日本を殺すスキャンダル狂い

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日本を殺すスキャンダル狂い
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20100907-00000302-newsweek-bus_all

ニューズウィーク日本版 9月7日(火)19時18分配信

民主党代表選の結果がどうあれ、些細な醜聞に過剰反応する社会がまた政治空白を生むなら意味はない──

横田 孝(本誌記者)

 先進国の政界では、スキャンダルはよくあること。大抵の場合、渦中の政治家は政治生命や政権を失うことなく、生き延びられる。

 ビル・クリントン米大統領は政治資金疑惑やセックススキャンダルを乗り越え、2期目を満了する頃の支持率は66%に達していた。フランスのニコラ・サルコジ大統領は就任早々に派手な離婚劇を繰り広げたものの、今も健在。イタリアのシルビオベルルスコーニ首相は、カネやセックス絡みの醜聞が次から次へと浮上するにもかかわらず、ほとんど無傷だ。

 だが、日本は違う。この国では、どんな些細なスキャンダルも癌のように肥大化し、政治家の政治生命を奪うまで進行し続ける。世界最悪水準の財政赤字と景気停滞をもたらした自民党政治に終止符を打つべく、鳩山由紀夫首相率いる民主党中心の政権が誕生したのはわずか8カ月前のこと。それから間もなく政治資金問題が持ち上がり、鳩山の支持率は右肩下がりを続け、今や首相就任当時から50,下がって24%にまで落ち込んだ。

 7月の参院選を前に、既に鳩山の後任を取り沙汰する声もある。官僚主導政治からの脱却を誓って政権交代を果たした鳩山と民主党が、さまざまな取り組みを始めたばかりにもかかわらず、だ。

 鳩山の凋落ぶりは、日本政治をめぐる古くからの疑問を提起している││世界第2位の経済大国に、なぜ冴えない政治指導者しかいないのか。

 これまでの一般的な答えは、自民党が長年にわたって政権を握っていたからというもの。自民党世襲議席を引き継いだり、派閥の力関係によって台頭した政治家を首相の座に就けてきた。

 だが、鳩山のケースはより根深い問題を示唆している。日本に政治指導力が欠落してきた最大の、そして最も見過ごされがちな理由は、この国の政治スキャンダルに対する病的なまでの執着だ。最新のトレンドやハイテク機器に熱狂するように、日本は最新のスキャンダルに飛び付く癖もあるらしい。

 政治家の命取りになった一連のスキャンダルの始まりは70年代にさかのぼる。当時、田中角栄首相が金脈問題で退陣し、その後ロッキード事件が発覚。今日まで日本政界を揺るがし続ける「政治とカネ」の問題の引き金でもあった。

 確かに、自民党が築いた政官業による「鉄の三角形」の弊害はある。こうした癒着関係は多くの先進国にも存在するが、それにまつわる些細なスキャンダルが致命傷になるのは日本ぐらいだ。

 強い指導力が期待された政治家が比較的軽い問題で失脚したケースは数多い。89年には、当時の竹下登首相がリクルート事件での収賄疑惑によって退陣(が、起訴されることはなかった)。ヨーロッパ型の福祉国家をつくる構想を示した竹下がもっと長く首相の座にあれば、高齢化社会に備えた国づくりに貢献できたかもしれない。

 ソ連が崩壊した90年代初め、アメリカがポスト冷戦の世界秩序の構築に力を注いでいた一方で、日本は自民党の大物政治家、金丸信の闇献金疑惑と脱税問題の追及に明け暮れていた。金丸は失脚し、2大政党制の実現という彼の構想もついえた。

 「当時、アメリカでは旧ソ連の核管理など冷戦後の世界について論議していたが、日本は政治とカネ一色に染まっていた」と、政治ジャーナリストの田中良紹は言う。おかげで、日本はポスト冷戦世界の秩序に適応するのが遅れただけでなく、弱体化した自民党の不安定状態によって、経済的にも「失われた10年」を招いてしまった。

 そして長期政権を築いた小泉純一郎が06年に首相を退任して以来、スキャンダル絡みの辞任劇は加速度的に増えている。何しろ、たった4年の間に3人もの総理が生まれては消え去った。

 安倍晋三の政権下では、松岡利勝農水相が高額の光熱水費を計上した問題で、「ナントカ還元水」をめぐるコメディーさながらの大騒動に発展。相次ぐ疑惑のさなか、松岡の自殺という悲劇的な結末で幕が下りたかと思うと、その後の農水大臣らも金銭スキャンダルに見舞われ、長くは続かなかった。

 日中関係の改善という成果を挙げたにもかかわらず、安倍政権は立ち往生し、台頭する中国を牽制しつつ戦略的な関係を構築していくといった政策が損なわれた。現在に至っても、中国の最も豊かな隣人という地位を日本は最大限に利用する方法を見いだせていない。

■実績に目を向けない国民

 07年の参院選自民党が惨敗したため、安倍の後任の福田康夫社会保障制度の立て直しなどの政策を進めるのはもはや不可能だった。そして就任からわずか1年で政権を投げ出した福田の後を継いだ麻生太郎は、個人攻撃の標的になった。高級バーで酒を飲む、漢字を読み間違える、財務相中川昭一が「もうろう記者会見」を行った──くだらない問題ばかりがクローズアップされ続けた。

 その頃、世界は金融危機のさなかにあった。だが日本は麻生の些細な失言などに気を取られ続け、景気対策といった政策に目を向けようとしなかった(日本が現在、そこそこの成長率を維持しているのは麻生の景気対策によるものだと指摘されている)。

 中川は、世界的な金融危機を乗り越えるため、IMF国際通貨基金)に最大1000億謖の融資を約束した人物でもあった。IMFのドミニク・ストロスカーン専務理事はこの決断を「人類史上最大の融資」とたたえた。

 だが日本のマスコミや有権者は麻生や中川を評価しようとせず、自民党は09年の総選挙で大敗。自民党支配に終止符が打たれた。確かに、自民党政権は長く続き過ぎたかもしれない。しかし現在、鳩山がスキャンダルで失脚した自民党政治家と同じような運命をたどっていることで、1つの疑問が湧いてくる──スキャンダル(とおぼしきもの)に見舞われた政治家を完膚なきまでにたたく日本の風潮は、極端過ぎはしないか。

 沖縄の基地問題であきれるほどの無知と迷走ぶりを披露した鳩山だが、そもそも彼の政治力を失わせた引き金は偽装献金疑惑や脱税疑惑といった、国家が抱える難題と比べると重要性が見劣りする問題だ。おかげで、政治主導の確立といった選挙公約時のビジョンの実現もままならなくなっている。

 日本人が政治とカネにこだわる理由の1つには、何につけてもクリーンさを求める潔癖な部分があるかもしれない。また、献金を受けた有力政治家が、一部の業界や地域だけを潤すことへの不公平感もあるだろう。高度経済成長期が終わった後、有権者のこうした意識はますます強まっていったと、明治学院大学の川上和久教授(政治心理学)は指摘する。

■清潔至上主義でいいのか

 理屈の上では、透明性のあるクリーンな政治は有益なことだ。しかし日本では、スキャンダルが政治の最大の関心事になってしまい、国家的な問題を解決するための政策は二の次になってしまっている。検察は証拠不十分により鳩山の起訴を見送り、4月下旬に検察審査会も不起訴処分を「相当」とする判断を下したが、野党とメディアは鳩山と小沢一郎民主党幹事長の「政治とカネ」の問題をいまだに糾弾し続けている。

