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第八回大賞 本投票受付中
第八回授賞式&コンベンション参加申込み受付中!

■神戸読書会 4月29日 開催!■
■松山読書会 5月20日 開催!■

■各地読書会カレンダー■

※イベントカレンダーに掲載ご希望の方は事務局までメールでお知らせください。
翻訳ミステリー・イベント・カレンダー
イベント内容(案内記事リンク/=関連書アマゾン)
10 【対談】翻訳家と編集者のしごと(朝日カルチャーセンター新宿教室) 講師:ドイツ文学翻訳家・酒寄進一 東京創元社編集者・佐々木日向子
27 第22回翻訳百景ミニイベント「翻訳出版の現在を語る」樋口真理(三省堂)、小野寺志穂(ハーパーコリンズ・ジャパン)、古賀一孝(サウザンブックス)、鹿児島有里(フリー編集者)、越前敏弥(文芸翻訳者)
22 翻訳ミステリー大賞・読者賞総まとめ&『おやすみ、リリー』発売記念イベント(梅田蔦屋書店) 越前敏弥&関西翻訳ミステリー読書会(大阪・神戸・京都)有志メンバー
22 第八回翻訳ミステリー大賞授賞式&コンベンション(大田区産業プラザPiO)
21 『世界文学大図鑑』刊行記念トーク&サイン会(紀伊國屋書店グランフロント大阪店) 越前敏弥(文芸翻訳者)
20 【注目】 第八回翻訳ミステリー大賞 本投票締切


2017-03-24

第八回翻訳ミステリー大賞授賞式&コンベンションのお知らせ

  

f:id:honyakumystery:20130416191138j:image:w35第八回翻訳ミステリー大賞授賞式&コンベンションのご案内

 

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 翻訳ミステリー大賞も今年で第八回を迎えます。ここまでつづけられたのは、ひとえに翻訳ミステリーを愛する読者の方々をはじめ、多くのみなさまのご支援あってのこと。あらためまして、事務局一同深く御礼を申しあげます。

 今回の授賞式&コンベンションの会場は、一昨年の第六回のときと同じ「大田区産業プラザPiO」(写真)です。

 翻訳ミステリーファンが一堂に会するこのイベントの一日をきっかけにみなさまの読書生活がよりゆたかになり、翻訳ミステリー好きの交流の輪がさらにひろがることを願ってやみません。翻訳ミステリーが大好きな方も、これから翻訳ミステリーを読もうという方も、いっしょにお話ししましょう。

   

 翻訳者のみなさまには、第八回翻訳ミステリー大賞の本投票を重ねてお願いいたします。

 締切は4月20日(木)、投票要項は以下のリンクをご参照ください。

 予備投票への参加の有無に関係なく、最終候補作五作を読了した翻訳者の方ならどなたでも投票できます。なにとぞひとりでも多くの翻訳者の方々のご協力を、ここであらためましてお願いいたします。

 

 以下、会場とアクセス、タイムテーブルと当日の企画のご紹介、ならびに参加申込方法です。

【注意】今年から参加申込方法が変わりました。ご注意ください。

 

f:id:honyakumystery:20130416191138j:image:w35 ■会場とアクセス■

 

日時:2017年4月22日(土)

場所:大田区産業プラザPiO

   住所:144-0035 東京都大田区南蒲田1-20-20

   電話:03-3733-6600

   公式サイト: http://www.pio-ota.net/

   交通アクセス: http://www.pio-ota.net/access/

    (京急蒲田駅から徒歩3分

   /JR京浜東北線、東急池上・多摩川線 蒲田駅より徒歩約13分

   上記会場サイト内のアクセス案内もご参考にしてください)

   ※建物内部のご案内につきましては、入口右手の電子案内板をご覧ください。

 

 

