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2016-09-16

十四松と十代亀でこりゃめでてーな ミュータント・ニンジャ・タートルズ:影<シャドウズ>

| 21:03 | 十四松と十代亀でこりゃめでてーな ミュータント・ニンジャ・タートルズ:影<シャドウズ>を含むブックマーク

タートルパワー!

 今年のアメコミ映画攻勢もほぼ終わり。この「ミュータント・ニンジャ・タートルズ:影<シャドウズ>」と「スーサイド・スクワッド」を観たので後は来年の「ドクター・ストレンジ」までしばし待機。リアルなの、シリアスなの、コメディ調いろいろ揃っているけれど、なんだか歳を取るにつれて暗めのやつより明るいヒーロー映画の方が楽しんで観れるようになってきているなあ。というわけで僕個人としては十分に楽しめたのであった。「ミュータント・ニンジャ・タートルズ:影<シャドウズ>(以下TMNT影)を観賞。

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物語

 NY。エイプリルは科学者ストックマンがフット団の一味で、タートルズに敗れ捕まった首領シュレッダーのために何かを計画していることを突き止める。シュレッダーを護送する道中、フット団が護送車を襲撃する。担当の警官ケイシー・ジョーンズとタートルズによってシュレッダーの脱走が失敗かと思われたその時、ストックマン博士は次元転送装置を作動させシュレッダーを逃亡させることに成功する。異次元でシュレッダーはディメンションXの悪人クランゲと出会い、彼の計画を手助けすることで世界を手に入れる盟約を結ぶ。

 一方シュレッダーと一緒に護送され、ドサクサに紛れて逃げたビーバップとロックステディの二人組はシュレッダーに勧誘されミュータジェン投与の被験体となる。二人を追っていたジョーンズはタートルズとエイプリルと出会う…

 前作の感想はこちら。

 マイケル・ベイが制作した前作はCGによるマッチョタートルズに多少の違和感も覚えたものの概ね大成功。本作は前作の印象をそのままにパワーアップした直近の続編。アメコミ映画の例に漏れず、オリジンとキャラクター紹介に時間を費やさねばならない1作目に比べると、最初から全開でいけるため、テンポは今回のほうが段違いに良くなっている。

 原題は「Teenage Mutant Ninja Turtles out of the shadows」。前作は「ミュータント・タートルズ」だったが、何故か今回は「ニンジャ」の単語が加わって「ミュータント・ニンジャ・タートルズ」に。しかしですね、以前も書いたとおり、実はこの4匹の亀の要素としては彼らが「十代」であるってことが重要であると常々言っているのですよ。本作でも冒頭のバスケ観戦シーンやハロウィン・パレードに紛れ込むマイキーのシーンなんかで彼らのティーンエイジャーぷりはふんだんに描かれている。だから次こそはタイトルに「ティーンエイジ」をちゃんと入れて欲しいですね。タイトル長すぎったってテーマ曲に合わせて言えば全然面倒くさくないし、「TMNT」って略称もちゃんとファンの間では定着しているんだから。

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 そんな十代の彼ら。前作でキャラ紹介は終わっているので本作ではいちいち改めてクローズアップしたりしません。レオナルドはクールなリーダー。ドナテロは天才発明家ラファエロは熱血漢、そしてミケランジェロはパーティ・ピーポー!その辺はもうみんな知ってる大前提で進むよ。アニメ主題歌を口ずさめばそのままキャラクターが把握できるし。

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 このテーマ曲を覚えて歌おう。今回はガッツリ出てくるし。

 今年のヒット作といえば「おそ松さん」だが、松野六つ子とタートルズの4人は微妙にかぶらない。が十四松とマイキーだけは奇跡のイメージカラーも性格も重なっている!

 ヒロイン、エイプリルはミーガン・フォックスが引き続き演じている。職業はTVリポーターだが、今回はラストまでその仕事が出てくることはなく、勝手にフット団の陰謀を暴いたりしてるのでてっきりタートルズのサポート兼探偵業にでも職業替えしたのかと思った。予告編で観た女子高生姿はさすがにもうコスプレにしか見えんだろ、と思ったりしたが(女子高生(ただし私服)役だったトランスフォーマーももう9年前)、やっぱりスクールガールのコスプレ集団に紛れ込むため、というシチュエーションだった。エイプリルは主要な人間キャラクターだけど、あくまでアクション担当はタートルズでしかも今回はケイシー・ジョーンズも登場するため影が薄くなるかと思いきや、特にそういうこともなく、それこそロイス・レーンから連綿と続く「仕事のできる自立した女性」という格好良さをもっている。元々のエイプリルのキャラもあれどその辺は演じたミーガン・フォックスの力も大きいと思う。

 前作でフット団の野望粉砕の功績を表に出れないタートルズに替わり独占したカメラマン、ヴァーンはすっかりNYの有名人として調子に乗っている。タートルズと並んで本作の正義の側のコメディ部分を、それもちょっと情けない部分を担当するキャラクター。でもいざというときにはきちんと仕事を成し遂げるから素晴らしい。