 朝日新聞が3月に行った世論調査によると、7月の参院選で「政治とカネ」の問題を重視して投票すると答えた人は半数以上に達した。日本がいま直面している経済や外交の深刻な問題よりも、政治とカネというスキャンダルを追及することのほうが重要らしい。

 政治家の「清潔さ」を過度に重視する風潮は、政治資金規正法などにも影響を及ぼしてきた。度重なる法改正により、この法律の規定は複雑極まるものになった。「スピード違反や税金みたいに恣意的なもの」で、検察がその気になれば「ほとんどの国会議員が捕まっても不思議ではない」と、政治ジャーナリストの田中は言う。

 だが、政治家は誰一人として問題の本質を理解していないようだ。自民党を離党して「新党改革」を立ち上げた舛添要一・前厚生労働相は、「政治とカネ」の問題を根絶するために企業・団体献金を禁止し、「カネのかからない政治」をつくるべきだと主張する。

 この提案は、現実離れしている(そもそも民主主義国家では、政治家が活動するにはカネが必要)。重箱の隅をつつくような法律をさらにややこしくすれば、ごく些細な違反行為を理由に、有望な政治家がやり玉に挙げられる事態をさらに招きかねない。

 日本の「スキャンダルマニア」には、長年の蓄積がある。自民党の長期政権が続いた何十年もの間、弱い野党がスポットライトを浴びるチャンスは国会審議のテレビ中継くらいだった。野党は有権者にアピールするべく、国会にテレビ中継が入る日、もっぱら自民党のスキャンダルをセンセーショナルに取り上げて非難し続けた。

 この慣習が日本の政治論議をゆがめた。ダークスーツをまとった東京地検特捜部の検察官らが政治家の事務所に家宅捜索に入る、あのお決まりの映像がテレビに映し出されると、この国の政策論争はすべてストップする。そして国会とメディアと世論は寄ってたかって疑惑の政治家を袋だたきにする。

鈴木宗男という「悲劇」

 メディアも、政策をめぐる議論を報じることよりも政争や政局を報じがちだ。政治家のスキャンダルを追及すれば、視聴率や売り上げ部数が稼げる。メディアは血に飢えたサメのように、新たな餌食を探し続ける。

 日本が直面している数々の難題を乗り越えるためには、時の首相と政権が腰を据えて政治に取り組むことが欠かせない。しかし日本のスキャンダルマニアは、政治に空白を作り続けている。

 首脳レベルに限った話ではない。元自民党鈴木宗男衆院議員は政治家人生を通じて、ロシアとの関係改善に力を注いできた。資源大国ロシアとの関係を強化できれば、日本にとってプラスになり得るし、中国を牽制する材料にもなる。

 鈴木は、日ロ関係改善を阻む最大の障害である北方領土問題でも成果を挙げつつあった。しかし、過去に外務省に高圧的な態度を取ったことや当時の田中真紀子外相との確執で執拗なバッシングを受け、収賄疑惑も相次いで浮上。02年に逮捕・起訴され、その後国会から退いた。05年には国政に復帰したが、かつてほどの政治的影響力はない。

 鈴木はある意味、日本という国家の現状を象徴している。今も有力ではあるが、自らを弱体化させてしまって、国際的な影響力を急速に失いつつある──。

 「政治とカネ」で政治家を片っ端から糾弾して失脚させることが日本にとって本当に得策なのか、考えるべき時期に来ている。

ニューズウィーク日本版6月2日号掲載)

危機感

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浮上せよ 日本経済
http://www.sankei.co.jp/netview/yahoo/kdk/100913.html

続く地盤沈下 韓国製が評価上回った


「うちに置いてあるテレビはソニーだが、今回は初めてサムスンを選んだ。値段が手ごろだし、品質も十分よさそうだ」

 8月中旬、米国の首都ワシントン近郊にある家電ショップ「ベストバイ」を訪れた男性客(42)は韓国・サムスン電子製の液晶テレビを満足そうに買っていった。

 この店では壁一面をLCD HDTV(液晶高精細度テレビ)が埋め尽くす。「売り上げ次第で頻繁に入れ替える」(店員)という約40台の展示商品のうち、半分を韓国メーカーのブランドが占める。「日本ブランド」の強さを示す光景はそこにはない。

かすむブランド力
 「米国の消費者は韓国ブランドに『高品質』という印象を持っている。日本ブランドと同じだ。日本人は日本ブランドに優位性を感じるのだろうが、米国の消費者にとっては変わらない。特にテレビのブランド力ではサムスンが日本をしのぐ」

 米消費調査会社PROバイインググループのディビッド・ワークマン専務理事はこう解説する。

 「韓国と変わらない」という日本のブランド力は、売り上げにも表れている。米調査会社NPDグループによると、今年1〜6月期に米国で売れた薄型テレビは、サムスンがトップだ。日本のソニー、韓国のLG電子、日本のパナソニック東芝がそれに続く。

 3日にベルリンで開幕した世界最大の家電見本市「IFA」では、LGの3D対応有機LEDテレビを前に日本メーカー幹部が立ち尽くした。鮮やかな3D映像が浮かび上がったパネルは厚さがたったの3ミリ程度。技術力の高さから目を離せなかった。

 「ヤバいかも」。幹部はうなるしかなかった。

シェアは没落の証明
 総務省の国際競争力指標によると、調査した情報通信機器の関連製品35品目のうち17品目で日本が売り上げシェアを2年前より落とした。液晶テレビは12・3ポイント低下の30・6%、ノートパソコンは5・3ポイント、携帯電話は6・5ポイント低下した。ある業界関係者は「シェアは没落の証明にみえる」とつぶやいた。

市場開拓 問われる実行力
 「もう日本から学ぶことは何もない」

 今年5月下旬。経済同友会の韓国視察団としてサムスン電子や政府系研究所の施設などを訪ねた帝人会長の長島徹は、意見交換をした韓国の企業関係者からこう通告された。耳を疑いたくなる衝動にかられているところに、別の経済人がこうたたみかけた。

 「日本はもっと先端技術を開発してください。その部品を韓国が買い、組み立て、かっこよくデザインし世界に売ります。だって日本人は内向き志向で、外国に出かけて市場を開拓するガッツがないでしょう」

 反論はしなかった。「共存共栄で」と絞り出すのが精いっぱいだった。

 「彼らはずっと日本に追いつこうと、日本のいいところを取り入れたりマネをしたりしてきた。ようやく追いついたと思ったら、低コストで生産し、世界中に売っている」

 韓国は日本の「いいところ」を武器にした。一方で「いいところ」の原産地である日本は息苦しいほどの閉塞(へいそく)感に悩む。経済同友会が7月下旬に長野県軽井沢町で開いた夏季セミナーでは、「日本は成長力がない国の代名詞」「意思決定のスピードに欠ける」と否定的な言葉の披露が延々と続いた。

基幹産業総崩れ
 韓国側の強気は、データが裏付ける。

 日本のお家芸だった液晶パネルが代表的だ。米調査会社のディスプレイサーチによると、2009年の世界生産シェアはサムスン電子とLG電子の韓国勢2社が4割以上をしめる。日本勢はシャープが5位に入るのがやっとだ。

