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第七回翻訳ミステリー大賞決定!

■名古屋読書会 7月2日 満席■
■福島読書会 7月3日 開催!■
■埼玉読書会 7月9日 満席■
■福岡読書会 7月9日 開催!■
■岐阜読書会 7月17日 満席■

■各地読書会カレンダー■

※イベントカレンダーに掲載ご希望の方は事務局までメールでお知らせください。
翻訳ミステリー・イベント・カレンダー
イベント内容(案内記事リンク/=関連書アマゾン)
16 満席(キャンセル待ち可) 南東京読書会番外企画、ミス・マープル読書会(カフェ・クリスティ)
フランス文学 翻訳家の仕事場から 講演者:平岡敦 ディスカッサント:野崎歓 司会:澤田直(日仏会館)
30 満席(キャンセル待ち可) 第18回翻訳百景ミニイベント 柳下恭平(校閲専門会社・鴎来堂代表&かもめブックス店主)×越前敏弥


2016-06-28

チャールズ・ウィルフォード『拾った女』(執筆者・浜野アキオ)

 

 

 今回、チャールズ・ウィルフォード『拾った女』(原題 Pick Up)を訳したんですが、出版にあたって若島正氏より、ありがたくも帯の文句をいただきまして、それが「直球ど真ん中のノワールと見せかけて実は読者の手元で変化する曲球」というものなんですね。若島さんのおっしゃるとおりで、この『拾った女』という小説、不遇の男がふとしたことで宿命の女に会い、二人で堕ちていくという、ノワールの王道というか、ノワールの中のノワールというか、ノワールの生一本というか、ノワールそのものといった世界がこれでもかというくらいに展開されるんです。で、ノワールの定型に則った展開がそのまま最後まで続くのかというと、これまた若島さんのおっしゃるとおりでけっしてそんなことはなく、途中からどんどん、どんどん話がずれていく。

 

ゲッタウェイ (角川文庫)

ゲッタウェイ (角川文庫)

 一言でいうとひじょうに変な物語なんです。でも変な物語といったら『マイ・フェア・レディ』だってものすごく変な物語なわけで、もうちょっとその辺について話すと、なんというか、同じノワールで例を挙げるなら、ジム・トンプスン『ゲッタウェイ』という小説があるじゃないですか。意味合いは全然ちがうんですけど、ちょっとあれに似たところがあるというか。『ゲッタウェイ』もノワールの王道的な展開を示しながら、途中から話がずれていく。しかも話がずれていくことで作品が失敗しているかというと、全然そんなことはなくって、むしろそのずれていった部分にこそ作家の本領が発揮されている。『拾った女』もそうなんです(ちなみに、ぼくにとって『ゲッタウェイ』はアンナ・カヴァン『氷』と並ぶ、二大究極のホラー小説の一つです。さらにいうと、あの恐るべき小説を読んでしまったあとでは、ペキンパーの同作の映画がつまらない作品としか思えなくなるという前代未聞の映画潰し原作でもあります)。

  

『拾った女』という作品はノワール中のノワールでありながら、一筋縄ではいかないというか、一方ではノワールの枠に程よく収まりきっていない。そこにこの小説の最大の魅力があると思うんですね。主人公二人はアルコールの依存症者なのですが、その後のサイケデリック時代を先取りするような描写もあって、それこそ一種のドラッグ小説としても読めるし(まあ、酒も立派なドラッグですし)、作品全体としては陰惨なトーンでありつつ、ウィルフォード独特のゆがみきったユーモアも随所で地雷のように破裂している。それとやはり主人公のカップルは明らかに闇を抱えているわけですね。読む方はどうして彼らが闇というかデモーニッシュなものを抱え込んでいるのかさっぱりわからないんだけど、どんどん破滅に向かって突き進んでいく。すると小説全体がその闇というかデモーニッシュな何やらの根源を抉り出すという方向に向かわざるをえない。まさしくノワール(黒/闇)という次第なんですけど、これが全体として一種の精神分析小説として読めなくもない。で、前半は症例篇、後半は分析篇というか(笑)。