 

f:id:honyakumystery:20130416191138j:image:w35 ■タイムテーブル■

  • 企画名称は仮題です。
  • 進行や会場の都合上、やむをえず時間を変更する場合があります。今後の当サイトでの発表にご留意ください。

時間
13:00受付開始
13:25〜13:30開会の辞(諸注意)
13:30〜13:45第三回フランス語短篇翻訳コンテスト表彰式
13:45〜14:45書評七福神でふりかえる・年間翻訳ミステリー・シーン
14:45〜15:00休憩
15:00〜15:45第八回翻訳ミステリー大賞公開開票式、贈賞式
15:45〜16:15特別ゲスト・西崎憲氏「注目! 日本翻訳大賞授賞式前日インタビュー」
16:15〜16:30休憩
16:30〜16:45第五回翻訳ミステリー読者賞発表、贈賞式
16:45〜17:15出版社対抗「イチ押し本バトル」
17:30〜19:30懇親会(PiO内「鶯の間」――本会会場と同フロア)*参加任意、会費別途


f:id:honyakumystery:20130416191138j:image:w35 ■本会(会場:PiO4階、コンベンションホール「梅」)■(13:30〜17:15 途中休憩あり)

  

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【1】第三回フランス語短篇翻訳コンテスト表彰式

 カミ『ルーフォック・オルメスの冒険』などで著名なフレンチミステリー翻訳者の高野優さん(写真・撮影:永友ヒロミ)主宰の「フランス語翻訳教室」では、翻訳を学ぶ生徒さんたちを対象に、〈フランス語短篇翻訳コンテスト〉がおこなわれています。当日は、第三回を迎えたこのコンテストの結果発表と優秀翻訳作品の表彰式をおこないます。あわせて、フレンチミステリーに造詣の深い書評家・吉野仁氏による講評もあります。

 いま注目のフレンチミステリー。その話題作が日本語で読めるのもフランス語とミステリーの双方に通じている翻訳者あってこそです。フレンチミステリー翻訳の新しい立て役者のみなさんにぜひご注目を。

 

◆あわせて読みたい当サイト掲載記事

 

【2】書評七福神でふりかえる・年間翻訳ミステリー・シーン

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 当サイト人気連載「書評七福神」。いずれ劣らぬ翻訳ミステリーの目利きの「鬼」たちのセレクトは、面白本を日々さがしもとめている翻訳ミステリー読者にとっていまやなくてはならない羅針盤です。

 当日はその七福神が下界に降臨、投票対象期間のセレクションをもとにして翻訳ミステリー・シーンの一年をふりかえり、あわせて第八回翻訳ミステリー大賞のゆくえを直前予想します。パネラーとして北上次郎氏吉野仁氏、大賞事務局メンバーでもある川出正樹杉江松恋が登壇予定。残る神々にも降臨交渉中です。

(写真は昨年の授賞式&コンベンションにおける「七福神パネル」のようす。撮影:永友ヒロミ)

 

【3】第八回翻訳ミステリー大賞公開開票式、贈賞式

 会場は変われど開票は変わらず――これまでどおり翻訳者諸氏による投票をその場で開票いたします。来場者のみなさんはもちろん、候補作翻訳者や編集者が内心ではドキドキしながら票のゆくえを見守るなか、その場でカウントしていきます。接戦や終盤の追いあげ、はたまた大逆転劇と「一票の重み」がつくりだすドラマに会場は盛りあがり必至。

 はたしていちばん多くエドガー・アラン・ポーの顔を獲得して大賞の栄誉に輝くのは、どの作品でしょうか?

 公開開票の結果をうけて授賞式がおこなわれ、受賞作訳者と担当編集者によるスピーチが予定されています。

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(昨年の大賞授賞式と受賞作インドリダソン『声』の翻訳者、柳沢由実子氏。撮影:永友ヒロミ)

  

【4】特別ゲスト・西崎憲氏「注目! 日本翻訳大賞授賞式前日インタビュー」

 第3回を迎えた日本翻訳大賞。サイトやツイッター等でご存じのかた、読者として推薦作を応募したかたもいらっしゃるのではないでしょうか。ことしの日本翻訳大賞の授賞式は、本コンベンションの翌日です。授賞式を間近に控えたいま、主催者のおひとりであり、また、翻訳家、作家、作曲家ほかさまざまな顔をお持ちの西崎憲氏に、日本翻訳大賞にまつわるあれこれを中心にお話をうかがいます。翻訳ミステリー大賞と共に同賞のお引き立てもよろしくお願いいたします。