 日本は開発をリードし、高付加価値品として売り出すことに成功した。だが新興国が生産技術を身につけたとたん「汎用品にすぎなくなった」(東芝幹部)。

 液晶パネルの日本の優位が薄れたのは販売や生産だけではない。業界関係者は「価格決定権を握っているのも事実上、サムスンとLG」とささやく。

 太陽電池も05年までは生産量トップ5のうち4社が日本勢だった。しかし新興国の台頭で、10年は上位5位から日本勢が消える見通しだ。

 環境技術で先行するとみられている次世代自動車も「結局は追いつかれ役になりかねない」(エコノミスト)と不安が広がる。

 次世代自動車の部品に不可欠なレアアース(希土類)は9割を中国が供給している。その中国が7月、輸出を規制すると表明した。東京財団の研究員、平沼光は「先進国から環境技術を引き出す戦略物資にしている」とみる。その間にも「供給はいずれ逼迫(ひっぱく)する」(トヨタ自動車幹部)情勢で、生産や開発の環境は悪化する。

 部品の少なさも逆風だ。部品同士の複雑な調整を得意とする日本は、部品が多いほど他の国と差別化できる。しかし電気自動車の生産に必要な部品はガソリンエンジン車の数十分の一ともいわれる。東大特任教授の妹尾堅一郎は「やがて国内の自動車産業の強みはなくなり、部品メーカーを含め大打撃を受ける。あと15年ほどで産業が壊滅する可能性さえある」という。

作戦決行いつか
 日本経済はいまや戦略を出し惜しみしている場合ではない。国際競争力は前年の17位から27位に転落し、08年まで10年間の経済成長率は平均値で名目ゼロ%(国民経済計算2010年版)だ。この間、企業や国民が持つ資産から負債を差し引いた「国富」は約260兆円減り、国内の資本や労働力から得られる潜在成長率も1994年以降2%を下回り続け、2009年は0・6%に落ちた。

 日本総合研究所理事の湯元健治はいう。

 「電機や自動車産業など日本の基幹産業が支えてきた輸出依存の成長モデルが通用しなくなった以上、新しい成長の糧を見つけないといけない。そうでない限り、日本経済は静かなる衰退に向かう。政府は成長戦略を作りはした。今問われているのは実行力だ」

 日本経済の地盤沈下を食い止める作戦決行の号砲はいつ響くのか。(敬称略)


 日本経済の地盤沈下が加速している。国別の国際競争力ランキングは58カ国・地域中、27位に落ちた。輸出主導の成長モデルは構造的な限界に突き当たった。物価下落の続くデフレがつきまとい、円高対応は後手にまわる。頼みの政治も民主党の代表選では財源確保策で堂々巡りを繰り返し具体論に進まない。一方で引き出しの奧から出されていない戦略もある。出し惜しみが許されない日本経済の現状と取るべき作戦を点検する。

2010年9月6日付 産経新聞東京朝刊


成長の切り札 観光立国 ターゲットは中国

富士山を南に望む山梨県富士河口湖町にある県立富士ビジターセンターでは、英語や中国語で富士山観光を案内している。センターの駐車場に次から次へとやってくる大型観光バスからは、外国人ツアー客が降り立っていく。

士山は外国人に人気の観光スポットだ。富士山を背景に記念撮影したり、センターの展示物を見学したりした後、5合目に向かうのが定番コースだという。

 最近、特に目立つのが中国人観光客だ。平成21年度にセンターを訪れた中国人は前年度に比べ2%増えて6万4千人となった。日本人を含む全来訪者の4分の1を超える。センター長の宮下吉貴は「今年度も中国人は前年度の1・5倍に増えそうだ」と目を細める。

 ■土産に1人10万円

 「世界でもトップレベルの観光資源は、日本の経済成長の切り札だ」

 観光庁長官の溝(みぞ)畑(はた)宏はこう力説する。富士山のような大自然がそのまま観光資源となるなら、財政出動は少なくてすむ。外国人人気が過熱すれば、海外からも富をもたらす。政府はこうした観光資源を活用し、21年に679万人だった訪日外国人を31年までに2500万人、将来的には3千万人とする目標を掲げる。

 最大のターゲットは経済発展が著しい中国からの観光客だ。観光庁の6月の調査では、中国人による土産品支出額は1人当たり10万1千円。日本を訪れる外国人の平均は4万8千円だから2倍を超える断トツの1位だ。「化粧品などを大量に買っていく」(都内のドラッグストア)という購買力は圧倒的だ。

 政府は7月、中国人の個人観光査証(ビザ)の発給に必要な要件を緩和した。富裕層だけでなく中所得者層も発給対象となった。その結果、7月は中国からの訪日者数が16万5千人と過去最高を記録した。

 さらに年内にも、日系の旅行会社が中国で訪日旅行商品を扱える見通しとなった。中国政府が8月に訪中した前原誠司国土交通相の要請に応える形だ。

 日本観光のプロである日系企業が中国で魅力あるツアー商品を多彩に用意できれば、繰り返し日本を訪れるリピーターの増加が期待される。訪日旅行商品を手掛ける日本旅行マネージャーの佐藤均は「ついに中国進出に向けて一歩進んだ」と顔をほころばせた。

 政府は28年の訪日中国人を21年の6倍の600万人にしたい考えだ。

 ■78万人の新規雇用

 外国人観光客は鉄道やタクシー、ホテル、食事、お土産などにお金を使う。観光庁の試算では、2500万人の目標を達成すれば、国内での消費は1年間で4・1兆円になる。外国人が消費するモノの生産や物流などを含めると経済波及効果は9・9兆円で、国内総生産(GDP)を2%程度押し上げるとみられる。78万人の雇用も新たに生まれる計算だ。

 問題は目標通りに外国人が来るかどうか。第一生命経済研究所・副主任エコノミストの近江沢猛は「目標達成には国際的に見劣りする観光客の誘致態勢を拡充する必要がある」という。

 ライバルの韓国は、中国人にビザを1回発給すれば、3年間の有効期間中に何回でも入国できるようにし、大胆な政策で受け入れ態勢を強化している。

 海外に自国観光を宣伝する政府観光局の態勢も日本はアジアに見劣りする。海外事務所は韓国が27カ所、タイも18カ所を整備しているが、日本は13カ所にとどまる。

 また、中長期的には為替政策も課題になる。円高が長期化すれば、外国人が円換算でできる買い物は少なくなり、訪日観光にはマイナスになるからだ。

 日本の観光資源としての魅力は海外で高まりつつある。観光をしやすくするための制度改正も進む。観光による経済成長を“絵に描いたもち”に終わらせないために、官民の知恵が試される。(敬称略)



日本経済 官民双方の“柔軟対応”がカギ 

「新幹線には46年の歴史があるが、中国はそういう蓄積を短期間で習得できるメリットがある。日本と中国はライバル同士。互いに良いものを作って輸出していきたい」

 8月21日、中国の上海駅。開通したばかりの高速鉄道車両「和諧(わかい)号」に試乗するためホームに現れた国土交通相前原誠司は最初、余裕をみせていた。

だが、車両に乗り込むと表情が一変する。カーブに差し掛かっても時速300キロを切らず、揺れもほとんど感じさせない。前原の顔には、焦りの色が浮かんでいた。

 海外の高速鉄道整備に新幹線技術を売り込むため先頭に立つ前原。「11月に入札を締め切るブラジル、年末にも入札日程を決める米国で中国が参入するのは確実」(国交省)とみられており、前原は、中国が日本の強力なライバルになると肌身で感じた。

 ■総務省の“成功体験”

 インフラにかかわる国と国との売り込み合戦はあらゆる分野に及ぶ。地上デジタル放送の規格を海外に普及させようとする総務省が今、攻勢をかけているのは南アフリカなど15カ国が加盟する南部アフリカ開発共同体(SADC)だ。その総務省には昨年から今年にかけての南米での“成功体験”がある。

