目覚ましが鳴る。時計を見て、心臓が跳ねた。寝坊だ。橙木は焦る。 着替えながら冷蔵庫へ駆け込む。奥にあった黄色いパッケージ——バナナ味のゼリー飲料。キャップを回して一気に流し込む。甘くてとろりとした液体が喉を滑り落ちる。 玄関で靴を履きながら、ふと壁の時計に目をやる。あれ?まだ余裕がある。スマホの時計と見比べて、ようやく気づいた。いつもより三十分早く起きていたのだ。 習慣というのは不思議なものだ。毎朝六時に起きる生活を続けていたから、今日たまたま五時半に目が覚めても、体は「遅刻だ」と錯覚してしまった。 深呼吸をする。焦る必要はない。ゆっくりコーヒーを淹れる時間さえある。でも手にはまだ、空になった…