【西崎憲(にしざき・けん)】

 翻訳家、アンソロジスト、作家。訳書に『郵便局と蛇』コッパード、『ヘミングウェイ短篇集』『ヴァージニア・ウルフ短篇集』『マンスフィールド短篇集』『エドガー・アラン・ポー短篇集』(ちくま文庫)、『第二の銃声』バークリー(創元推理文庫)など。共訳書に『ピース』ウルフ(国書刊行会)など、編訳書に〈ドイル傑作集全五巻〉(創元推理文庫)など。アンソロジーに『短篇小説日和』『怪奇小説日和』(ちくま文庫)など。著書に『世界の果ての庭』(第十四回日本ファンタジーノベル大賞受賞作、創元推理文庫)、『蕃東国年代記』(新潮社)、『ゆみに町ガイドブック』(河出書房新社)、『飛行士と東京の雨の森』(筑摩書房)。ほかに音楽レーベル〈dog and me records〉代表。

【日本翻訳大賞とは】

 12月1日〜翌年の12月末までの13ヶ月間に発表された翻訳作品中、最も賞讃したいものに贈る賞。一般読者の支援を受けて運営し、選考にも読者の参加を仰ぐ。選考委員は金原瑞人・岸本佐知子・柴田元幸・西崎憲・松永美穂の各氏。

 

【5】第五回翻訳ミステリー読者賞発表、贈賞式

 これまたコンベンション名物、各地翻訳ミステリー読書会の参加者有志が主催する「翻訳ミステリー読者賞」の発表がおこなわれます。

 プロ・アマ問わず、翻訳ミステリーをお読みの方ならどなたでもメールやツイッターで投票できるこの賞、投票は3月15日で締め切られました。はたして、栄えある読者賞の栄冠に輝く作品は?!

読者賞・過去の受賞作

解錠師 (ハヤカワ・ミステリ文庫) 吊るされた女 (創元推理文庫) 深い疵 (創元推理文庫) 三秒間の死角 上下合本版 (角川文庫) 秘密 上 秘密 下 声 エーレンデュル捜査官シリーズ

    

【6】出版社対抗「イチ押し本バトル」

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 各社精鋭の翻訳ミステリー担当編集者たちが、それぞれの「隠し玉」を武器にくりひろげるビブリオバトル。これからどんな話題作が翻訳刊行されるのかを、日本でいちばん早く知るチャンスです。もちろん、隠し玉以外の刊行予定も各社惜しげもなく大公開。見事「チャンプ本」になった一冊には特典が用意されています。

 参戦するのは、東京創元社、早川書房、文藝春秋(50音順)ほか、現在交渉中! いまから熱戦が楽しみです。

(写真は昨年のバトル優勝者、東京創元社の宮澤正之氏。撮影:永友ヒロミ)

 

 

◆過去のバトルのレポートはこちら

  

f:id:honyakumystery:20130416191138j:image:w35 ■懇親会(PiO4階、コンベンションホール「鶯」)■(17:30〜19:30)

 

 本会終了後、お時間に余裕のある方のために、本会会場に隣接するホールにて懇親会を開催いたします。参加費は本会と別途で、軽食と飲み放題のドリンクをご用意いたします。

 ふだんはなかなか顔をあわせることのできない翻訳ミステリー仲間と思うぞんぶん本のおしゃべりができる場です。

 こちらもふるってのご参加をお待ちします。

 

  • 参加申込時に、懇親会の参加/不参加のご意向をおたずねいたします。
  • 懇親会参加費は、当日「本会受付」にて本会参加費と同時にお支払いいただきます。

  

f:id:honyakumystery:20130416191138j:image:w35■参加費、参加申込み方法、諸注意■

 

【1】参加費

  • 本会:2,000円
  • 懇親会:4,000円

 いずれの参加費も当日、「本会受付」にて現金でお支払いください。

 お釣りのないように準備していただければさいわいです。

 懇親会ご参加の方はそちらの参加費もあわせて頂戴いたします。

 

【2】参加申込方法

 

