ネタバレします。 冒頭の丑久保陶兵衛とその妻のエピソードが怖くて一番記憶に残ってしまった。 本書の熊菱という蘭方医に臨月の妻を診せたところ「すぐに産ませた方が良い」と言って薬を飲ませたが生まれる気配はなく妻は苦しみだした。 慌ててその医者は陰部を切り裂いて子供を引きずり出したというのだ。 それ以後その妻は子どもを産めぬと言われたうえ顔に痣ができ頭髪も抜けはじめた。 丑久保は恨みを晴らそうとしたがその蘭方医はどこかへ逃げてしまったのだ。 牛久保は手塚良仙に「同じ蘭方医の責任で妻の身体を元に戻せ」と無理難題をもちかけ「できないならその指を全部斬り落とす」と迫った。 出産のアクシデントは最も辛いこと…