10才位若く70代中ごろです。 その電話がきっかけで交流の空白時間は消えてしまいました。Eテレで放送されていた斎藤環が担当した「中井久夫スペシャル」の話をすることになってしまいました。というのは中井久夫について色々な意味で話せる相…
中井は1934年奈良県生まれ、2022年逝去、精神科医、専門は精神病理学 人類がまだ埋葬していないものの代表は戦争である。戦争を知る者が引退するか世を去った時に次の戦争が始まる例が少なくない。戦争の酸鼻な局面をほんとうに知るのは死者だけ。 戦争が「過程」であるのに対して平和は無際限に続く有為転変の「状態」である。だから、非常にわかりにくく、目にみえにくく、心に訴える力が弱い。平和は維持であるから唱え続けなければならない。 戦争における指導層の責任は単純化される。失敗が目に見えるものであっても、思いのほか責任を問われず、むしろ合理化される。指導層が要求する苦痛、欠乏、不平等は民衆が受容し忍耐する…
NHKテキスト「100分de名著」 中井久夫スペシャル 私が追跡録画をしている番組の一つ。 この番組で「中井久夫さん」を知った。 日本を代表する精神科医の方だそうです。 番組で紹介された本に興味を持ったので図書館で借りてみることにした。 いくつかの本は、「これは線を引きながら読みたい」と思ったので購入する。 買った本は下段の3冊。 特に「こんなとき私はどうしたか」はラインを引きたかったので購入。 この本は、精神科医として患者さんにどういう声かけをしたり対応をしたのか?という内容です。 現場力を上げたい人には参考になるのではないかと思います。 切羽詰まった患者さんは、何気なく言った一言に敏感にな…
写真はシロガシラ(和歌山県某所)、2023.1.22 「〝正義は制度化された商品の平等な分配という意味にまで下落している〟――こんなふうに的確なことばっていうか、いま自分が感じていて抱えている想いのカタマリが、精密に言語化されているのを読むと、何ていうか、幸せだよね。」 といったのはわたしだった、聞いていたのはいつものようにしおりさんとハジメちゃん――それは昨日のことで、わたしは自転車を無軌道に走らせながら、わたしはアタマのなかに、というより肚の底で、色々なことばや想いを反芻している、それはいつものことだが、今の仕事に就いて通勤はクルマになったから日常的に決まった時間に自転車を走らせることはな…
考え方や本の選択は自分なりに、本質を探りたいと密かに切望してきた結果でした。そしてそれは確かに大きな偏りを持った物だったと感じております。私個人の小さい日常からの疑問や苦悩から止む無くチョイスしてきたものです。やっと親としての役割が終わったことですから、その様なことを臆面もなく書いてみるのもいいかなと思ったのです。 この偏りは以前から書いていることなのですが、自分もですが、自分の家族そして親族にも発達に問題があった人がかなりおり、人知れない苦心の日々を送ったからだと感じています。 それは50年程前に自分たち家族の次女の養育に端を発した苦しみから時間と共に判明し、私達夫婦の問題として現れ、主には…
中井久夫は1934年生まれ、2022年死去。京大法学部進学後に医学部へ転籍。精神科医であり名エッセイストでもあった。専門は統合失調症の治療法研究。 解説は精神科医の斎藤環。 『「昭和」を送る』みすず書房 『戦争と平和 ある観察』人文書院 『「昭和」を送る』みすず書房 昭和天皇崩御4か月後に発表された。掲載誌は「文化会議」。単行本は2013年刊行。 架空のアメリカ人歴史家との対話という形式で語る。 昭和天皇は敵機の爆撃音にも微動だにしなかったという。大のカミナリ嫌いだったというから克己の所産だね。 生まれた時から、いかめしい老人たちが自分の前で緊張してかしこまっているという状況だね。なぜそうなの…
鯱城学園の専門学科ではクラスごと半年に一回ほど「研究発表会」というのが実施されます。趣旨は「これまでの生活体験や仕事・趣味などを通じて得た事柄をクラスで発表し、共に考え、視野や見聞を広める機会とする」。「一回当たりの発表者は各クラスで二名。一人30分程度、テーマは各自で設定する」ということになっています。今回は四班の担当となっていて学期初めに班長さんから発表者になるように依頼されました。園芸科2年生になっても特に何もクラス・四班に貢献出来ていないし、名古屋朝顔や山菊の盆栽づくりでは足を引っ張ってばかりだったように感じていたので「発表者になって役に立てるのであればやってみよう」とお引き受けしまし…