 「日本方式の技術を使えば、どこにいてもサッカーが見られます」

 総務審議官(現総務省顧問)としてペルーを訪れた寺崎明は、大統領のガルシアにこう切り出した。その上で差し出したのは、日本方式を採用したブラジルのテレビ放送を受信した携帯電話端末。映像を見たガルシアは「オーッ」と感嘆の声を上げ、日本方式採用の流れができた。

 アナログ放送からデジタル放送に転換する動きは欧米で先行し、今後は新興国で本格化する。中でも2014年のサッカーW杯ブラジル大会を控える南米は、テレビや携帯電話などの関連市場の伸びが最も期待できる地域で、日米欧だけでなく、中国も規格を売り込んでいた。

 実際、ベネズエラは中国方式の採用を内定していたが、寺崎は大統領のチャベスとの1時間半の直談判で中国方式の問題点を念入りに説明。日本方式に覆した。南米では9カ国が日本方式を採用し、人口の9割近くをカバーする。

 ■海外企業と連携も

 鉄道や原子力上下水道などインフラにかかわる需要は大きく、世界で毎年1兆6千億ドル(約135兆円)、アジアだけでも7500億ドル規模の需要があるとされる。日本企業にとって巨大なビジネスチャンスだ。さらに地デジなどの規格を普及させると、関連製品の販売面でも日本企業が有利になる。国を挙げて売り込むのも、この経済波及効果への期待があるからだ。

 ただ、官民がうまく連携できないと、せっかくの機会も効果を半減させかねない。地デジが普及した南米では日本企業の対応が出遅れ気味で、「韓国のLG電子やサムスン電子が綿密に市場調査し、資金や人員を集中的に投入してきた。今ではテレビのシェアの半分強が韓国勢だ」(電機業界関係者)という。

 一方、日本企業の間では国ばかりに頼らず、海外企業との連携を模索する動きも強まっている。

 住友商事は7月、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ首長国での発電事業で、最低価格を提示し優先交渉権を得た。同社の企業連合には、韓国企業やドイツ企業が参加。専務の浜田豊作は「ドイツ企業と組んだため、最近のユーロ安を反映させた低価格のメリットを享受できた」と話す。

 丸紅、三井物産も中国やシンガポールなどの企業とアジアの上水道整備などを進める方針だ。そこには「オールジャパンにこだわりすぎて受注を逃せば本末転倒だ」(商社幹部)という判断もある。官民双方が柔軟で現実的な対応を取れるかどうか。それが海外のインフラ需要を経済成長につなげるカギともなっている。 (敬称略)


外国人パワーで成長基盤の整備を 「人件費負担を上回る見返り」との意見も

「そろそろ加速しようじゃないか」

 ソニーの業務執行役員、藤田州孝(くにたか)がこう語りかけると、居合わせた人事担当者の表情はパっと明るくなった。来年度の外国人採用を拡大することを意味していた。採用凍結が続いた同社にとって、「加速」は我慢からの解放でもあった。「これからが本番だ」。ひとりがつぶやいた。

まず、東京の本社による中国人技術者の採用を平成23年度から再開する。ベトナムインドネシアの新卒技術者も採用する方針で、10月にも担当者が現地に出向く。採用のめどがつけば具体的な活動に踏み切る。

 苦戦も予想される。成長著しいアジアの優秀な人材は、世界中からお呼びがかかる。争奪戦は激しく、採用中断が2年も続けばその企業は競争から脱落するといわれる。

 「採用凍結が影響しないとはいえない」。人材開発部統括部長の岸本治は焦りを隠しきれない。だが岩井証券イワイ・リサーチセンター長の有沢正一は「焦る必要はない。外国人労働力の採用機運が高まれば、日本の成長基盤固めにもつながる」と期待する。

 ■人件費上回る見返り

 「外国人労働者の導入は経済成長に役立つ」

 こう断言するのは大手素材メーカー幹部だ。

 少子化を放置すると、生産年齢と呼ばれる15歳から64歳までの人口は急減する。政府の試算では42年には、18年時点と比べ1千万人減る。

 外国人労働力で補えば、「労働者の出身国との橋渡しが期待できる。異文化圏ならではの発想が新市場を創造する可能性もある。人件費負担を上回る見返りを期待できる」というのが、この幹部の見解だ。

 コンビニエンスストア大手のローソンも20年度から3年間で70人弱のアジアの留学生採用を始めたが、狙いは「多様な価値観を受け入れ社内を活性化させるため」(同社)だ。

 ドイツや英国、フランスなどでは、労働力全体に占める外国人労働者の割合は5〜9%だ。日本は1%程度にとどまる。英国では2006年の外国人労働力による経済成長への寄与度が15〜20%程度だったともみられ、日本でも期待が集まっている。

 ■0・3%押し上げ

 しかし外国人の人材確保には、制度上の壁がある。

 ある日本の金融機関は、外資系金融機関の外国人の経営幹部をヘッドハンティングしたが、その幹部はある事情で入社の断念を余儀なくされた。経営幹部は出入国管理法上、外資系企業の「経営者」として在留資格を得ていた。しかし日本企業に移れば資格が「専門技術者」と変わり、それまで雇っていた外国人の家政婦が帯同できなくなってしまうのだった。

 「技術」「人文知識」などの専門家として日本在留資格の認定を新たに受けた外国人は平成21年には8585人と前年から5割も減った。景気悪化による企業の人件費抑制が大きな理由だが、制度上の問題もちらつく。

 外国人労働者の積極受け入れを主張する日本経団連・産業政策本部副本部長の川口晶は「入国管理制度を見直すなど受け入れやすくすべきだ」と主張する。

 政府は6月に閣議決定した「新成長戦略」に、外国人労働者を受け入れやすくする対応を盛り込んだ。技能や資格をポイントで数値化し、一定水準で資格を得られるようにすることが柱だ。それらにより32年までに就労資格を持つ「高度人材」を倍増させるほか、高度人材として日本への定着が期待される外国人留学生の受け入れを30万人にするという。

 日本経団連も外国人労働力の導入を含めた成長戦略を打ち出している。実施すれば370万人の雇用を生み、国内総生産(GDP)を実質0・3%押し上げると効果をはじく。

 経済産業省の試算では、生産年齢人口を7年のピーク時の水準に維持するには、42年までに平均で1年間に50万人の外国人を受け入れる必要があるという。受け入れた外国人が経済成長の期待を担う時代はすぐそこまで来ている。(敬称略)


エコ未来都市売ります 海外視野、広い業種に恩恵

台風9号で雨模様となった8日午前。つくばエクスプレスで東京・秋葉原から約30分の柏の葉キャンパス駅(千葉県柏市)のそばに街づくりの新たな拠点がオープンした。周辺は東京大学千葉大学の施設がある学園都市。そこを、先端技術を活用した未来型都市にしようと活動する「柏の葉アーバンデザインセンター」(UDCK)の施設だ。

「産業界と連携を深めながら、東大の技術やノウハウを社会実験として展開していきたい」

 式典会場では、センター長で東大大学院教授の大和裕幸が意気込みをみせ、柏市長の秋山浩保も「新しい街だからこそできる新たな試みに取り組みたい」と語った。

 4年前に発足したUDCKは地元自治体と大学、企業で組織。これまでの活動で、街中に公衆電源を設けてパソコンや携帯電話に充電できるようにするなどの社会実験を行ってきた。

 昨年7月には、主にビジネスに絡む事業に取り組む別組織が発足。太陽光や風力などの再生可能エネルギーで地域の電力を賄い、電気自動車の充電設備などを整備する「スマートシティ」計画を発表し、三井不動産やシャープ、伊藤忠商事など10社と実証実験を行う会社を設立した。