 新登場のケイシー・ジョーンズはアニメではお馴染みのホッケーマスクにスティックやパックを武器として使う自称ヒーロー。本作ではシュレッダー(とビーバップ&ロックステディ)護送を担当した警官だったが逃げられたため独自にその行方を追い、その過程でタートルズたちと出会う。演じているのはTVの「ARROW/アロー」で主人公オリバー・クイーンを演じているスティーブン・アメル。二度目となる常人ヒーローだが、冷静で渋いアローに対してジョーンズはちょっとドジキャラ。本作の雰囲気に合わせてアメルもユニークな感じに。ちょっと声も高めな気がする。タートルズがいっても亀なのでエイプリルとの恋愛関係は成立しにくく(ゼロではない)、本来ならエイプリルの恋人候補でもあり、実際一緒のシーンが多いのだが、どうにも肝心なところで間が抜けてるので「できる女とそのボディガード」といったところ。

 スプリンター師匠も出てくるがそれほど出番は多くない。

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 敵も味方も全体的に太平楽なの人間ばかりなのが本作の特徴でもあって、そんな本作の象徴がビーバップ&ロックステディ。元は普通の人間(性格は変わらず)だがミュータージェンの力で先祖返りしてそれぞれイノシシとサイの獣人となった。とにかく豪快で愛すべき馬鹿。演じているのはビーバップがゲイリー・アンソニー・ウィリアムズでロックステディがシェイマス。シェイマスはアイルランド出身のWWEスーパースターですね。マッチョマンだがそのあまりに白い身体と赤毛のモヒカンが特徴。俳優としては本作がデビューであるが、まあWWEなんて毎回ぶっつけ本番の舞台に立っているようなものなので。

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 タイラーペリー演じるストックマン博士もフット団の幹部ということで前作ならウィリアム・フィクトナーが演じていたキャラクターに当たるんだけど、いわゆる黒人のスタンダップコメディアンといった感じの演技で、作品の明るい雰囲気に貢献している。

 宿敵シュレッダーは前作ではパワードスーツのような鎧を着こみ、その声は吹替で表現されていたが、本作ではアジア系ブライアン・ティーが演じ普通に素顔も見せる。というか今回はもっぱら素顔の役として過ごし、いざスーツを着込んで人間十徳ナイフとして活躍しようという矢先にクランゲに凍らされて彼のコレクションになってしまう。なんとなく「G.I.ジョー バック2リベンジ」のデストロを思わせる。まあこの場合シュレッダーもクランゲを裏切る気満々だったのでどっちもどっちだが、その分タートルズと直接やりあう機会は無く、対決は次回へ持ち越し。スーツも無駄に気合の入った前作の鎧風パワードスーツに比べると黒いタイツに兜かぶっただけッて感じだったしな。一応前作に引き続き出てくる女幹部カライとともにこの陽性のヒーロー映画の中では洒落が分からないアジア人という感じで悪人だけどその真面目さが印象に残る。てか前作の最後でミュータージェン浴びてミュータント化したことが暗示されてなかったか?

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 クランゲ。ディメンションXの独裁者、狂気の科学者。その科学力で地球を征服しようとする。見た目は巨大な脳みそなので、ニコちゃん大王とかスペースインベーダーの親戚みたい。怪力ロボットを作りその腹の中に入っている。本作の悪の黒幕であり、ラスボスだが、どうにも憎めない。昔のアニメではシュレッダー(サワキちゃん)とクランゲの漫才は名シーンであり、本作でもちょっとその片鱗を覗かせる。まあNYで空中に次元の穴を開けて巨大な何かが?!ってのは「アベンジャーズ」だし、「トランスフォーマーダークサイド・ムーン」でも同じような展開だったりした。NYの高いところから何かを放出(前作はこっち)!って展開と並んでアメコミ映画では定番なのである。本作も死ぬコト無くディメンションXに逆戻り。お供としてシュレッダーが一緒なので次は最初からちゃんとコンビを組んで漫才を見せて欲しい。

 ニューヨークを舞台にしたアクション映画だと、ヒーローである主人公とNY市民、NY警察が一体となって悪に立ち向かう、みたいなシーンがあって、これが他の国やアメリカでも他の都市だと、冷めた目で見てしまうこともあるのだが、NYだけは本気でヒーローや市民を応援してしまいたくなる。それこそ「スパイダーマン」はサム・ライミの3部作もマーク・ウェブの「アメイジング〜」2作もその市民とヒーローが一体となるようなシーンが胸熱。アクション映画とは言えないが「崖っぷちの男」や「マネーモンスター」などでも似たようなシーンがあった。先日のリメイク版「ゴーストバスターズ」ではそのNY映画としての側面(この点ではオリジナルが上だと思う)はあんまり感じなくてちょっと不満だったのだが、その点では本作「TMNT影」が補ってくれた感じ。もっとも本作ではあくまで警察は知っているけどタートルズは表に出ず市民は都市伝説としてしか知らない、という感じだけれど(タイトルの「Out Of The Shadows」は影の外に出て認知されたが、それでもあえて影の存在であることを選んだタートルズを表している)。

