リアリズム(realism)
「(関連する)いかなる事物もあらゆる認識から独立に存在する」、または、「(関連する)あらゆる命題は真か偽かのどちらかだ」、という考え方を採用する立場のこと。自覚的にであるかどうかは特に関係しない。
これよりも「弱い」実在論を採る人たちもおり、そうした立場と対比するために、この「強い」実在論は「形而上学的実在論」と呼ばれることもある。
実在、真実在、非実在、科学的実在論、反実在論、概念実在論(実念論)、素朴実在論
ノミナリズム(唯名論)、概念論、観念論、イデアリスム、唯心論、形而上学、実体、実存 リスト::哲学関連
Realist. リアリスト
言葉の意味に対応するものが実在(≒存在)しているという立場のことをいうみたいである。 「犬」という言葉がある。そしてあちらで散歩しているワンちゃんも存在している。 実在論を別名「唯名論」とも呼ぶみたいである。 そして、この唯名論は現代哲学でもまだ決着がついていない。 つまりは、「鶏が先か卵が先か」問題と重なる。 言葉が先か。実在が先か。 直感では、先に犬がいて、人間があとから名付けたと思う。 「関係」「調節」とった言葉はどうだろう。 これもまた、先にそういう現象があったから人間があとから名付けた。 しかし。 ここで池田晶子氏はこのように突っ込むだろう。 「それを我々は名付ける前から知っているか…
マルクス・ガブリエルといえば『私は脳ではない』が有名だ。 新実在論を唱える、現代の若き天才哲学者と呼ばれる。 この方と池田晶子氏が共通の考えを持っていることが分かった。 池田氏は深海魚に眼がない生き物がいることを指摘してこう言う。 「光が先にあって、そこから眼が生まれた」 光がない深海には眼が要らない。故に眼がない魚がいても不思議ではない。 この考えを応用させていく。 つまり、先に「考え」があり、「精神」があり、そこから「脳」が生まれた。 この論理構造は決しておかしなものではない。 マルクス・ガブリエルの本は難しくてまだ読めていないが、このことがわかった僕は、彼の本に興味が湧いた。 哲学は独自…
現代思想界の新星・メイヤスー カンタン・メイヤスーの名前が「思弁的実在論」というジャンル名とともに聞こえてきたのがいつだったかあまり覚えていないが、2016年に人文書院から『有限性の後で 偶然性の必然性についての試論』が千葉雅也・大橋完太郎・星野太訳で刊行された時には「ついに登場!!」という雰囲気だったと思う。 後に「新しい実在論」などと呼ばれることになる、日本では2010年代後半に特に盛り上がった新潮流が徐々に伝わって来ており、その代表選手として翻訳されたような感じだった。 有限性の後で: 偶然性の必然性についての試論 作者:カンタン メイヤスー 人文書院 Amazon そもそも哲学や現代思…
奇跡論法とは「ある科学理論について,現在の科学の成功はその科学理論が経験的に妥当でなければ奇跡になってしまうから,その科学理論は経験的に妥当なはずだろう」という,科学理論の経験的妥当性(ないしは科学理論の指示対象の実在性)を擁護する議論である.以下ではこの議論の数式による定式化を試みる(cf. Sprenger (2016)). なお,奇跡論法を含めた科学的実在論争については以下の戸田山の本に詳しい. 科学的実在論を擁護する 作者:戸田山 和久 名古屋大学出版会 Amazon :科学(理論)の(予測や説明の)成功 :科学理論が経験的に妥当 として,奇跡論法を考える.奇跡論法の中心的前提は以下の…
三角形。 街にはいたるところに三角形がある。 ブランドの看板。 アプリのロゴ。 ペットボトルのマーク。 これを皆三角形と当たり前のように思っている。 何故か。 厳密には長さが違う、大きさが違う。 にもかかわらず。 プラトンさんは「イデア」があるからと考えた。 三角形のイデアを皆持っている。だから皆、わかるのだと。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 目の前の物質は何者なのか。 例えば石。 あくまで、光を通して、網膜を通して、知覚として僕たちはそれを「石」と呼ぶ。 じゃあ、「僕」がいなければ「石」は存在しないのか? 否。 他の人間がいれば「石」は存在する。 じゃあ、人間が…