 

狙った獣 (創元推理文庫)

狙った獣 (創元推理文庫)

 この作品は1955年に発表されています。マーガレット・ミラー『狙った獣』が発表されたのとちょうど同じ年ですね。『狙った獣』は当時のアメリカを覆っていた神経症的な不安を鋭角的に切り取った傑作ですが、『拾った女』も、当時のいわゆるニューロティック・サスペンスと同じとはいわないまでも、共通する問題意識というか、枠組みの中で書かれているのはまちがいないと思います。ただ、『拾った女』という作品が面白いのはさらにその先なんですね。さっき述べたように、主人公のカップルは明らかに心の奥底に闇を抱えているし、読者はその闇、〈彼らの問題〉にずーっと付き合わされるわけです。ところがラストに至り、ある操作が施されことで、その地と図が一気に反転する。結局、読む者は本当に闇を抱えているのは誰なのかという問いの前に立たざるをえなくなる。すると、ちょうどくるりと手袋を裏返すようにニューロティック・サスペンスの枠組みがひっくり返されるというか……。本書が底の抜けたニューロティック・サスペンス、脱ニューロティック・サスペンスとでもいったような様相を呈しているといったら穿ちすぎでしょうかね。

 

 ネタバレにならない程度にさらにもう一つだけ。本書のテーマが、けっしてサイコパスではない主人公のどこかサイコな内奥の闇にあるということは話してきたとおりです。それで、ずっと読んでいくと途中で主人公の錯乱を示唆しているような描写があって、どうやらその闇は、〈見ている俺〉と〈見られている俺〉の分裂、裂け目と関係しているみたいなんですね。で、その〈見ている俺〉と〈見られている俺〉との分裂というのは、語りのレベルでも反復されていて、これは注意深く読めばわかるのですが、本書はどこの時点にいるのかよくわからない〈俺〉が過去の〈俺〉について語っているという構成をとっている。〈語っている俺〉と〈語られている俺〉というか、主人公である〈俺〉の背後に、もう一人の登場人物である〈俺〉が潜在しているというような感じ。で、本書のラストに強烈な一撃があるわけですが、一見、唐突とも思えるその一撃は、実はこの語りの分裂、裂け目にその根拠を置いているのだ、と。

 

 これ以上はネタバレになりそうなのでこの辺でやめておきますけど、ここでまた最初の話題に戻るとして、本書は一筋縄ではいかないノワールだとお話しましたが、「それで、結局、これってミステリなの?」という声が聞こえてきそうですね。実際、派手な犯罪が起こるわけでもないですし、警察は登場しますが、鮮やかな洞察で事件を解決に導く警官が出てくるわけでもない。でも、テキスト空間に罠を仕掛け、ラストにいたって鮮やか(?)に回収する手口はまさしくミステリそのものだと思うのです。そういう意味ではむしろミステリ・ファンにこそ読んでいただきたい(笑)。もっと言うと、ラストまで読んでさらにもう一度、本書を読み直すと、初読のときとはまったく別の風景が展けているという稀有な読書体験を提供している作品でもあると思います(ひょっとしたら、稀有どころか、すべての読書体験はそういうものなのかもしれませんが)。

 

 訳者としてのウィルフォードの作品との付き合いはこれで3作目になるわけですが、いつもこの作家のことをどれだけわかってもらえているのかなと思うんです。「ウィルフォードの作品には(のちのカルトをうみだすような)サムシングが強烈に存在した」と述べ、「甘いような、苦いような、辛いような、酸っぱいような読後感」と的確この上ない名言を吐いたのは滝本誠氏ですが、この『拾った女』では「甘いような、苦いような、辛いような、酸っぱいような」、そのどれでもなく、そのすべてでもあるような、ウィルフォード独特のエモーションが他の作品にも増して炸裂しています。一人でも多くの人にこのウィルフォード・フィーリングを感じとってもらえたら、訳者としてはそれ以上、望むことは何もありませんね、いやほんとに。