 以下の参加申込フォームに必要事項をご記入のうえ送信してください。

 https://goo.gl/forms/6ivXaIsLbk6bsPPl1


  • ご記入いただく個人情報は公的行事保険加入とコンベンション運営のみに使用し、他の目的には使用いたしません。
  • 送信後に、ご記入いただいたメールアドレスあてに自動返信メールが届きます。
  • 自動返信メールが不着の場合はメールアドレスの記入ミスやネットワークの不具合などが考えられます。お申込みが完了していないことも考えられますので、お手数ですが事務局公式アドレス( honyakumystery@gmail.com )あてにそのむねをお書き添えのうえ、メールにてお問い合わせください。
  • 携帯電話端末等で受信拒否設定をされている方は、自動返信が受信できるように指定解除をおこなうか、@gmail.com からのドメイン指定受信の設定をおこなってください。
  • *コピー&ペースト用

 

【3】諸注意・お願い

 

  • 宿泊型イベントではないため飲食物の差し入れはお断わりいたします。お気持ちだけちょうだいいたします。
  • 会場では持参したソフトドリンクや弁当等の軽食をとることができます。本会中のアルコール類はご遠慮ください。ソフトドリンクは6階(会議室フロア)の自動販売機で購入できるほか、建物から道路をはさんだ向かいのコンビニエンスストアもご利用いただけます(徒歩約3分)。また、会場1階の受付などには近隣の飲食店マップが用意されています。
  • 会場駐車場は収容台数に限りがあります。公共交通機関でのご来場をお願いいたします。
  • 会場での物販は禁止されています。
  • ごみは各自でおもち帰りください。
  • 喫煙所は正面入口の外側左奥と、6階(会議室フロア)にあります。それ以外のスペースは禁煙です。
  • 当日はほかの団体の方もご利用になりますことにご留意ください。
  • そのほかご参加上の注意点は会場:大田区産業プラザのウェブサイト内「よくある質問」に記載されています。ご一読いただければ幸いです。( http://www.pio-ota.net/faq/
  • ハンディキャップ等がおありで介助を必要とされる方につきましては、介助者の参加費を考慮します。別途事務局にご連絡、ご相談ください。

 

  • お申込み後のキャンセルにつきましては、当日の2日前までにご連絡をお願いします。やむをえないご事情で前日・当日にキャンセルされる場合にも、必ず事務局公式アドレス( honyakumystery@gmail.com )あてにご一報をください。

 ご連絡のないままのキャンセルには、キャンセル料をいただく場合がございます。

 

【4】報道関係者の方へ

 取材のお申込みなども honyakumystery@gmail.com へどうぞ。詳しいリリースを準備いたします。

 

 

 それでは、4月22日に会場でお会いできること、お話しできることを事務局一同楽しみにしております!

 

 翻訳ミステリー大賞事務局

 

●第八回大賞最終候補作


■第八回翻訳ミステリー大賞関連記事■


翻訳ミステリー大賞通信(関係記事一覧)

2017-03-23

第32回:2016年版、読むべき中国短編ミステリ(執筆者・阿井幸作)

 2月25日に台湾で台湾人ミステリ小説家・胡傑さんを囲む読書会が開かれました。当日は第3回島田荘司推理小説賞受賞作『ぼくは漫画大王』(著:胡傑/訳:稲村文吾)の話題を中心に、日本・台湾・香港の参加者が胡傑さんに質問をぶつけ、本書の裏話や創作秘話などいろいろな話を聞くことができて非常に面白かったです。

 私は特に、胡傑さんの新作ミステリ『尋找結衣同學』(仮訳:結衣さんを探して)の誕生秘話に最も興味を持ちました。


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 画像を見ていただければわかりますが表紙がライトノベル風です。これに対し胡傑さんは「自分はそんなつもりはなかったが、作品を読んだ編集者が『こうした方が売れる』と考えた結果このような表紙になった」と教えてくれました。

 台湾の出版社の、売るための創意工夫に感心するとともに、そういった思考の柔らかさが中国大陸には欠けているなぁと考えさせられました。こういった些細な考え方の差が、最終的に大陸のミステリ読者に「台湾と比べてうちのところのミステリの表紙は劣っている」と嘆かせる原因になっているのでしょう。






『中国懸疑小説精選』


 さて今回は毎年の中国大陸の短編ミステリを収録する短編集『中国懸疑小説精選』の2016年版及びその編者である華斯比を紹介してみます。


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『中国懸疑小説精選』及び『中国偵探推理小説精選』本コラムの第5回で紹介済みですのでここに詳しくは書きません。