マルクス・ガブリエル他 斎藤幸平編「未来への大分岐」を読む3 相対主義は他者を非人間化する! と警鐘を鳴らす。自明の真実をねじ曲げ、他者他国と線を引く。自分は自分、他人は他人という思考が極端化して相互理解など吹き飛んでしまったところに、大きなトラブルが発生してしまう。 「世界は存在しない」というマルクス・ガブリエルの新実在論が紹介される。世界という何やら包括的な概念を用いて、その仕組みを解き明かそうと先人たちは努力して来たが、そんなものはないと言う。私たちは今も目の前に態度を合わせている事実があるだけでそれだけなのだと。それを意味の場と呼んでいる。そして事実とは自分の意識から独立した外側にある…
一歩も進まないはずの問題の愉しみ「語の意味の説明」とは「言葉による定義」と「指差しによる直示定義」だ。 と、ウィトゲンシュタインの「青色本」に書かれている。で、「言葉による定義」は1つの言語表現から別の言語表現に移るだけだから、ある意味では一歩も進まない。 と、切り捨て、或は棚上げにして、直示定義の分析にはいっていき、これが滔々と「哲学探求」の流れに入っていくようだ。が、小生はウィトゲンシュタインの切り捨てた、一歩も進まないはずの「言葉による定義」が何故この人間世界の礎になっているかに興味が向く。↓ みんな辞書を引く。ググる。 一歩も進まないはずなのに。↑との問題意識は哲学的には幼稚で、少なく…
記事の内容 この記事では、「正義の教室」という本を紹介したい。 正義とはなにか? 自由とはなにか? 現代倫理学入門として最高の本だった。 学問としても、ライトノベルとしてもかなり楽しめた 流石、哲学入門の導き手として名高い飲茶氏の本だ。 気になった方は、ぜひ本記事を読んでみてほしい。 記事の内容 正義の教室 飲茶 自由主義の核 強い自由主義の問題点 無知のヴェール それでも!!みんなが賛成する正義がある 宗教の正義 直感主義 哲学史 物質・理性の世界とその外側 ニーチェの神は死んだ、の本当の意味 本書の結論 正義とは 関連記事 正義の教室 飲茶 ★5刷突破!「正義論」のロングセラー30人の幼児…
「粒子は わからないだけでどこか1点には居る」は間違い - 墓所の虫 ですが、要は 実在論の前提: 「位置がどこにあるかが決まっている=x1。 しかし、x1はわからない」 では議論にならないので、 ψ(x) を、真ん中x0 で左右に分けてみた。 そうすれば 「x1が左右のどっちにあるかは自明」 =左が100%か右が100%かのはず しかし、真ん中で左右に分けたら、左右とも≠0% これは矛盾! ∴ 前提(実在論)は誤り というものです。 電子スピンの↑・↓の場合で考えると、 実在論の前提: |↑>+|↓>であっても、わからないだけで ↑か↓のどちらかが100% →しかし、|↑>+|↓>では、どち…
サブタイトルは「音楽美学と心の哲学」で、心の哲学、とりわけ知覚の哲学や情動の哲学を用いて、美学の理論構築を行っている本である。 さらにいえば、認知科学の知見も取り入れながらの、美学の自然化プロジェクトの一環として書かれている。 1~5章は、美学一般に関わる議論。全体として、美的判断の客観主義を擁護する議論が展開されており、具体例は音楽の事例が用いられているが、音楽以外にも適用可能な議論となっている。 6~10章は、より音楽にフォーカスした議論を展開しており、音の存在論から始まって最終的には本書のタイトルにあるような音楽と情動(表出)の議論が展開されている。 具体例も豊富で、丁寧な説明とともに議…
7/28今日のKindle日替りセール情報です。 【夏の定番】ハーブの涼やかな香りをまとった、ピュアフレッシュネスシリーズ つい「完璧」を求めてしまう性格に、苦しんでいませんか?誰の心にも潜む完璧主義は、あなたの短所ではなく、仕事や生活の成功をもたらす、もっとも優れた性質なのです。「完璧主義者」は誉め言葉、それとも嫌なレッテル?ハーバード大学医学大学院の臨床心理学者が、つい“がんばりすぎてしまう"完璧主義には「健全なもの」と「不健全なもの」があることを明らかにし、自分自身に対する理解を深めて不健全な習慣を変える方法をお教えします。「はじめに」より完璧主義に関するセルフヘルプの本の多くは、次のよ…