 

 そうそう、ウィルフォードの作品が刊行されるのも久しぶりだということでざっと紹介するということでしたね。かなり長くなってしまったんでごく簡単に。ウィルフォードは1919年生の1988年没で、ジム・トンプスンやデイヴィッド・グーディスと並ぶパルプ・ノワール作家の雄です。やはり滝本誠氏によりますと、他のパルプ作家が不遇な生をかこったのに比し、ホウク・モウズリー刑事シリーズの成功により、ウィルフォードだけは例外的に幸福な晩年を送ったのだとか。パルプ・ノワール作家として出発し、エルモア・レナード「ウィルフォードより上手くクライム・ノベルを書ける者は誰もいない」と評された職人技でエンターテインメント作家として商業的な成功をおさめ、かつまたノワールでクールな作家として再評価を受け、加えて雑誌『リサーチ』に、よりストレンジなカルト小説の書き手としても評価されるという、この分裂し、とっちらかったありようこそがウィルフォードなのだと思ってもらえたらまちがいないんじゃないでしょうか。

 

 ご清聴、ありがとうございました。

 

浜野アキオ(はまの あきお)

 1961年生。翻訳者。ウィルフォードの他の翻訳としては『危険なやつら』『炎に消えた名画』(いずれも扶桑社ミステリー文庫)がある。

 

■担当編集者よりひとこと■

 

 舞台はサンフランシスコ。50年代。

 夜の街で、夢に敗れた男とブロンドの美しい女が出逢う。

 かりそめの関係を結んだ二人。

 しかし彼らを待つのは酔いどれの日々と、死への抗いがたい誘いだった……。

 まずは、本書制作にご尽力いただいた諸氏に心からの感謝を捧げたいと思います。

 もちろん最初にあげるべきは、翻訳者の浜野さん。練達の訳文でアメリカ50年代の空気感を活写してくださった結果、風格のあるノワールとして邦訳版が成立しました。上の訳者自薦も、作品の勘所をズバリおさえたものとなっていて、実にありがたいかぎりです。

 若島正先生にはこれ以上ない帯推薦を頂戴いたしました。本当にありがとうございました。もともとは若島さんが『ハヤカワミステリマガジン』のコラム「失われた小説を求めて」で本書の原書を取り上げられたのが、『拾った女』の内容が日本語で紹介された嚆矢だったのでした。ようやく翻訳の形で世に問うことができ、これほど嬉しいことはございません。

 素晴らしい解説をご執筆いただいた杉江松恋さんにも感謝です。(おそらくその構造上)極めて解説者泣かせといってよいであろう本書の魅力と読みどころを、絶妙のさじ加減で読者にわかりやすく提示してくださったその手腕、本当にお願いして良かったと感激しております。読者の皆様はぜひ、ウィルフォードの「技」と合わせて、杉江さんの書評家としての「技」もお楽しみいただければと思います。

 そして、弊社海外文庫の前担当者であるT(このブログで昔連載を持っていた)。実は本書は、彼が企画したまま諸般の事情で刊行が遅れ(本当に幻になりかけてた)、いまようやく陽の目を見た作品なのです。ジム・トンプスン連続刊行で扶桑社ミステリーのノワール路線を切り拓いた先達の置き土産を、皆様のお力添えを得て形にすることができて、本当に後輩冥利、編集者冥利につきる思いでございます。

 

 ローレンス・ブロックやエルモア・レナードが絶賛する天才が、そのキャリアの初期にものしたノワールの傑作。

 評論家のウディ・ハウトは「デイヴィッド・グーディスのロマンチシズム、ホレス・マッコイの手になる疎外された除け者たちの肖像、チャールズ・ジャクスンが『失われた週末』で描きだした酒浸りの人生。本書はその鮮やかな融合だ」と評しています。