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 とにかく陽性のヒーロー映画。こういう作品だと映画を観て感じるリアリティのラインが他の作品とは全然違うので物語的な矛盾はほぼ気にならないし、解明されない謎、置いてきぼりの伏線らしきものとかも、まあもし次で触れるkとがあるならそれでいいんじゃね?という感じ。作品自体ももう一作きりで判断というより昔の連続活劇を観る感じで、続編当然あるよね?という態度で臨んでいるのです。

 後はやはり同じパラマウント映画である「トランスフォーマー」シリーズと「G.I.ジョー」シリーズ。この2作は元々アニメやコミックスでは世界観が一緒だし、本作はマイケル・ベイが制作しているので雰囲気が「トランスフォーマー」と似ている(音楽が同じスティーブ・ジャブロンスキーでかなり似たテーマが流れるのも似ている要因だろう)。深刻ぶった予告編だけど本編はバカ満載ってあたりも共通だ。だからパラマウント上層部は一刻も早くマイケル・ベイとスティーブン・ソマーズを呼び寄せて、「トランスフォーマー」「G.I.ジョー」「TMNT」の3作の実写クロスオーバー作品を作るべきだと思う。

カワバンガ

そして次は兎用心棒の実写化を!(しつこい)

2016-09-14

人耶獣耶 ジャングル・ブック&ターザン:REBORN

| 22:18 | 人耶獣耶 ジャングル・ブック&ターザン:REBORNを含むブックマーク

 劇場で予告編を観たのはどっちが先だったろうか、「ジャングル・ブック」と「ターザン」の新作がほぼ同時期に公開された。この2つの作品を予告編で見かけた時、なんとなく「どうせ公開日が近いなら、同日にはしごしてやろうか」と思いたった。共に自然界で両親を失った人間が野生動物たちの中で成長する物語。どうせなら見比べてやろう、と。但しこの公開日が近いのは日本での話でアメリカ本国では「ジャングル・ブック」が4月、「ターザン:REBORN」は日本とそう変わらない7月1日であるので特に両作が意識しあっているということもなさそうだ。「ジャングル・ブック」と「ターザン:REBORN」を観賞。今回は一気に2作品、でも短めで行きます。

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 まずは原作。「ジャングル・ブック」はイギリスラドヤード・キプリング1894年に出版した短編小説集。その中の狼に育てられた人間の少年モーグリを主人公として取り上げた物語を映画の題材として使用している。児童向けだが、作中には詩も収められている。

 一方「ターザン」は「ジョン・カーター」でも知られるエドガー・ライス・バローズの代表作で「火星シリーズ」「地底世界ペルシダーシリーズ」と並ぶシリーズ作品。この二作の関係性としてはバローズは「ターザン」がキプリングの「ジャングル・ブック」の影響下にあることを認めており(「類猿人ターザン」のは大様は1914年)、キプリングはあまりそのことを快く思っていなかった、なんて情報もある。ただこの2作は設定こそ似ていても本質はかなり違っており、「ジャングル・ブック」は人間の少年が主人公であるものの、基本的にはジャングルという閉じたユートピア内での物語であるのに対して「ターザン」はそのユートピアへの外界からの干渉をテーマとする。また短編である「ジャングル・ブック」に対して「ターザン」は長く続くシリーズであり、シリーズが続くうちには恐竜が出てきたり、アトランティスの末裔が出てきたり魔法的な要素が出てくるなど単なる冒険活劇でなくSFとして完成されている(バローズのもう一つの代表作である「地底世界ペルシダー」とのクロスオーバーもあるらしい)。

 で、この2つは両方共ディズニーによってアニメ映画化されている。「ジャングル・ブック」は1967年。「ターザン」は1999年。今回の映画化は「ジャングル・ブック」は同じディズニー映画でこの1967年のミュージカルアニメ映画リメイク作品。そして「ターザン:REBORN」はワーナー作品のため、このディズニー版との関係はなし。「ジャングル・ブック」は最初の予告編はシリアスな作品ぽくてリメイクと明言されてなかったが、公開間近になって宣伝のトーンが明るくなって、ミュージカル映画であることも強調されたが、あれはなにか理由があるんだろうか。ちなみに僕は鑑賞前にlittle glee monsterによるイメージソング「君のようになりたい」を生で聴く機会があって、CDも買ってしまいました。推しはアサヒさん。

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 これ、劇中では巨大猿(オランウータン突然変異かのように描写されている。地域的にキング・コングと類縁かも)キング・ルーイーが歌うのね。

 インドの狼少年(嘘つきの方ではなく狼に育てられた少年)というと、実際に有名なのはアマラとカマラだが、この狼に育てられたとされる2人の少女が発見されたのは1920年の事なので、むしろ「ジャングル・ブック」の影響でこの少女たちを「狼に育てられた野生児」ということにしてしまった可能性もありそう(現在では二人を保護・養育したシングの記録は信憑性が薄く、少なくとも「狼に育てられた」というのは嘘だろうと考えられている)。