 最新版『2016年中国懸疑小説精選』(2017年)には以下の作品が掲載されています。なお、日本語タイトルは全て仮訳です。



擬南芥『一簇朝顔花』(一面の朝顔)

 連城三紀彦の『桔梗の宿』(中国語タイトルは『一朶桔梗花』(一輪の桔梗))をリスペクトした短編。


香無『謀殺自己』(自分を殺す)

 東野圭吾を愛する新鋭の女性作家が描く愛憎入り混じったミステリ。


何慕『寒蝉鳴泣』(蝉が鳴く)

 三国志時代を舞台に『寒蝉』という間諜が活躍する歴史ミステリ。


赤膊書生『冥王星密室殺人事件』

 冥王星を舞台にした密室ミステリを描いたSFミステリ。


燕返『胆小鬼的霊感』(臆病者の霊感)

「你」(あなた)の二人称を使用した江戸川乱歩的雰囲気を備えたショートミステリ。


時晨『緘黙之碁』(沈黙の碁)

 有名棋士が関与した密室殺人事件を時晨作品でお馴染みの名探偵陳爝が解決する。


河狸『孤独的孩子』(孤独の子供)

 探偵、警察、子供の三つの視点を利用した叙述トリックミステリ。


方洋『套層空間』(多層空間)

 ある夢遊病者の語る宇宙の話に引き込まれるコズミックホラー的ミステリ。


亮亮『臥底能有幾条命』(スパイは命がいくつあっても足りない)

 盗人、武器商人、警察、殺し屋の様々な視点でスピーディに進むユーモアミステリ。


王稼駿『LOOP』

 タイトルからも分かる通り、時間軸を利用した叙述ミステリ。


鶏丁『天蛾人事件』(モスマン事件)

 都市伝説モスマンが起こした多重密室殺人事件に挑むミステリ。


陸秋槎『冬之喜劇』

 作中作の形式を用いた中国ミステリに対する評論的且つ自虐的ミステリ。


梁清散『枯葦余春』(枯れたアシと晩春)

 中華民国時代の事件を文学、歴史、心理学を駆使して解決する総合的なミステリ。


 以上、計13作品の短編ミステリが収録されている本書で華斯比は中国国内に娯楽的なミステリが如何に多いのかということを中国人読者にアピールしています。

 序文『娯楽時代的懸疑推理小説』(エンターテイメント時代のサスペンス・ミステリ小説)で華斯比は最後に「ミステリの本土化は一長一短のことではなく、簡単にできることではない。数世代の作家が共に努力をしてやっと完成に近付くことであり、現在はまだ作者と読者双方の励まし合いが必要だ」と書いていますが、作者と読者の他に華斯比のような紹介者の働きも重要でしょう。

 本書の他に『中国偵探推理小説精選』も毎年出版されていますが、これと比べると本書の特徴がよくわかります。

 一つ目の特徴は編者の序文があり収録作品の傾向がわかるということ。そして二つ目は各作品に作者の簡単な紹介文が記載されていることです。実は2014年版にはこの他に作品に対する作者の後書きもあったのですが、それは出版側の負担が大きいということでなくなってしまいました。

 この点から分かることは華斯比の中国ミステリに対する思い入れの強さと、作者・読者を考えた仕事の態度です。目下、中国ミステリはまだ内部で盛り上がるが必要な段階です。特に、ミステリ専門雑誌が休刊して短編作品の発表の場所が少なくなる現在は更に作者の保護・支持という観点から本書のような短編集が必要になります。しかも映像業界ではミステリがもてはやされているので一部の作者が脚本家に転向してドラマや映画に携わっているようです(本書参照)。中国ミステリ全体が伸びているのに小説業界だけが停滞しているという事態を招くことになるかもしれません。


 本の売上を競うことよりも作品が映像化することが、中国ミステリ業界が現在定めているゴールであるのは間違いありませんが、その風潮の中で作者・読者を考えて本を作ることに労力を払う人間がいることを忘れてはいけません。