 典型的な負け犬(ルーザー)たちの物語。ノワール版「同棲時代」。

『喝采』『酒とバラの日々』『ハスラー』といった同時代作と通底する「酒と人生」をめぐる物語でもあります。

さらに、上記原稿で浜野さんが1950年代のニューロティック・スリラーとの共通軸について言及されているのは、単なる同時代性、同テーマ性「だけ」の話ではありません(意味深)。

 

 編集者としましては、とにかく予備知識なく、まずは生粋のノワールとしてお楽しみいただきたい、と思います。

 しかるのち、きっと読了後は「いろいろ話したくてたまらなくなる」でしょうが、そこはぐっと我慢して、さりげなく(あんまりあおらずに)別の方に「なかなか面白かったよ」とお薦めください。

 で、相手が読み終わったら、ぜひ熱く本書の感想戦を展開してほしいんです。

 もうですね、編集者も語りたいことが山ほどあるんですが、これ以上何も語れないのがホント悔しい、もどかしい(笑)。

 逆に言いますと、読了後はきっと誰しも何かしら語りたくなる小説だと思うんですよね。なので、読書会などの題材としても最適ではないかと愚考する次第です(いやらしい)。

 

 というわけで、ノワール好きの方も、ノワールとは無縁の方も、ぜひご一読いただけると幸いです。7月2日発売でございます。よろしくお願い申し上げます。

 

(扶桑社・編集Y)   

 

ゲッタウェイ (角川文庫)

ゲッタウェイ (角川文庫)

ゲッタウェイ [Blu-ray]

ゲッタウェイ [Blu-ray]

狙った獣 (創元推理文庫)

狙った獣 (創元推理文庫)

WORLD WAR Z(上)

WORLD WAR Z(上)

WORLD WAR Z(下)

WORLD WAR Z(下)

殺しの時間-乱視読者のミステリ散歩

殺しの時間-乱視読者のミステリ散歩

失われた週末 [DVD]

失われた週末 [DVD]

喝采 [DVD]

喝采 [DVD]

酒とバラの日々 [DVD]

酒とバラの日々 [DVD]

ハスラー [Blu-ray]

ハスラー [Blu-ray]

  

【随時更新】訳者自身による新刊紹介 バックナンバー

2016-06-27

NY Timesベストセラー速報20160703(執筆者・佐藤桂)

アメリカのベストセラー・ランキング

7月3日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)


1. END OF WATCH    Stay

Stephen King スティーヴン・キング

End of Watch: A Novel (The Bill Hodges Trilogy)

End of Watch: A Novel (The Bill Hodges Trilogy)

退職刑事ビル・ホッジズを主人公とした3部作の最終作。助手のホリーとともに探偵社を営むホッジズは、母親が四肢麻痺の娘を殺して自殺した事件に疑念を抱く。その娘は7年前の“ミスター・メルセデス”事件で重傷を負った被害者のひとりだった。


2. FOREIGN AGENT    New!

Brad Thor ブラッド・ソー

アメリカ海軍特殊部隊SEALS出身のエージェントが活躍するスコット・ハーヴァス・シリーズの第15作。シリアでの対テロ作戦のため、ハーヴァスの得た情報にしたがってイラクに潜んでいたCIAの秘密部隊が襲撃された。元の情報提供者の行方を追っていたハーヴァスは、アメリカへの憎悪に満ちた恐ろしい敵がいることに気づく。


3. THE GIRLS    New!

Emma Cline エマ・クライン

The Girls

The Girls

1969年の夏、カリフォルニアの孤独な14歳の少女イーヴィは、自由奔放な19歳のスザンヌと出会い、ヒッピーのグループに強く惹かれていく。だが、ようやく見つけたその居場所は暴力的なカルト集団だった。


4. TOM CLANCY: DUTY AND HONOR    New!

Grant Blackwood グラント・ブラックウッド

ジャック・ライアン・ジュニアを主人公としたスリラー第2作。暗殺者に襲われたジャック・ライアン・ジュニアは、捜査をすすめるうちにドイツの謎めいた警備会社に行き当たる。創設者のロストックはドイツ陸軍特殊部隊出身の高名な人物だが、ジャックにはロストックに狙われるだけの理由があった。