 映画は「少年以外全部CG」を謳い文句にしており、そんなのが謳い文句になるのかな?と疑問も持ったが、確かに実際の自然の中で撮ったような風に思える精密度。これまでももちろん背景をCGにした作品などは多くあるのだが、どうしても平面的というか舞台劇のようなカメラワークが多くなったものだが、本作は主人公モーグリはじめ、皆ジャングルを縦横無尽に動くので単なる背景やCGキャラとの共演というだけでなく本当にそこに立体のキャラがいて共演しているかのようである。あんまり「大自然で育った野生児が活躍する」物語でCGG を強調するのもどうなのか?と思ったが、なるほどこれは宣伝文句にしたくなる出来ではあった。監督は「アイアンマン」シリーズのジョン・ファブロー。最初のシリアスな予告編では個人的につまらなかった「カウボーイ&エイリアン」の雰囲気を感じたので、こりゃ駄目かな、とも思ったのだがミュージカルであることを明らかにした宣伝では明るい雰囲気だったので一安心。少年も狼の子供たちも可愛く、楽しんで見れた。むしろミュージカル部分もっと多めでも良かった。

 声の出演という形だがキャストは豪華でビル・マーレイベン・キングズレークリストファー・ウォーケンイドリス・エルバなどが出ています。スカーレット・ヨハンソンもすっかりファブロー映画の常連になったな。ただ、今回僕が観たのは日本語吹替版。松本幸四郎西田敏行宮沢りえ伊勢谷友介などが声を当てていて、西田敏行はぱっと顔が浮かんだけど、後は特に顔を思い浮かべることもなく上手だったかな、と思う。

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 ディズニーの「ターザン」はターザンの生い立ち、ジェーンとの出会いを描いたシリーズでも本当冒頭部分を映画化した作品(超常現象要素特になし)だが、「ターザン:REBORN」はその後のラストエピソードとでも言うべき物語。原題が「THE LEGEND OF THE TARZAN」で「ターザンの伝説」なのに対して邦題が「ターザン:REBORN」で「新生ターザン」なのは単なる邦題の流行り廃りもあれど、原題が終章としての意図を感じるのに対して、邦題は新しく始まったターザンものって感じがしてちょっとミスリード

 ターザンはすでにアフリカには居ず、イギリスでグレイストーク卿として暮らしている。物語はベルギー植民地コンゴ経営の不振からレオポルド2世がダイアモンドの採掘によってその赤字を埋めようとするが、鉱脈の位置を知っている部族の族長がターザンを連れて来い、という。グレイストーク卿はレオポルド2世からの視察団参加は断るが、アメリカ特使ウィリアムのコンゴで行われている奴隷労働の実態を調査する、という依頼を承諾し妻ジェーンとともに再び育ったアフリカへ向かう、というもの。主人公こそ人間であるが「ジャングル・ブック」が時代性を特定できないのに比べ、「ターザン」はかなり帝国主義時代を色濃く背景としている。ターザンは伝説の人物ではあるものの、すでに野生児ではなくなっている。ターザンを演じているのはアレキサンダー・スカルスガルドで長身、小顔のイケメン。精一杯野性味を出そうとしているが、あまりターザンぽくはなかったかも。最も本作に限ればそのターザンぽくない(野生児ではない)てのは問題ないのだが。あとターザンといえばジョニー・ワイズミュラー以来の「アーアー!」という雄叫びだが、スカルスガルドの雄叫びはなんだか低い。これも文明に染まった故か。ジョニー・ワイズミュラーの甲高い雄叫びに比べるとやはりちょっとワクワク感に欠ける(あれも加工してあるので本人の地声ではないそうだが)

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 なんとなくね、ジョニー・ワイズミュラーの「アーアー!」はバナナマン日村さんおヤッホー!、アレクサンダー・スカルスガルドの「アーアー!」は橋本奈々未さんのヤッホー!だと思ってもらうといいかも(そうか?)

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 やはりこちらは人間がメインであるのでね。タランティーノ作品でもお馴染み演説させたら東西の両横綱と言ってもいいサミュエル・L.ジャクソンクリストフ・ヴァルツの二人が見どころですね。この二人の演技を観るためだけでも価値はあると思う。ジェーン役のマーゴット・ロビーはまあ綺麗だったけれど普通のヒロインという感じ。今年は彼女はハーレイクインとして生きていくからいいのです。

 監督は「ハリー・ポッター」シリーズの後半(不死鳥の騎士団〜死の秘宝」を担当したデヴィッド・イェーツで、あのシリーズでも見られた重厚で薄暗い雰因気は本作でも健在。ただその分弾けるようなシーンも重く暗鬱とした感じになってしまうのはもはや作風か。クライマックスの動物総進撃は良かったです。

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 どちらも見どころがあれど、映画館で大スクリーンで観るということにおいては「ジャングル・ブック」の方が数段勝るでしょうか?物語部分は設定こそ酷似していても全く違うので比べるのがそもそも違いますね。

 全体的には楽しく見れる「ジャングル・ブック」だが、一つとても恐ろしいシーンが有る。それはトラのシア・カーンがそれとなく狼の子供たちに暴力の必要性みたいなのものを教えるシーン。ここの不気味さがあるだけでもこの映画には価値がある。

記事タイトルはこちらから。「ターザン」とも「ジャングル・ブック」とも全く関係ないですが、冤罪をテーマにしたフランスエミールガボリオの「ルルージュ事件」を黒岩涙香が日本を舞台に翻案した探偵小説。一読の価値あり!