 華斯比はこの他に清朝末期から中華民国時代の中国ミステリを研究し、復古運動とも言うべき地道な活動をしています。中国の本屋は、コナン・ドイルがある、江戸川乱歩もある、しかし程小青(民国時代に活躍した中国ミステリの父と呼ばれる作家)が見当たらない、という現状で過去の作品があまり顧みられていません。そのような状況の中で原書を閲覧するために図書館に足を運び、ときには自腹を切って古書を購入し中国推理史をまとめている彼の活動もここでいずれ紹介できればと思います。




阿井 幸作(あい こうさく)

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中国ミステリ愛好家。北京在住。現地のミステリーを購読・研究し、日本へ紹介していく。

・ブログ http://yominuku.blog.shinobi.jp/

・Twitterアカウント http://twitter.com/ajing25

・マイクロブログアカウント http://weibo.com/u/1937491737

 

ぼくは漫画大王

ぼくは漫画大王

戻り川心中 (光文社文庫)

戻り川心中 (光文社文庫)

憎悪の鎚

憎悪の鎚

2017-03-22

第43回 まさに王道のバディもの!―『紳士と猟犬』(執筆者・♪akira)

 

 全国の腐女子の皆様とそうでない皆様、こんにちは! 突然ですが、東インド会社についてどのぐらいご存知ですか? たしか小学校の教科書にも出てきたような…と私のようにおぼろげな記憶しかない方、逆に歴史に詳しい方、どちらにも大変楽しめる冒険ミステリ、M・J・カーター『紳士と猟犬』(高山真由美訳/ハヤカワミステリ文庫)をご紹介します。


 1837年、カルカッタ。1600年に設立された東インド会社は、インドの大半を支配していました。そこで軍人として働く読書好きな青年ウィリアム・エイヴリーは、若者らしく戦で手柄をたて、故郷のイギリスに錦を飾ることを夢見ていたものの、実際は9ヶ月も放置され、友人の同国人フランクに愚痴るだけの毎日を送っていたのです。言葉もできず、天候にも慣れず、現地人の召使い達にも見くびられ放題だったエイヴリーは、そのいらだちを酒と博打で紛らしていました。そんなある日、ジェレマイア・ブレイクという英国人に届けるよう、会社から信書を託されます。決して治安がいいとはいえない場所にある屋敷を訪ねたエイヴリーを、ブレイクは開口一番罵倒しました。


 だらしなく薄汚れた格好で自分を追い出したブレイク。当然エイヴリーは悪感情しか持たなかったのですが、待ちこがれていたはずの任務は、なんとブレイクとともに危険な奥地に向かい、著名な詩人ゼイヴィア・マウントスチュアート――エイヴリーにインドへの憧れを抱かせた数々の本の作者――を探し出してくることでした。


 ブレイクへの不信感を抱きつつも、博打の借金や将来の不安のため、そして敬愛する作家に会えると思い、エイヴリーはしぶしぶ任務を引き受けます。しかしブレイクはブレイクで、やりたくない仕事の上に、エイヴリーの驕った態度が我慢なりません。彼に限らず、インドに駐在している英国人の多くは、現地人を理解するどころか未開の有象無象と見下し、文化や宗教も自国の価値観を押し付けるのが当然だと思っていました。かたやブレイクは、いくつもの言語を習得し、現地の慣習を尊重しています。そんな2人が、聡明で英語も話せるミル・アジズら3人の現地人のお供を連れて、先の見えない旅に出ます。


 ここから始まりますは、アクションあり、陰謀あり、ロマンス(?)ありの、血湧き肉躍る大冒険活劇! 中でも、インド中に名をとどろかす強盗殺人集団サグは、恐ろしいながらもなにか人の心を惹きつけずにはいられないような、そんな特殊な存在感を放っており、読み手の心をつかんで放しません。本書はエイヴリーの一人称で描かれており、総じてやる気のなかった若者が、いかにして危険な旅を仲間とともに生き延びるのか、自分の偏狭な考えにどうやって気づくのか、という成長物語として読むこともできます。もちろん、CWAの新人賞とMWAの最優秀長編賞の候補となったように、ミステリとしての面白さも保証付です。


 ではどう腐っているのか…ここまで読んだ方ならもうおわかりですね! 最悪の出会い(<はい、ここ大事!)をしたものの、旅立ちの際、こざっぱりして衣服もきちんとしたブレイクを見て、「思ってたよりも若いし結構ハンサムかも(すごくってわけじゃないけど)」なんてドキッとした(?)エイヴリーが、危機また危機を一緒に乗り越えていくうちに、いつしか彼に尊敬と好意を抱いていくわけですね。そしてツンデレというよりはツンだけなブレイクが少しずつエイヴリーを認めていくあたりもご注目。ぶっきらぼう中年と単細胞男子、まさに王道のバディものをご堪能ください!