 実際には費用負担などの難問も多く、大和も「一筋縄では進まない」と認めるが、同様の構想は国内外で相次いで検討されている。

 ■100兆円の巨大市場に

 「自分には何ができるのか」。日本経団連会長の米倉弘昌は5月の就任後、絶えず自問してきた。地盤沈下が進む経済を民間主導で活性化させられないか。そんな危機感で検討を指示し、7月に披露(ひろう)したのも未来型の都市づくりだった。

 「環境、スマートグリッド(次世代送電網)、交通システムなど日本が得意とする各企業の技術力を集めたモデル都市」。米倉の念頭にあるのは人口10万〜30万人の都市で、すでに「候補地として複数の自治体が手を挙げている」(経団連幹部)という。

 米倉がこの構想に将来を託そうとするのは、ゼネコンや不動産はもちろん、電機や自動車、機械、電力、流通など多くの産業と密接につながり、大きな波及効果が期待できるからだ。

 6月に新成長戦略を決めた政府も同じ認識から、再生可能エネルギーの活用を軸とした環境未来都市構想を提唱。10年後に環境・エネルギー分野で50兆円超の新規需要を創出するとした目標に向けて「中核事業となるのがこの構想だ」(経済産業省)と鼻息も荒い。将来的に同様のエコ都市建設の市場規模が世界で年間100兆円になるという日立製作所の推計もある。

 ■塩田跡地に35万都市

 問題はこうしたチャンスを生かせるかどうかだ。米倉らの視線の先には海外があり、「国内の成功例を踏まえてプロジェクトを売り込む」(経団連首脳)というが、構想ばかりの日本と異なり、海外では相次いで事業が具体化している。

 例えば中国・天津市で始まった天津エコシティー構想は、塩田跡地に35万人規模の都市を建設。再生可能エネルギーの利用率を20%以上にするほか、下水からメタンガスなどのエネルギーや肥料を取る計画だ。

 すでにアニメ産業の育成施設の建設などが始まっており、日本総合研究所創発戦略センター所長の井熊均は「エコシティーが環境技術のショールームとなり、新たなビジネスが生まれる」とみている。

 訪中した米倉は8日、河北省唐山市の別の構想に協力する考えを表明した。着実に実績を積む海外でも受け入れられるノウハウを確立するには、規制緩和や税制優遇措置などの政策パッケージで国内の構想を後押しすることも不可欠となる。

 これまで日本経済を牽引(けんいん)してきた自動車産業には部品や素材業界など幅広いすそ野があるが、未来型の都市づくりはそれを上回る経済的なインパクトをもたらす可能性も秘める。日本企業の総合力を結集した技術やノウハウが海外でも展開できるのかどうか。その成否は、経済大国としての日本の浮沈にもつながっている。 =敬称略

 (この連載は比嘉一●(=隆の生の上に一)、大柳聡庸、粂博之、石垣良幸、飯塚隆志が担当しました)

でも、全然ネットでニュースも意見も拾えない。


ーー以下全部引用ーー
27世帯分の個人情報紛失 県が謝罪 文書輸送、不明に
http://www.isenp.co.jp/news/20100826/news01.htm

県健康福祉部健康づくり室は二十五日、県庁で緊急会見し、小児慢性特定疾患治療研究事業の対象者二十七世帯分の、課税証明書など個人情報の文書を紛失したとして謝罪した。

 同事業は国と県が負担し、小児がんなど治療が長期にわたり、医療費が高額になる十一疾患群、五百十四疾病について医療費の自己負担分を補助する制度で、県内の対象者は千六百人。保険者の実施する、所得に応じた医療費払い戻しの「高額療養費制度」と重なる場合、同制度の支払上限額の適用区分を基にするため、県は医療保険者に所得区分を照会している。

 県は七月二十二日、同事業の対象者の所得区分を照会するため、県内外の九医療保険者に課税証明書など四種類の文書三十八世帯分を郵送したところ、県建設国民健康保険組合だけから回答がなかった。通常なら二週間程度で返答があるので八月二十日、電話で確認すると、県からの文書が届いていないとの答えで、文書の所在不明が分かった。日本郵便に依頼し、誤配や紛失を調べてもらったが、見つからなかったという。紛失した文書は、患者と保護者の氏名・生年月日・住所が記載された連絡票▽住民票▽同意書▽市町民税・県民税課税証明書―の四種類。服部秀二室長は「控えのコピーを合わせると五百五、六十侃覃_あり、郵便はかなり重い。郵便は総務部法務・文書室から出しているが、受け渡しのチェックはしていない」と話した。

 文書の控えを同組合に直接渡したので、対象者の医療給付に支障はないという。服部室長は、「再発防止策として重要な個人情報を含む書類は書留郵便を使う」と述べた。

そんなに卑猥な話ではないですよ。

社会的資本(ソーシャルキャピタル)とか輸入もんが多いね。言葉を輸入してこなくたって概念自体は日本に昔から存在していると思うけど。でも、エロ・デリバティブって面白いな。

ーー以下全部引用ーー


現代社会の性を支配する”エロティック資本主義”
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/816


2010年07月10日(土)
フィナンシャル・タイムズ(UK)
メディアが極度に発達し、グローバル化が進む現代においては、
「性的資産」の管理術がますます重要視されている。

 英国ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの上級研究員キャサリン・ハキムが「エロティック資本」という論文を発表した。彼女によると、性的魅力は一種のパワーであり、資本でもある。そして性的資本は近年、他の資本より重視されるようになっている。

 コンドームやピルの普及により、カジュアルセックスが広まり、ウェブなどのメディアが性的資本への欲望をっているのも一因だ。ステロイド脂肪吸引豊胸手術などはすべて「性的資産」を増やすための投資術だし、多くの人にとってジム通いは健康のためというより、自らの「性的資産」を管理するためといえる。

 経済の世界と同様、エロティック資本主義は弱肉強食の世界だ。性のグローバル化は世界的スターと弱者の格差を拡大する。ウェブ上には性的欲求を満たしてくれる情報が溢れており、パートナーがキーラ・ナイトレイブラッド・ピットのようでないからといって、現実の性的関係から遠ざかる人も増えている。エロティック資本主義の世界でもフラット化が進行しているともいえよう。

 かつてフェミニスト小倉千加子が「結婚とは男のカネと女のカオの交換である」と喝破したが、現代のエロティック市場はさらに複雑化しており、そのうちエロ・デリバティブ、性的サブプライムなんて言葉が聞かれるようになるかもしれない。

15%で運用できるならBMW買うけどさ。

子供にこんな教育をするといいかな。


ーー以下全部引用ーー


「タイムイズマネー」か?「マネーイズタイム」か?――なぜ金持ちは借金してBMWを買うのか
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/0704/17/news019.html

2007年04月17日 08時46分 UPDATE
「時は金なり」という金言は誰でも知っている。時間はお金を払ってでも手に入れたいくらい価値がある、だから有効活用せよ、という意味だ。

 だがファイナンスの世界では、「時は金なり」というと、時間価値のことを指す。俗に言う“複利効果”というものだ。

お金は自己増殖し、時間とともにその価値を増していく
 お金は自己増殖するという性質を持っている。なぜなら貨幣は「腐らない」からだ。肉や魚は腐る。だから食べてしまうか誰かと交換することになる。ところが、肉や魚の媒介であるお金は腐らない。だから人はそれを貯蓄することができる。ところが経済活動をする上ではお金はどうしても必要だ。そうなると貯蓄されたお金を動かす“動機”が必要となる。それを利子という。この利子により、貨幣は時間とともにその価値を増してゆくのである。金持ちはこういった貨幣の本質を、腹の底から理解している。