2016-09-07

80年代から進化したものしないもの ゴーストバスターズ

| 21:14 | 80年代から進化したものしないもの ゴーストバスターズを含むブックマーク

 2013年に日本で公開された映画の結構な作品に「魔女」というキーワードがあったように(決して表立ってブームになったわけではない)今年(というか今年の夏は)「1980年代」がキーワードとなっているような気がする。前回の「X-MEN:アポカリプス」のように80年代が舞台のものもあれば「TMNT影」のような1980年代に生まれたキャラクターの作品。そして今回のような1980年代の作品のリメイク作品。1984年は「ゴジラ」「グレムリン」そして「ゴーストバスターズ」!この3作が相次いで日本公開されたため「3G決戦」などと称された。5年後1989年にも「ゴジラVSビオランテ」「ゴーストバスターズ2」が、少し遅れて「グレムリン2」が公開され第二次3G決戦が!そして2016年シン・ゴジラ」とリメイクされた「ゴーストバスターズ」がほぼ同時期公開されたのであった!*1そういうわけで個人的にちょっと思い入れもある「ゴーストバスターズ」のそのリメイク版を観賞。

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物語

 ニューヨークコロンビア大学で教鞭をとるエリン・ギルバート博士は大学との契約更新を迎えて困惑していた。過去に友人と出した心霊本を読んだ人物に心霊調査を依頼されたのだ。封印した過去であるはずのその著書を買ってに売っている共著者で旧友のアビーの元へ行くと彼女はヒギンズ理解大学の研究室でホルツマンとともに今も超常現象の研究に勤しんでいた。久しぶりに再会した二人は口論になるも心霊調査を依頼された建物へ。そこで3人は初めてゴーストとの物理的接触に成功する。しかしアビーとホルツマンは大学を追い出され、エリンも契約更新を破棄されてしまう。3人は中華料理屋の2階を借りて心霊調査会社ゴーストバスターズ設立することに。

 受付に雇ったのは美形のマッチョマンだが頭の方はからっきしのケビン。また依頼人で地下鉄駅員のパティも勝手に仲間に加わった。時を同じくしてNYではゴーストの出現が多発し、ゴーストバスターズは一部の批判も受けながら一躍時の人に。そしてこのゴースト騒ぎの裏には一人の男の陰謀があった…

 オリジナルは1984年アイヴァン・ライトマン監督作品。レイ・パーカーJrの主題歌も相まって大ヒットした。1984年3G作品の中では僕は「ゴジラ」が最初に劇場に観に行った映画作品であったが、ほぼ同時期に「ゴーストバスターズ」も観たと思う。また1989年の年末には「バットマン」「バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2」「ゴジラVSビオランテ」と並んで「ゴーストバスターズ2」が話題の超大作としてラインナップされていて、少なくとも僕の周辺(小学6年生)では「ゴーストバスターズ2」が一番人気だった。こちらも他の作品を差し置いて劇場で鑑賞(今ならもちろん全部観るが、当時の小学生はどれか一つ、という選択肢しかない)。多分初めて劇場で観た洋画シリーズなのでそれなりに思い出深い作品である。2の方にはピーター・マクニコルも出てるしね。

 で、これらの2作やジョン・ランディスの「ブルース・ブラザーズ」「大逆転」など一連の「サタデー・ナイト・ライブ」映画とでも言うべきジャンルがあった。テレビのコントスケッチ番組「サタデー・ナイト・ライブ」のキャストが活躍する作品群。最近だとベン・スティラーの「ズーランダー」や「トロピック・サンダー」などもそのくくりに入れられると思う。本作もリメイクという形であるが主要キャストの多くがサタデー・ナイト・ライブ出身者である。

 その中でも「ゴーストバスターズ」はビル・マーレイの無責任かつ飄々としたキャラに焦点を当て人気となった作品。日本だと高田純次といったところだろうか。その人気は根強く2001年のアイヴァン・ライトマン作品「エボリューション」などはSFに置き換えた「ゴーストバスターズ」と言ってもいいくらいだった。直近の作品だと「PIXEL」が「ゴーストバスターズ」を換骨奪胎したものと言えそうだ。

 当然続編の企画は1989年の2以降もずっと浮かんでは消えて、という状態が続いていたのだが、21世紀に入ってやっと具体的に動き始めたところで主要キャストの一人ハロルド・ライミスが急逝。全員揃っての出演が不可能となったことで続編製作は頓挫した(ハロルド・ライミスダン・エイクロイドは脚本も手がけていた)。代わりに浮かんだのが続編ではなくリメイクである。

 最初に前作の設定から男女を入れ替えたものと聞いた時はなるほど21世紀にふさわしいアプローチだと思ったし、それがいわゆる美女(美少女)ではなく一癖も二癖もある面子を集めた時は感心した(この時点で文句を言っていた人もいたが、そもそもオリジナルが冴えないおっさんたちのコメディであったのになぜ男女逆転したら美少女になると思ったのだろう?)。ただ後述するけれど、人種構成がオリジナルのままだったのはちょっと納得いかなかったリもした。