5. HERE'S TO US    New!

Elin Hilderbrand エリン・ヒルダーブランド

亡くなったセレブリティ・シェフの元妻である3人の女性とその子どもたちが、故人の遺言により、それぞれに思い出の詰まったナンタケットの別荘に集まった。“サマー・ノベルの女王”と呼ばれる人気作家の最新作。


6. THE GIRL ON THE TRAIN    Down

Paula Hawkins ポーラ・ホーキンズ

The Girl on the Train

The Girl on the Train

ロンドンに住むレイチェルは、毎朝同じ通勤電車に乗り、線路ぞいのある家に暮らす夫婦の朝食風景をながめるのを日課にしていたが、ある日意外な場面を車窓から目撃する。やがてその夫婦の妻の失踪が明らかになり……。イギリスの新人女性作家による心理サスペンス。邦訳『ガール・オン・ザ・トレイン』(池田真紀子訳)が講談社文庫より刊行されている。


7. AFTER YOU    Down

Jojo Moyes ジョジョ・モイーズ

After You

After You

2012年発表(邦訳は2015年)のベストセラー『ミー・ビフォア・ユー きみと選んだ明日』の続編。前作は半年限定で介護職についたルイーザと、四肢麻痺の青年実業家ウィルとの物語で、今回はその後、主人公ルーがもがきながら自分の道を探そうとする姿を描く。


8. BEFORE THE FALL    Down

Noah Hawley ノア・ホーリー

Before the Fall (English Edition)

Before the Fall (English Edition)

ある夏の夜、11人の男女を乗せたプライベートジェット機がマサチューセッツ州沖の島からニューヨークをめざして飛び立ち、16分後に墜落する。生存者は画家と男児のふたりだけだった。犠牲者の素性や境遇がわかるにつれ、事故は仕組まれたものではないかという疑惑が深まっていく。


9. THE LAST MILE    Up

David Baldacci デイヴィッド・バルダッチ

20年前に自分の両親を殺害して服役していた死刑囚が、べつの人物の自供によって刑の執行を免れた。超記憶症候群のため驚異的な記憶力を持つデッカー刑事は、FBIの特別チームの一員として真相究明に乗りだす。シリーズ第2作。


10. THE EMPEROR'S REVENGE    Down

Clive Cussler and Boyd Morrison クライブ・カッスラー、ボイド・モリソン

オレゴン・ファイル・シリーズ第11作。モナコグランプリの最中に銀行が襲われ、秘密工作船オレゴン号の活動資金が奪われる。船長のファン・カブリーヨと仲間たちは犯人を追うが、やがて世界を揺るがす陰謀が明らかになる。ナポレオンのロシア侵攻の際に盗まれた文書とは。


【まとめ】

今週は4作品が新たにランクインしました。2位のスコット・ハーヴァス・シリーズは、第1作『傭兵部隊〈ライオン〉を追え』からの3作品(早川書房)と、第11作『ブラック・リスト ―極秘抹殺指令―』(SBクリエイティブ)が翻訳刊行されています。3位は著者の小説デビュー作。実在した殺人カルト集団マンソン・ファミリーをベースにし、カルトに加わったごく普通の少女の心情を描いたフィクションです。4位のグラント・ブラックウッドは、トム・クランシーの『デッド・オア・アライヴ』や、クライブ・カッスラーのトレジャーハンター・シリーズなどの共著者で、ジャック・ライアン・ジュニア・シリーズは昨年の“Tom Clancy: Under Fire”につづく2作目になります。ベストテン外では、11位に『シッピング・ニュース』、『ブロークバック・マウンテン』などで知られるアニー・プルーの“BARKSKINS”がはいっています。


佐藤桂(さとう けい)