 意外に思われるかもしれないが、金持ちはBMWを借金で買う。なぜなら、BMWのローンの金利はたった3%でしかないが、自分のお金は15%で運用できるからだ。本当の金持ちは、ビジネスや投資で15%で運用できる自分のお金を取り崩し、即金で車を買うようなことはしない。お金があることと、お金をうまく使うこととはまったく別の話なのだ。

 昔、「マルサの女」という映画があった。国税局の査察官(宮本信子)が、ラブホテルを経営する権藤英樹(山崎努)の脱税を摘発する物語だ。その中に、査察官が権藤に、「どうやってお金を貯めたのか?」と聞くシーンがある。権藤はこう答える。

「一滴、一滴、コップに水を貯める。コップに水が半分貯まったところで、普通の人は喉がカラカラだといって飲んでしまう。これじゃあ駄目だ。コップに水が一杯になるまでじっと待つ。一杯になってもまだ飲まない。コップから溢れた水を舐めるのだ」

 ほとんどの人は、お金を得たらそれをお金以外のものに交換する。これを消費という。金持ちは、お金をさらにお金を生むものに交換する。これを投資という。この習慣的行動の違いが、時を経て、両者の資産を大きく分けるのである。

マネーイズタイム――金は時なり
 さて、ではもう一方の「マネーイズタイム(金は時なり)」とは何か?

 これには2つの解釈がある。1つは、お金があれば時間に余裕ができる、ということだ。お金があるからこそ、ゆとりをもったクオリティオブライフを満喫できるという考え方である。

 だがこれは消極的な見方だ。「マネーイズタイム」というときには、お金で時間を買う、という見方のほうがより積極的だ。

 欧米のエリートビジネスマンは、借金をしてでも若いうちにMBA留学に行く(連載・ロサンゼルスMBA留学日記)。帰ってくれば、年収1000万プレーヤーになることがわかっているからだ。だったら、HSBC香港上海銀行)で年利5%で借金をしてでも、20代半ばで学位を取ったほうがいいと考える。いわば前借り、よくいえば先行投資である。

 ファイナンスの本質は、「前借り」、つまり将来の利益のために、今お金を調達することにある。最近はすっかり日本にも定着したM&A(合併・買収)の本質も、実は“時間を買う”ということにある。自分たちでイチから作り上げる(グリーンフィールド)より、すでにあるものを買う、という発想である。三角合併※が可能になった今、M&Aや投資の素養は、ビジネスマンに必須のスキルとなりつつある。

三角合併…会社を合併する際、消滅会社の株主に対して、対価として、存続会社の株式ではなく親会社の株式を交付して行う合併。日本では2006年に解禁され、株式時価総額の大きい外国企業が、日本の国内企業を買収しやすくなると見られている。
今後必要になるのはタイムイズマネー? マネーイズタイム?
 ところで日本人は、借金が嫌いである。多くの人がお金を借りるのではなく、お金を貯めてから、何か事を起こそうと考える。よくいえば堅実といえるが、裏を返せば「お金をコントロール」する力に長けていないという見方もできる。

 私は、お金は、社会への貢献の結果であるとともに、将来の可能性そのものだと思う。日本人はこれまでお金の話題を避けてきたが、そろそろお金を肯定的に捉えるのはどうだろうか?

 お金には生き金と死に金があるはずだ。「消費」のために借金をするのが愚の骨頂だが、将来への投資のためにお金を使うスキルと勇気を養う必要がある。資本主義の世界では明確なビジョンと、可能性の高いプランさえあればお金を調達することが可能だ。お金がないから何かができない、と考える必要はない。

 そう考えると、これからの私たち若者に必要なことは、時間を切り売りしてお金を得る「時は金なり」の発想ではなく、「金は時なり」と考え、お金をコントロールしながら、大きな将来ビジョンを達成してゆくスキルではないだろうか。

官治国家、官主主義か。

ーー以下全部引用ーー

草薙厚子さんが闘った「検察の不正義」
http://playlog.jp/atsukokusanagi/blog/2010-02-04

明治学院大学 名誉教授 原田勝弘先生のコラムから(2010年1月29日)

草薙厚子さんは、2006年に奈良県の当時高校1年の少年が自宅を放火
し、一家3人が焼死した事件をとりあげ、その少年の特異な内面や行動
特性に光をあてることで『僕はパパを殺すことに決めた』(以下は
『僕パパ』と略します)という著作を出版(2007年)しました。

 この『僕パパ』を執筆するにあたり当少年を内側から分析する上で、
草薙さんの主に用いた第一次データ(primary data)が、監察医に
よる少年の「供述調書」(以下、「調書」と略します)でした。

 草薙さんがこの「調書」を重視し、重用したのは、第一にこれが
少年事件であるため審判が非公開となり、少年の内部に起きた問題
状況を通常の取材によって明らかにするには限界があり、事件の真相
に迫るには「調書」のなかで語られている少年の「肉声」こそが重要
な第一次データになると考えられたからです。

 第二には、この事件の特質が家族内で起こった少年事件であったが
ために、父親が振るっていた暴力など家族の内情を少年がどのように
受け止め、いかに語ろうとしていたのか、という当事者の
「主観的現実」を先ず明らかにすることが重要です。そのためにも
「調書」は必要とされる第一次データであるとしたのです。

 第三は、草薙さんのジャーナリストとしての基本的なスタンスに
かかわることなのですが、この少年事件が非公開の審判で裁かれた
末に、確かな情報もしらされないまま闇に葬られてしまうことに
つよい抵抗感をもち、さらには亡くなった継母の両親が「真実を
伝えてほしい」と語ったことばに促されて、上記の第一次データ
である「調書」に焦点を絞りながら『僕パパ』を書きあげたのです。
多発する少年事件の抑止、防止のためにもこの事件の真相に迫る
ことが社会的正義に叶うものだと考えたのです。

 問題はこの「調書」が『僕パパ』のなかで少年を分析する際に
重要な資料として使用され、引用されていることに対して、検察側
が関係者の内部で保秘されるべき「調書」を外部に漏らした事件
として立件したことから始まります。秘密漏示罪、つまり医師や
弁護士らが業務で知った個人情報を理由なく漏らす罪で、調書を
作成した鑑定医が捜査の対象になり、同時にその調書を不当に入手
した疑いで草薙さんも捜査される立場になるのです。
 
 さてこの50日にわたる捜査で、草薙さんに加えられる検察側の
容赦のない理不尽な取り調べはどのように行われたのか、これに
対して、彼女がいかにしてそれに耐え、さらにどのような反撃に転
じたのでしょうか。それらのことを彼女は「取り調べ」の最中でも
その模様を丹念に記録したメモをもとにあますことなく明らかにした
記録が、『検察との「50日間闘争」いったい誰を幸せにする捜査
なのですか』(光文社)という本(以下『50日間闘争』と略します)
でした。

 いまあらためてこの本を読み直してみると前回のコラムでのべた
「三井事件」や現在進行する「小沢事件」とも通底する重要な
共通項が浮かび上がってきます。

 それは、検察がある予断をもって事件のシナリオをねつ造し、
その正当性を主張し、世論形成をすすめるためにメディアに対して
大量の情報リークを行うというパターンなのです。本来ならば
司法上のいかなる“疑い”も裁判での最終判決が下されるまでは
推定無罪」の原則に立つことが大事なのです。しかし、その
裁判によって裁かれるはずの被疑者の罪が、実は検察が起訴する
前後の段階ですでに限りなく黒い“悪者”に染め上げられている
という司法の現実があります。