しかし、こういった視点を持っていると、間違った時に方向転換できる。これはどんな分野でも同じ。 https://t.co/kC89r8QRYb — メロメロピー77 (@syodainekosuke) 2023年10月30日 整形外科の病気:急速破壊型股関節症 一次性股関節症の原因も判明していませんが、一次性股関節症の一つの型という考え方もある一方で、大腿骨頭壊死症や関節リウマチの特殊型、軟骨下脆弱性骨折、結晶沈着、特発性軟骨融解、骨盤傾斜によるストレスなどが考えられています。しかしいまだその原因は明らかとなっていません。(https://www.tokushukai.or.jp/treatme…
(3)他者が驚く様子を見るのが楽しい:自分の虐待している様子を第三者に見せた(あるいは報道された)ときの反応が「愉快」「面白い」といったことから動物に虐待を繰り返すことがあります。このケースの場合、周囲が驚きを示さなくなると、さらに虐待行為をエスカレートしてしまうことがあります。 (4) 精神疾患からの派生:とくに背景がないにもかかわらず、平然と動物を痛めつけたり、殺したりしたくなるといった欲求から、動物虐待をする子どもがいます。動物が苦しんでいる姿を見ること自体が楽しいといったサディズム、虐待等の犯罪行為に対して罪悪感がない行為障害(成人になると反社会性パーソナリティ障害)や反抗挑戦性障害な…
『超人ナイチンゲール』(2023,栗原康,医学書院)を読んでいる。今、半分くらいまで来たが、とてつもなく面白くて興奮しています。シモーヌ・ヴェイユや中井久夫、ヴァージニア・ウルフなども出てきて、まとめ方と盛り込み方がすごく上手い。 自然災害に作物の病害。予測不可能なことが不安でたまらない。あたらしいことに適応できずに、もっとがんばらなくちゃっと、いままでやってきたことに執着してしまう。p.118 ストーリー調の語りがとても読んでいて楽しく、間に出てくる思想的なまとめもとても勉強になって、ケアの本として素晴らしいです〜
6月の日記に「この夏のやりたいことリスト」を書いていて、それきりほったらかしていたので、半年経ってやっと達成度合いを確認してみた。 🌻この夏のやりたいことリスト🌻 1.すいかを食べる ✅小さめのすいか「ひとりじめ」をほとんど一人で食べた。おいしかったけど、種がすごく多かった 2.とうもろこしをゆでて食べる ✅「白ごはん.com」に載っているやり方に忠実にゆでた。おいしかったので、実を外して冷凍しておく分が残らなかった 3.アイスクリームを食べる(ラクトアイスやアイスミルクでも可) ✅頂き物の白バラプレミアムアイスがめちゃめちゃおいしかった。ミルクとラムレーズンが特においしかった 4.冷たいデザ…
ちょっと臨床心理士っぽくなってきたのか?(昔々その昔のはなし)⑫ -心理検査と司法精神鑑定と井上正吾先生のこと- 日本臨床心理士資格認定協会が設立され、臨床心理士の資格が認定されるようになったのが1988年(私が精神病院に就職してから10年後です)そこから今35年を経過して約4万人超の臨床心理士有資格者がいます。 公認心理師は国家資格ですが、2018年の初めての試験から5年で今7万人の有資格者となっています(大丈夫か?) もちろん他の資格とダブルホルダー、トリプルホルダーの方々がたくさんいます。 ちなみに、私は臨床心理士のみで資格登録番号は 00218 という恐ろしく早い番号です(^_^;)当…
いくら温暖化で遅くなってるとはいえ師走の紅葉狩りはぞっとしないから、今にも降り出しそうな曇天ながら家を出る。 まずはご近所の禅昌寺。特に紅葉で名高いという訳ではないけど、ともかく人が少ない(というかいつ来ても誰もおらん)のが有難い。少し外れただけで深山幽谷の趣を味わえる板宿はケッタイな町である。 次の須磨寺に向かう途中、ふとまだ参詣してないと気づいて板宿八幡の方へ。飛松の伝承なぞは上方にはいくらでもあるから格別に由緒あるお宮とは言えないだろうし、社域も取り立てていうほどの風情はない。でも、ホントに住宅街の真ん中をうねうね縫うように歩いて登る順路はなかなかよろしい。 さて、板宿から須磨寺へは、途…
「子供は親の背中を見て育つ」,「子は親を映す鏡」,「子供は大人の鏡」,「子供に勝る宝なし」,「子に過ぎたる宝なし」,「千の蔵より子は宝」などとも言いますが,自分の生き様(ざま)を通して,真に人間らしく実り多い(自分にとってのみならず他者や社会にとっても有益な),生きる喜びや希望に満ちた幸せな生き方の手本を示すことこそが,未来を担う子供たちに対する大人の務めなのではないでしょうか。「われのできぬことを ひとにさせるな」(中井久夫)とも言うように,たとえそれが自分の子供であったとしても,自分にできないことを他者に求めるべきではありませんし,している本人が気持ちいいだけの建前的な説教などより,本音が…
