古井由吉の文(アンケート) 『新潮』(2022年3月号)に古井由吉三回忌に寄せてと題して、19名の作家・評論家などから、あなたの一文を寄せる」アンケート回答が掲載されている。 まずは、19名による引用文を列挙してみよう。 石井遊佳撰 汗まみれになった気分から、数日来垢をためこんでいたことを思出して風呂場の明かりをつけ、残り湯を静かに、貰い湯のようにつかううちに、わずかに揺れる湯の、桶を叩く音があまりにもひそやかに、奇妙な切迫感を孕んで聞こえてきて、身動きがならなくなった。(「槿」『槿』[1983]) 夜明けの家 (講談社文芸文庫) 作者:古井由吉 講談社 Amazon 岸政彦撰 やがてその手も…