 この「虚偽のリーク」のなかでももっとも悪質だったのは、
2007年9月22日(土)の朝、NHKニュースで流されたとんでもない
誤報」でした。それは次のようなものでした。

   奈良県で自宅に放火して母親らを死亡させた少年の供述
   調書がこの事件を扱った本に記された問題で、本を執筆
   したフリージャーナリストが、奈良地方検察庁の事情聴
   取に、少年の精神鑑定を担当した医師に頼んで調書の写
   しを見せてもらったと話していることが新たにわかりま
   した(中略)。

   草薙さんが事情聴取に対して「医師に『供述調書を見せ
   てほしい』と頼み、写しを見せてもらった」と話してい
   ることが新たにわかりました。奈良地検は、草薙さんか
   ら頼まれた医師が調書の写しを渡すなど職務上知りえた
   情報を漏らした疑いが強まったとして捜査を進めていま
   す」※1)

 これに対して草薙さんは、そのニュース内容が全くの虚偽であるとして
次のように書いています。

   ・・・問題なのは「草薙さんが話している」という部分だ。
   そして午前7時30分のからの関西ローカルのNHKニュース
   でも、同じ内容が放送された。私は9月14日から始まった
   捜査に対して、任意で出頭し、できる限りの協力をして
   きたつもりだ。事情聴取の際、口が裂けても言えないもの
   として守ってきたもの、それは「取材源の秘匿とその属性
   の秘匿」だ。

   それなのにNHKは私に直接取材しないで、裏を取っていない
   虚偽のニュースを流した。前日には読売新聞に虚偽の
   ニュースを掲載され、この日は公共放送である天下のNHK
   にも事実と異なる虚偽の報道をされ、私は四面楚歌の気分
   を味わった。

   どんどん情報操作が行われ、私に対するイメージが固めら
   れていく。今回のように事実とは異なった情報が流れるこ
   とによって被疑者がシナリオ通りに演じさせられていく
   ケースは予想以上に多いのではないだろうか。※2)

 以上のように被疑者になると、まだ逮捕も起訴もされていない事情
聴取の段階で、取り調べの内容が検察側からマスコミに流されている
という現実があります。さらに問題なのは、その間に虚偽のリークが
なされ、その情報を被疑者側の取材もしないまま記事にしてしまう、
という現実があるのです。

 草薙さんは、こうした「現実」を検察との「50日間闘争」のなかで
まさに身をもって体験してきたのです。

 このように草薙さんが自らの体験によって明らかにしようとした
検察捜査の問題点の中で、私がとりわけて注目している重要な
ポイントは、「被疑者がシナリオ通りに演じさせられていく」
という戦略です。先ずは被疑者を起訴に追い込むための「シナリオ」
をつくり、そのシナリオに合致する供述や傍証だけを収集して
シナリオに見合う「もうひとつの現実」がかためられていくのです。

 検察にとって都合のよい情報のリークが、あたかも戦時中の軍部
による「大本営発表」のように流され、それをマスメディア側は
裏も取らないまま記事にしていくというプロセスに「情報操作の
装置」が埋め込まれ、構造化されているのです。検察にとって
望ましい「もうひとつの現実」はこのような強引で一方的とも
いえる「情報操作」によって成り立っていることを、草薙さんの
『50日間闘争』は明らかにしています。

 検察の捜査に潜むもうひとつの問題点は、捜査の初動の段階で
すでに起訴に向けてのシナリオづくりが行われ、捜査はその
シナリオに即して進められていくことです。危険なことはそれが
予断に満ちた虚偽の推測に基づいていても、先ほどのように
「被疑者はシナリオ通りに演じさせられていく」のです。

 こうした捜査のシナリオは、草薙さんのケースでみると検察に
届けられた一枚のブラックメールからはじまっています。

 そのブラックメールには次のような内容が記されていました。

    音羽病院、崎濱盛三先生にかんして院内調査お願いします。
    ご存知かとおもいますが、先生は奈良少年事件において、
    精神鑑定されました。その際、鑑定医として知り得た捜査
    資料を、十一元三(京都大学医学部保健学科)教授と不倫
    関係にあると噂されているジャーナリスト草薙厚子氏に教
    え、見返りとして金銭を受け取った疑いがもたれておりま
    す。院内調査してください。精神医として学会で議題に挙
    げさせてもらいます。※3)

 これまでの検察捜査のシナリオの多くがそうであったように、
その主要なモチーフは“お金”と“情”(男女関係)が絡んできます。
草薙さんを捜査するシナリオもまた絵に描いたように不倫と金銭が
とりこまれ、これを前提とする強制捜査と50日間の事情聴取が行われ
ていくのです。

 草薙さんの自宅への強制捜査は、何の通知もなく早朝の寝込みを
襲うかたちで強行され、修羅場のように家じゅうを荒らしまわった
うえ、パソコン3台や携帯など日々の仕事に必要なものをふくめて
押収リストは86点、段ボール箱にして80箱弱のものが持ち去ら
れました。その日の早朝、本人たちには知らされていなかったのに、
マスコミの記者やカメラマンはすでに自宅の前に待機しており、
新聞の朝刊にも強制捜査のニュースが掲載されていたのは、
検察情報があらかじめリークされていたからです。

 強制捜査は、崎浜鑑定医と十一教授にも行われました。そして
当事者3人への厳しい事情聴取の日々がつづくのです。事情聴取は
当事者だけでなく、
周辺に居る関係者にまでおよびます。草薙さんの夫も聴取をもとめ
られ、「どのような夫婦関係なのか」、「なぜ子どもをつくらない
のか」などの下世話で卑劣な質問をしているが、それは当事者の
“情”(不倫)を念頭にしているからだと思います。

 以上のような強制調査や事情聴取にも拘わらず、その結果として
草薙さんをめぐって情とお金が介在するという事実はどこからも
発見されず、ブラックメールとそれに基づく検察のシナリオも
虚偽として完全に否定されるのです。

 わたしたちは、草薙さんのこの『50日間の闘争』を読むことで
福島県知事汚職事件」や「三井事件」、そして現在進行している
「小沢事件」とも通底する重要な共通項が浮かび上がってくる事実
を知ることになります。

 草薙さんは、自らの著書のあとがきで次のように書いています。

   検察からの虚偽のリークがほとんどだった新聞、テレビの
   報道に関しては、同じマスコミ人として、とても残念に思
   う。当事者の取材をせずに、あたかも事実のように報道し、
   当初は虚偽情報の洪水状態にあった。その汚名を晴らすた
   めに、この本で、検察の取り調べの実態や、捜査の背後に
   は何があったのかを明らかにし、読者が公正に判断するた
   めの判断材料を提供した次第である。

   「(供述調書のような)秘密情報を漏らすな」と言うのな
   らば、それ以前に国民の利益になる情報、国民の知るべき
   情報が確実に開示されていなければならないと思う。※4)
 
 わたしは当初、草薙さんのこの本のタイトルで『いったい誰を幸せ
にする捜査なのですか』という問いのかたちを少々感性的ないし感傷
的な意味合いに受け取っていましたが、いくつかの事件の成り行きや
今向き合っている“現実”をふまえながら、あらためて読み直して
みると、実は原理的な法制度にゆきつくもっと深い問題が隠されて
いる究極の問いだと思うようになりました。