 予告編を観た時は男女逆転という部分こそ大きな変更点だが、それ以外のところでは(VFX部分まで含めて)驚くほどオリジナルの雰囲気のままで逆に2016年に制作されたとは思えない感じすらした。男女逆転したことでアメリカ本国で女性差別的な評価も上がり、それに対してキャストが声を上げたりしたことで話題にはなったけれど、逆に正当な評価からは遠ざかっってしまったのでないかという不安も(ちょっと批判を言えない雰囲気になっていた)。

 実際に観ると大変面白かったけれど、肝心のゴーストストーリーの部分はオリジナルの方に軍配があがるがそれ以外のところは新作に、といったところ。最もオリジナルは1980年代の雰囲気を色濃く残したコメディ映画なので現在の感覚で見るとちょっと首を傾げるところも多いので特にコメディ部分は一概には比べられないだろう。ビル・マーレイ演じるピーター・ベンクマン博士の無責任で女好き、かと言って物事から一歩引いて接するシラケ感たっぷりの演技は当時のサタデー・ナイト・ライブでのマーレイのキャラを知っていないと現在の視点で見て結構きついところがあるし、リック・モラリス演じる隣人も今見たらストーカーじみた感じである。特撮狛犬みたいなモンスターのストップモーション・アニメーションによる動きと合成)も今見るとかなり拙いのだが、一方で作品の雰囲気にあった味となっていると思う。

 話の肝であるゴースト退治のストーリーはヒッタイトの邪神ゴーザやズールといった神や中世カルパチアの独裁者肖像画の中から物事を操るヴィーゴ大公といったオリジナルシリーズの個性ある敵キャラに比べると今回の冴えない非リア男の社会への復讐というものはかなり弱い。この今回の敵ローワンはおそらくオリジナルの主人公3人のダークサイドを合体させたようなキャラクターだが、ちょっと個性が弱かった。

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 新生ゴーストバスターズの4人のうちオリジナルメンバーとなる3人は旧作のピーター、レイ、イゴンの3人をミックスさせて分けたような役回り。一応の主人公格はクリステン・ウィグで真面目な慎重派でダン・エイクロイドのレイの色が強い。メリッサ・マッカーシーのアビーとケイト・マッキノンのホルツマンはイゴンとレイの研究熱心なところ、ホルツマンの何処かシニカルなところはピーターの性格も加味されているか。

 僕がオリジナルで一番好きなキャラクターはアーニー・ハドソンのウィンストンで、この後から加わるキャラクターが今回はレスリー・ジョーンズ演じるパティ。僕は男女逆転という部分には全く問題はないし、むしろ素晴らしいと思っているけれど、大学勤めの3人は白人で後から加わるのが黒人というオリジナルのままな設定はどうにかならなかったのかと思う。パティも面白いキャラクターだったけれどやはりインテリが白人で、そうではない黒人という偏見をそのまま残しているようにも思える。更に言うなら現代なら例えば理系の研究者として東洋人のキャラがいたっていいのではないか?田舎を舞台にしているのならともかくNYが舞台ならそう不自然でもないと思う。

 女性の観客にはホルツマンが大人気のようだけど、男性視点(というかあくまで僕個人の視点)ではホルツマンはもちろんキャラが立っていたけれど、そんなに夢中になる感じではないかな。

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 主要男性キャラで一番人気なのがクリス・ヘムズワース演じるケビンだろう。というかこの次がローワンとか嫌味な大学関係者、あるいは中華料理屋の店員中国人ではないっぽい)とかになってしまうのでほぼ独占枠だ(アンディ・ガルシアが感じ悪い(外面は良さそうな)市長役で出てる)。オリジナルではアニー・ポッツが演じた受付嬢ジャニーンの男性版だが、別に変人ではなかったジャニーン*2に対して今回のケヴィンはかなり変な感じに。そして本作のヒロインの座も射止めた。少し前ならブレンダン・フレイザーが担当していただろう。クリス・ヘムズワースは「マイティ・ソー」はじめのMCUで演じた雷神ソーも愛すべき筋肉バカだったが、本作のケビンはずば抜けている。例えるなら「課長バカ一代」並みのバカ。話がかろうじて通じる、と言った風情でそのケビンとの全く咬み合わない会話は逆に高度に哲学的な会話か禅問答を聞いているような、あるいは達人過ぎて逆にゆっくりに見える武道の組手を見ているようなそんな不思議な感じ。その愛すべきおバカにクリへム独特の表情の愛らしさも加わって必見のキャラクターとなっている。

 ゴーストバスターズとケヴィン以外の主人公といえばゴーストたちだが、そのへんもオリジナルに比べるとちょっと弱い。一応デザインそのままでスライマー(アグリー・リトル・スパッド)は登場するけれど、最初に登場するガートルード(およそ100年前に猟奇殺人を犯したため家族に幽閉され死んだ金持ちの令嬢)も2に登場したスコレリ兄弟みたいなデフォルメに欠けているので魅力が薄い。逆にドラゴンの姿をしたメイハムはその個性がゴーストに似つかわしくない。マシュマロマンなんかも出てくるけれど(パレードのバルーンにゴーストが取り憑いた感じか)、すぐいなくなる。やはり大ボスのローワンがキャラとして弱いのでもっとローワンを操る別の大物ゴーストとかを用意したほうが良かったと思う。