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 かように奥地や秘境には危険がつきもの。しかもそれが前人未到の謎の孤島だったら…3月25日公開の『キングコング:髑髏島の巨神』は、コンマ一秒も見逃せないほど、驚異の世界と危険とスペクタクルと巨大生物大暴れと爆発と作り手の怪獣愛がぎっしり詰まった大興奮の超大作です!!! 日本仕様の特別ポスターをご覧になった方も多いと思いますが、何がすごいって、あのグッとくるポスターが全然誇張じゃない!! むしろその100倍ぐらいパワーアップした本編が楽しめます。


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 1973年、ベトナムでは米軍兵士の撤退が始まっていた。パッカード大佐(サミュエル・L・ジャクソン)率いる部隊は、帰国直前、太平洋の孤島“スカル・アイランド”を民間人と調査せよという特別任務を帯びる。本国からは、凄腕のイギリス人傭兵(トム・ヒドルストン)、ジャーナリスト(ブリー・ラーソン)に学者らを含むチームが集まった。そんな彼らを待ち受けていたのは、想像を絶する巨大な守護神と、続々と現れる凶暴なモンスター軍団との死闘だったのだ!


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 虫虫大行進の猛襲がすごかったピーター・ジャクソンの『キング・コング』(2005)は、巨大動物の孤独と悲哀が胸に迫る、涙無くしては観られない名作でしたが、今度のコングは島の守護神。勝手に自分の家に入ってくる不法侵入者は一撃で排除! という清々しい信念のもとに、向かってくるものは全て倒さんと大暴れします。ビルよりもデカいコングの雄々しい姿にはただただ驚嘆ですが、他にもオリジナリティ溢れるクリーチャーがわらわらと出てきて、怪獣好きならドーパミン大量放出間違いなしです!


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 あらゆる意味で向かうところ敵なしの本作、嬉しいことに『キングコング:髑髏島の巨神 メイキングブック』(サイモン・ウォード著/玄光社)が、あの矢口・“よろしく哀愁”・誠さんの翻訳で出ます! 一足先にちょっと見せてもらったのですが、映画で「あ〜、あれもうちょっと見たかったなー」と思った生き物とか、出せなかったクリーチャーとか、コングの食事シーン(超楽しい!)とか、眺めてたら日が暮れそうなお宝資料が満載です。映画と併せてこちらもぜひ!


●映画『キングコング:髑髏島の巨神』予告編

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  • 公開:3月25日(土)、丸の内ピカデリー、新宿ピカデリー他、3D/2D/IMAX
  • 監督:ジョーダン・ボート=ロバーツ 
  • 脚本:ダン・ギルロイ、マックス・ボレンスタイン
  • 出演:トム・ヒドルストン、サミュエル・L・ジャクソン、ジョン・グッドマン、ブリー・ラーソン、ジン・ティエン
  • 公式サイトhttp://wwws.warnerbros.co.jp/kingkong/
  • 配給:ワーナー・ブラザース映画
  • © 2016 WARNER BROS.ENTERTAINMENT INC., LEGENDARY PICTURES PRODUCTIONS, LLC AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC. ALL RIGHTS RESERVED

 

    

♪akira

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  BBC版シャーロックではレストレードのファン。『柳下毅一郎の皆殺し映画通信』でスットコ映画レビューを書かせてもらってます。トヨザキ社長の書評王ブログ『書評王の島』にて「愛と哀しみのスットコ映画」を超不定期に連載中。

本の雑誌405号2017年3月号

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キング・コング [Blu-ray]

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キング・コング入門 (映画秘宝セレクション)

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