 それは、アンシャンレジーム(旧体制=守旧派)の象徴でもある
法務省の「省益」、検察庁の「庁益」といった自らの権力と利権を
再生産する官僚組織の防衛に帰着する明治以来の近代日本を基底で
支えてきた「官治主義」(あるいは「官主主義」)から、わたしたちは
まだ完全には脱却できていないという古くて新しい問題です。

 戦後になって手に入れたと思っていた主権在民の「民主主義」は、
ほんとうのところはまだ未成熟の借り物にすぎないことは、選挙に
よって選ばれた政党が、国民から選ばれてもいない検察の権力に
よって追い込まれているという「官主主義」的な問題状況をみれば
一目瞭然です。

 かって筑紫哲也は亡くなる直前に次のような印象的なことばを
残しています。

    わたしたちの社会は民主主義によって治められている
    「民治」国家といわれていますが、政治や司法を中心
    に実質的には高級官僚によって治められている「官治
    (官主)」国家なのです。それが証拠には(自民党政権
    の時代を通じて)立法の議案から首相や大臣の演説ま
    で“官僚主導”で作られているからです。実はわたしたち
    の“不幸”は、こうした影の支配者である高級官僚
    を選ぶことができない点にあります。※5)

 この筑紫哲也の遺言のようなことばを念頭に入れながら、
あらためて「いったい誰を幸せにする捜査なのですか」という
草薙厚子さんの問いに向き合うべきだと思います。


なお、筑紫哲也のことがでてきたので、最後にここでぜひとも
言っておきたいことがあります。それは、もしいま筑紫哲也
生きていたら、現下の「小沢問題」をめぐる検察の情報リーク
とマスコミの「金太郎飴」のような大本営的報道ぶりをいかに
評価し、どのように論じていたでしょうか。

 彼のジャーナリストとしての真骨頂は、メディア報道のなに
よりも優先すべき指針である「権力を監視するウオッチドッグ
watch-dog)」の役割を実践してきたことです。その意味では、
何か公権力が介入する事件が起きた時に、彼はそれに対して
どのような報道スタンスで対応するのかをめぐって多くの
メディア人が注目する「羅針盤的存在」だったのです。

彼は「ニュース23」でその多彩な人脈による討論を交えた
特集番組をしばしば企画してとても面白かったが、とくに政治
(選挙など)の季節になると田勢康弘(日経)や岸井成格(毎日)
そして立花隆など常連のジャーナリスト、知識人が登場して、
筑紫と波長を合わせるような論調が展開されていました。

 しかし、筑紫なきあとの報道番組やワイドショーのなかに
登場する彼らの言動から、検察とタッグを組んで「小沢批判」
ばかりのマスコミ論調に寄り添う従順な飼い犬(ウオッチドッグ
ではない)になりさがっている姿を見せられると驚きを通り越して
情けなくなります。

 とりわけて立花隆のジャーナリストとしての“堕落”には
目をおおうものがあります。彼の文春などのメディアで展開して
いる何十年も前の“田中角栄金権批判”と同工異曲のアナクロ
で底の浅い「小沢追放論」をみると、無残にも彼の化けの皮が
はがれてきたかと思います。彼には、小沢一郎を追放すること
で結果としてアンシャンレジュームとしての「官治政治」の側
に加担することになるという状況認識が欠落しているのです。

 このように書くと、わたしはいかにも小沢一郎の支持者のよう
に受け取られるかもしれないが、そうではありません。小沢という
人物を好きか嫌いかで言えば好きとは言えません(政治家を好きか
嫌いかで論じるべきではないのですが)。小沢という政治家は、
決して「清潔」な政治家であるとはいえないけれども、
政治家は「清潔」でありさえすればいいわけでもないのです。

 むしろ「清潔」とはいえないけれど、現状に横たわる問題に
取り組む「能力」と「膂力」と「実績」があると考えられるの
なら、わたしはその政治家が決して「清潔」ではないにも拘わらず、
何か新しくやろうとしている政見の中味を問うことによって
その人を支持するかもしれません。小沢一郎は、まさにそのような
タイプの政治家なのです。

 でも、小沢はいまや日本社会におけるピカレスク(悪漢小説)の
唯一無比の“悪漢”モデルになっています。まるでキム・ジョンイル
やオサマ・ビンラディンアフマディネジャドのように。

 しかし、小沢一郎という政治家がどういう人物であるかどうかは、
この際問題ではないのです。

 真の問題は、標的になる人物が誰であれ、そのひとを検察という
公権力(捜査権と公訴権の双方を有するのは、米国の司法長官に
匹敵する存在であり、検察という一つの官僚機構がそうした司法
権力を独占的に保持している国は、民主国家としては韓国と日本
だけです)が大マスコミと手を組んで「悪漢」に染め上げ、
やがて「排除」しようとする司法検察のありかたそのものにある
のです。

 わたしたちは、主権在民の「民治社会」をより成熟したものに
するためにも、こうした検察の独善的なやりかたにきっぱりと異議
申し立てをするべきだと思います。そして、近い将来に検察庁
はじめとする明治以降の官僚制度の抜本的な改革(人事院の廃止も
含めて)がなされることを願うばかりです。


※1)草薙厚子『検察との「50日間闘争」いったい誰を幸せに
   する捜査なのですか』(光文社)、114頁。
   なお、草薙さんはNHKがこの時に放送した「誤報報道」
   に対して強く抗議し、NHK側を相手取り公訴中です。
※2)前掲書、115−116頁
※3)前掲書、286頁
※4)前掲書、291−292頁
※5)TBSの「NEWS23」のキャスターであった筑紫哲也
   さんが、ガンで入院中の病院を一時抜け出してニュースに
   出演した時に語った言葉であると記憶しています。その時
   筑紫が語った言葉として括弧にくくっている文章は、彼が
   言わんとしていたメッセージの趣旨をあくまでも忠実にま
   とめようとしたものですが、その言葉を正確に再現したも
   のではありません。この時のニュース番組をビデオで収録
   していたのですが、その映像記録は現在紛失していて残念
   ながら参照資料とすることができないのです。いま探索中
   ですので後日見つかり次第、このコラムの記事で紹介し、
   訂正すべき点があれば報告したいと思います。なおまた、
   無駄になるかもしれませんが、後日にTBSの報道部に問
   い合わせて当該映像記録にアクセスできるかどうか、その
   可能性についても調べてみたいと考えています。


追記;95歳の介護中の老母が、1月11日に誤嚥性肺炎で
市内の病院に入院しましたが、23日の午後ひとまず退院し
ました。その後、自宅で発熱を繰り返し、再入院を考えるなど
不安定な状態のつづく日々でした。今回はそのような事情から、
草薙さんの『50日間闘争』に関する記事を事前に予告していた
にも拘わらず、そのコラムをUPするのがかなり遅くなってし
まいました。    

高橋洋一氏のミス

ーー以下全部引用ーー

http://mojimojisk.cocolog-nifty.com/lilyyarn/2010/02/sapio-d39f.html

余談だが、政策工房の高橋氏を人格攻撃しても無駄。あの窃盗事件は、本人のミスから誤解を与えた事実があったことに間違いはなかったので、高橋氏はあえて弁解しなかったという。ロッカーで時計と財布の忘れ物を見つけ、フロントに届けようと思いながらマッサージの予約の時間が迫っていたので、そのまま2時間、マッサージを受けながら寝てしまった。うっかりしていたところ、出口で“御用”となったわけだ。時計は大学時代に贈られたセイコーの時計しか持っていないとのこと。