木犀の日 古井由吉自選短篇集 (講談社文芸文庫) 作者:古井由吉 講談社 Amazon 『木犀の日 古井由吉自選短篇集』古井由吉著を読む。 『多頭獣の話』上田岳弘著のヒントとなった『先導獣の話』が、読みたくて手に取った。日常に孕んだ非日常なるものとなんといえばいいのか、濃密な文体。短篇だけど、じっくりと読ませる。作者が40代から50代に発表された作品。老い、病そして狂気。喪失した過去を慈しむ気持ち、などなど。散文と思うと腑に落ちた。つまり、現代詩を読む感覚。何篇か紹介。 『先導獣の話』地方で暮らして再び都会に戻った「私」。毎朝の通勤ラッシュについていけない。パニック状態になっている。アフリカの…