手回しよいことに、彼女がパンティを着けていなかったのにはびっくりした……。いくらか苦労して、ぼくは男になったのだが、想像していたような歓びと解放感はなく、その代わりに、[…]その午後に関わる一切に対する嫌悪しか感じられなかった。 ──ミルチャ・カルタレスク 13時15分に目覚まし時計をセットしていたが、一時間早く目が覚めた。幸先が良い。今日は約三ヶ月ぶりの散髪のため、叡電茶山駅(最近、名称を変更し、正式には「茶山・京都芸術大学」という駅名になった。ついでに言えば、近頃駅舎も替えたらしい。改札口が設置されていることに驚いた。)のヘアサロン「新天地」へ向かう。 このヘアサロン(僕は「美容院」、「理…
11/19(日)16:30~18:00 最相葉月、阿部大樹「こころを見る、こころを書く」中井久夫がその著作、翻訳の仕事を通じて、私たちに残した言葉の数々について 本と珈琲の店 UNITÉ unite-books.shop 心的外傷と回復 増補新版 みすず書房 Amazon 中井久夫 人と仕事 作者:最相葉月 みすず書房 Amazon
原題:Migration and Mental Health (Cambridge University Press) 編者:Dinesh Bhugra(1952-) ロンドンキングスカレッジ精神医学研究所 公共医療・ 人口調査部 精神保健・文化的多樣性名誉教授 編者:Susham Gupta 東ロンドン NHS基金 精神科専門医 著者:Mohamed Agoub Ibnルシッド大学精神科センター 精神科 精神科教授 著者:Morton Beiser ライアソン大学 心理学部 特別教授 (Professor of Distinction) 著者:Dinesh Bhugra ロンドンキングスカレ…
素で忘れていたが誕生日なのだった。 女の人からLINEが送られてきて気づいた。 40過ぎたくらいから誕生日を意識しなくなった。日常に自分の誕生日より他にもっと意識が向くことがあり、相対的に価値が低くなってしまった結果忘れてしまうのだろう。それとも単なる記憶力の衰えか。 46歳、めでたくもなし嬉しくもなし。 すでに折り返し地点を過ぎて坂を下っていくだけの残りの人生である。 結婚しておらず子供もいない自分に残された今後の人生のイベントと言ったら、両親を見送る、仕事を退職する(できれば定年まで勤めたい*1)、死ぬ、それくらいのものである。どれも前向きなものじゃない。幕を降ろすものばかりである。 人生…
私たちは,自分の人生に満足できていないからこそ,また,自分が進むべき道(自分が本当に信じることのできる自分なりの目標や理想)が定まっていないからこそ,他者の暮らし向きや他者の動向が気になるのであり,自分と他者を比較しては他者との勝ち負けにこだわり,他者と敵対するようになってしまうのではないでしょうか。そして,他者を妬んたり,自分を哀れんだり,自分が不幸であることを他者のせいにしては他者を恨んだり(総じて人間は,「隣の芝生は青い」,「隣の花は赤い」,「隣の飯は旨(うま)い」,「自分の荷物が一番重い」(中井久夫)と感じがちな生き物です。),逆に,他者を見下したり,おごり高ぶったり,自分が社会的に成…
昨年10月刊の『作家の老い方』 作家の老い方 作者:芭蕉,あさのあつこ,角田光代,向田邦子,井上靖,河野多惠子,山田太一,古井由吉,佐伯一麦,島田雅彦,谷崎潤一郎,筒井康隆,金子光晴,萩原朔太郎,堀口大學,杉本秀太郎,富士川英郎,吉田健一,松浦寿輝,谷川俊太郎,室生犀星,木山捷平,吉行淳之介,遠藤周作,吉田秀和,河野裕子,森澄雄,中村稔,穂村弘,倉本聰,鷲田清一,中井久夫,太田水穂 草思社 Amazon 洋々読了・・この中のl河野裕子さんの「存命のよろこび」ですね、これが、 昨年の放送大学の科目で読んだ『徒然草』の言葉で、 兼好が書き芭蕉が言っているという言葉・・ それがわたしなりに少しは腑に…
ファスト教養 10分で答えが欲しい人たち (集英社新書) 作者:レジー 集英社 Amazon ここ数年、ビジネス書には教養のタイトルが使われるものが増えているという。 小説、映画、美術、音楽等の教養を手っ取り早く身につけ、それをビジネスで活かし、成功して金を稼ごう──主旨として大体そんなことが書かれているらしい。 教養とは、教育や勉強によって得られた能力や知識、文化全般に関する知識、必ずしも成功や金儲けにはつながらないかもしれないが人生を豊かにしてくれるもの。 夏目漱石や三島由紀夫の小説を読む、黒澤明や小津安二郎の映画を見る、バッハやモーツァルトの音楽を聴く、レンブラントやフェルメールの絵を鑑…
中井久夫氏の「こんなときわたしはどうしてきたか」にちゃんと書いてある。