神奈川県在住の翻訳者です。 この週末は木曜日から“Brexit”で大騒ぎとなりました。個人的に多少のご縁のある国なので国民投票には注目していましたが、今後どのような影響が出るのでしょう。このBrexitという語ですが、初出は2012年6月。シティグループのエコノミスト、エブラヒム・ラーバリ氏が同年2月に考案した“Grexit”から派生したと言われています。日本語では「英国離脱」「EU離脱」などと訳すのでしょうが、場合によってはブレグジットなどとカナを併記したほうがいいのか、縮めてくっつけた造語だとわかる工夫は要るのかなどと、些末なところも気になっています(笑)。こういうアイコン的な使い方をされることばを伝えるのは、むずかしいですね。


Tom Clancy Under Fire (A Jack Ryan Jr. Novel)

Tom Clancy Under Fire (A Jack Ryan Jr. Novel)

ブロークバック・マウンテン (集英社文庫(海外))

ブロークバック・マウンテン (集英社文庫(海外))

Barkskins

Barkskins

2016-06-25

【再掲】第16回福島読書会のお知らせ

 

「翻訳ミステリーのABCからXYZまで」を課題書選定テーマに、2012年2月に『ABC殺人事件』でスタートした翻訳ミステリー福島読書会も回を重ねて16回目、アルファベットシリーズ「T」のお知らせです。


 米英仏ソによる四分割統治下にあった、第二次世界大戦後のウィーン。親友からの誘いでやってきたアメリカ人の売れない西部劇作家。親友の恋人。ツィターのメロディ。カフェ・モーツァルト。光と影の交錯。親友の死の真相。プラーター公園の大観覧車。地下の巨大な下水道。そしてあの並木道……今回のお題は The Third Man『第三の男』を選んでみました。

 グレアム・グリーンの小説と、歴史に残る名作といわれる映画の両方を課題に致します。

第三の男 (ハヤカワepi文庫)

第三の男 (ハヤカワepi文庫)



日時:2016年7月3日(日)14時開場 受付14時15分 読書会は14時30分から16時30分まで


場所:福島県二本松市 JR二本松駅から徒歩30秒 市民交流センター2階第1会議室


課題書など:キャロル・リード監督、オーソン・ウェルズ主演、1949年製作の英国映画(各社から廉価版DVDが出ています)とハヤカワepi文庫刊、グレアム・グリーン著、小津次郎・訳の『第三の男』を観賞ならびに読了してご参加ください。「見てから読むか、読んでから見るか」、どちらから先でもかまいませんが一方だけではご参加いただけません。


定員:12名


参加費:500円 学生無料


*福島読書会では「デスティネーションキャンペーン」を行っています。

 今回は6月に開催される翻訳ミステリー大賞シンジケート後援の全国各地の読書会と、7月2日の名古屋読書会に参加される方を対象に、福島読書会の参加費を無料と致します。

 参加お申込みのさいにその旨お知らせください。


申込方法

◎件名を【福島「鳩時計だとさ」読書会】とし、下記の要領で専用アカウント(nazotoki2013@mail.goo.ne.jp)までメールでお申し込みください。タイムスケジュールなどのお問い合わせもこちらまで。

1)お名前(ハンドルネームでもかまいません)

2)連絡先お電話番号

3)私の挫折体験本:当日の自己紹介の際に途中で投げ出してしまった挫折本のタイトルをお話しいただきます


◎先着順で受け付け、定員に達した段階で締め切らせていただきます。ご了承ください。


◎わが二本松市には『第三の男』に登場するカフェ・モーツァルトのような名店はありませんが、読書会の前と後には食事会を予定しています。自由参加、別会費です。


◎読書会の追加情報に関しては公式ブログにてお知らせいたします。

 なお、7月以降の福島読書会の課題書は8月に『霧越邸殺人事件』『日出処の天子』、年末に『11人いる!』を選定致しました。海外作品の読書会は7月が年内最終開催となる事を申し添えておきます。


主催:翻訳ミステリー福島読書会AtoZ

後援:翻訳ミステリー大賞シンジケート


各地読書会カレンダー

これまでの読書会ニュースはこちら


隠された十字架―法隆寺論 (新潮文庫)

隠された十字架―法隆寺論 (新潮文庫)

11人いる! (小学館文庫)

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