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 NYを舞台にしたNY映画*3ということでは「ミュータント・ニンジャ・タートルズ:影」の方が良かったと思う。この辺はまた「TMNT」の感想で。

 オリジナルの主要メンバーは亡くなったハロルド・ライミスと役者を引退した(知らなかった!)リック・モラリス以外は特別出演していて、特に先輩科学者であるシガニー・ウィーバーとパティ父親であるアーニー・ハドソン個人的に見どころ。そしてビル・マーレイゴーストバスターズをインチキだと吹聴する科学者として出てきて、完全にピーター・ベンクマンのネガ。今回は世界観的には旧作とは一切つながりがない完全リメイクだが、下手にビル・マーレイゴーストバスターズに理解を示す役として配置せず、むしろ敵対する役として配したのは効果的だったともう。先述したとおり、現在の目で見るとオリジナルの「ゴーストバスターズ」の特に主人公であるピーター・ベンクマンはかなり危ないキャラクターだったりするし。

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この「ド〜♪」「レ〜♪」「イゴーン〜♪」のシーン好き。

サントラもいろいろ出てる。3番めがオリジナルの。1番目と2番めがどう違うのか不明。どっちかがスコアかな?レイ・パーカーJrのあの有名な曲も使われるけどあんまり効果的とは言えなかった印象。

 アイヴァン・ライトマンは製作に周り、監督はポール・フェイグクリステン・ウィグメリッサ・マッカーシーとは「ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン」でも一緒だった。そういえばこれも今のSNL映画かもしれない。今回は3Dの字幕で観たのだけれど、最初から上下に少し黒い余白(変な日本語)を作ることでゴーストが飛び出るときはその黒い部分にはみ出ることでより効果的に見せていました。良質なアトラクション映画でもあると思う。

*1グレムリンの新作はまだですか?個人的には「ONE PIECE FILM GOLD」を加えての3Gでもいいんだけど

*2:ジャニーンが特徴的な髪型になってより漫画っぽくなるのは2の方

*3:「スパイダーマン」で見られるようなヒーローとNY市民が一体となって盛り上がるようなシーンがある作品

2016-08-30

黙示録の先の希望 X-MEN:アポカリプス

| 00:00 | 黙示録の先の希望 X-MEN:アポカリプスを含むブックマーク

We are livin', livin' in the eighties

We still fight, fightin' in the eighties

TOUGH BOY」byTOM☆CAT

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 我々は1980年代に生きている!「ゴジラ」の新作と「ゴーストバスターズ」の新作が同時期に公開されるあの84年や89年と同様*1

 2000年に始まった映画「X-MEN」シリーズも本伝5作、外伝3作(FFを除外)を数え、時代をさかのぼって始まりを描く「X-MEN ファースト・ジェネレーション(以下FC)」から始まる展開も63年、73年と舞台を変遷し今回は83年が舞台。一応のシリーズ最終作を謳う20世紀FOXマーベルコミックスユニバース、「X-MEN:アポカリプス」を観賞。

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物語

 紀元前3600年のエジプト。最古にして最強のミュータント、エン・サバー・ヌールは自身の肉体的な死を間近に迎えて新たな肉体へ、その魂を移そうと試みていた。ピラミッドの中で儀式が始まった時、彼に従わない裏切り者が儀式を妨害。彼の忠実な部下四騎士がエン・サバー・ヌールを守るもピラミッドごと沈み彼は長き眠りについた。

 1983年、73年の事件によりミュータントの存在が広く知れ渡った。ミスティーク=レイブン・ダークホルムはミュータントの英雄となったが彼女はそれをよく思わず虐げられたミュータントの保護活動を、マグニートー=エリック・レーンシャーはポーランドで新しい家族とともにひっそりと自分の過去を隠し暮らしていた。そしてプロフェッサーX=チャールズ・エグゼビアはやっと念願のミュータントの子供たちのための「恵まれしものの学園」を経営、学校運営も軌道に乗ってきていた。そんな時かつてチャールズたちと行動を共にしながらも記憶を消去されたCIAのモイラ・マクタガートエジプトで謎のカルト教団を負っていた。彼らが地下で儀式を行っている場に潜入。太陽の光が差しこみ、伝説のミュータント、エン・サバー・ヌール=アポカリプスが復活する。彼は目覚めて最初に出会った少女ストームを新たな四騎士の一人とするとこの世界を「適者生存」ミュータントの世とするべく活動を開始する。

 サイコキネシスも使えるテレパスであるジーン・グレイが夢に見たビジョンからアポカリプスの存在を感じ取ったプロフェッサーXは再びモイラと接触する。ミスティークも新たに保護した若きミュータント、ナイトクローラーを連れて学園に戻ってきた。