2022年5月消費コンテンツ データサイエンス・統計系の資格を取りまくっているのもコンテンツ消費なので今月から記載することにした。合格して初めて消費した扱いとする(例:応用情報技術者は4月に受験して6月に合格したので6月の消費コンテンツ扱い)。 試験というのも作者が思いを込めた一つの作品であって、映画やアニメと同じように鑑賞対象になる。という見方は試験に馴染みのない方には奇抜に聞こえるかもしれないが、受験業界ではわりと常識的なものだ。試験においては作者がどんなスキルをどうやって確かめたいかという意図が問題の形で表現されている。映画でもこんな作品を作りたいという監督の目的が具体的な動画の形で表現…
TLS。ソヴィエト時代のクジラ乱獲。 某所用のためウチの人と大学へ。おかげで直接の目的は果たせた。感謝。 メチエの分析哲学入門は可能世界の話。なんか難しい。入門書では見たことのない話になっていると思ったら様相実在論推しのせいか。 8894
11 (Mon). July. 2022 一応物を書いて世に出す身分であるから(と言う程大した立場でもないが)、常々主張の根拠とする所は明らかにしておかねばならないだろうと考えている。ここでは映画を論じることが専らであるが、それに対しても「良い映画」と「悪い映画」は何を以て区別されるのかを明確に読者に示す必要があるだろうとも思う。 感情論で話すならば、筆者は基本的に全ての映画が好きだ。どんな映画でも裏には心血を注いで制作するスタッフが、百人単位でいるのであり、譬え面白いと思えなくても、嫌いな作風であっても褒めたいと思う。それこそ淀川長治氏が述べていたけれども、どんな映画であっても必ず優れた点が…
うまくいってもいかなくてもこの町にいるのは残すところもう一年を切った。西から少しずつ移動してきて思う。街を出たら最後、自分が思っている町から変わってしまうということだ。どのタイミングから変わってしまうか突き詰めれば背を向けた瞬間まで辿れるかもしれない。(素朴実在論?!月が見えなくなったら月は存在しない!)帰省しても自分が思い描いていた風景は失われている。悲しいかな、懐かしの町を訪れるとか不可能なのだ。(本当に悲しいことなのか?)古本屋では通俗的な雑誌やビラはおかれていないか、おかれていてもせいぜい100円くらいで安売りされている。誰も保存してくれないからむしろこういうどうでもいい印刷物のほうが…
・現代思想入門 著者:千葉雅也 出版:講談社現代新書(Kindle) 「現代思想」の代表として、デリタ、ドゥルーズ、フーコーを位置付けて、その思想と意義について論じるとともに、その源流となる思想(ニーチェ、フロイト、マルクス)やバックボーンとなる精神分析についてもふれた上で、on the wayの<現代>思想として「ポスト・ポスト構造主義」まで論じた作品。 色々最近見かける作者さんですが、ナカナカ整理がクレバーだし、単に「哲学」「思想」として概念的な話をするだけでなく、それが具体的にどういう風に人間の考え方や社会のあり方と関係しているのかにまで関連づけて論じる等、興味深く読むことができました。…
定時起床。シリアル、朝刊。雨。 朝、娘をバス停まで送り、歩いて大学へ。研究室の鍵を忘れたのでしばらく院生室にお邪魔して仕事。午前中は某原稿執筆と某定例ミーティング。 お昼はベジラーメン。 お昼すぎ、某氏に手伝ってもらいながらメールの返事。終わらず。 昼下がり、某氏の研究相談。それから某原稿執筆など。 夜、某オンラインELSIミーティング。終了後、バスで急いで帰宅し、夕食。 夜中、シャワー。日記を書くのを忘れて寝る。 「価値を創造する」という表現をよく見るが、実在論者なら「価値は創るのではなく発見するんです!」と言うかもしれない— 児玉聡 (@s_kodama) 2022年6月21日 研究室のカ…