 ポーランド。エリックはその正体を暴かれ家族を殺される。復讐に燃えるマグニートーの前に現れたのはアポカリプスだった。アポカリプスの四騎士の一人となったマグニートーチャールズセレブロで話しかける。しかしその様子を察知したアポカリプスチャールズの能力を奪おうとするのだった…

前作の感想はこちら。

 そういえば私事ですが、約一年ぶりにblu-rayが見れる環境が復活したのですよ。で、買って見てなかった映画なんかをここ最近ずっと見たりしていたのですが、その中には「X-MEN フューチャー&パスト(以下DoFP)」のローグ・エディションもあってやっとそちらを見たのです。ので、ちょっと「ローグ・エディション」の感想を。

 劇場公開版では、暗黒の2023年ではアイスマン=ボビー・ドレイクと恋人関係にあったのは「X-MEN ファイナル・デシジョン(以下LS)」で関係が深まったシャドウキャット=キティ・プライドだったけれど、ウルヴァリンが改変した希望に満ちた2023年ではアイスマンと付き合っていたのはほんの一瞬だけ登場するローグだった。この展開は「DoFP」のみ見た人にはちょっとわだかまりが残る展開だっただろう。もちろん2つの2023年には直接的なつながりは無くなったので人間関係が同様である必要はないのだが、ちょっとすっきりしない。またローグを演じていたアンナ・パキンは最後に一瞬出演しただけなのにエンドクレジットでは単独で載っている。実は本来ブライアン・シンガーが望んだバージョンがあった、ということでそれが「ローグ・エディション」である。

 劇場公開版はウルヴァリンを過去に送る(2023年のローガンの精神を過去1973年のローガンの肉体に移す)役割を負ったのはキティだが過去のことで錯乱したウルヴァリンが暴れた時に傷を負う。劇場公開版ではその後もキティが一人我慢するが「ローグ・エディション」ではここでローグの出番となる。キティの力を奪い代わりにウルヴァリンタイムトラベルを行う者として。ローグはすでに死んだものと思われていたが、実はプロフェッサーXも感知できない場所=エグゼビア邸のセレブロの中に囚われている事が分かる。ローグを救出するためにアイスマンマグニートーが向かう、という展開。このシーンは1973年マグニートーが自分のコスチュームを奪還する劇場公開版でもあったシーンとカットバックで出てくるので対になっていることが分かる。そしてローグがキティに代わる。

 他にも細かい追加シーン、変更シーンなどがあるので、劇場公開版と見比べるのも一興。本来の監督の意図するところはこちらのほうがよく分かり、特に旧三部作の方のエンディングとしては「ローグ・エディション」を見ておいたほうが良いだろう。これだと希望の2023年でボビーとローグが付き合っている描写もそんなに変な感じなく受け入れられると思う。

 あと「ローグ・エディション」はミスティークの声が「FC」から引き続き牛田裕子氏に変わっていて(同時収録されている劇場公開版は変わらず剛力彩芽)、最初からこっちにしとけよ!と思ったりした。劇場で吹き替え版観た時はもちろん違和感はあったけど、そんなに下手ではなかったので彼女の声優活動自体は否定しないし。今後大いにやって演技に研鑽を加えて欲しいと思うけれど、やはりシリーズ物は決まった役者で一貫して欲しいと思う次第。「アポカリプス」でもミスティーク役は牛田裕子です。

 さて、本題である「X-MEN:アポカリプス」。一応新三部作の完結編ということになっている。ただツイッターのTLなどを見たところ賛否両論といったところ。パッと見た感じ、旧三部作に特に思いれなく「FC」からファンになった人はチャールズとエリックの友情(あえてBLとは言うまい)物語として見る傾向があり、その点ではどうも本作には不満、といった様子。一方で旧三部作からずっと見続けた場合、完結編、それもブライアン・シンガーの手による物として見事作り上げた感慨深い作品、という感じか。僕はどちらかと言うと後者。「FC」も好きだけれどこの実写版X-MENシリーズはあくまでブライアン・シンガーの物、という意識が強い(僕がシリーズの中で一番好きな作品は「X-MEN2」)。後はコミックスからの再現みたいなシーンも多い。コミックスが日本に本格的に入ってきた頃(ジム・リーX-MEN創刊号!)から読んでいて、映画も最初から追いかけてきた者にはご褒美でもある。ちなみにシリーズでも悪名高い「LS」だが、僕も公開当時からずっとシリーズでも一番嫌いな、なんなら許せない作品という感じだったんだけど、「DoFP」の登場により時系列的な最終作ではなくなったことで、長いシリーズの橋渡し作品としてああいう物があってもいいかな、と思えるぐらいの位置づけにはなりました。

 キューバ危機ベトナム戦争のパリ和戦条約など各年代の重要な出来事を背景としてきたが、本作1983年は特になし。ただ過去からもずっと続いてきたアメリカソ連に代表される西側と東側の冷戦による最終戦核戦争危機が最高に高まっていた時期でもあるだろう。ところどころで大統領タカ派レーガンであることに言及されたりする。そんな起きるかもしれない核戦争への恐怖、人類全体への絶望感、そんなものが背景にある(後は単に80年代ブームもあると思う)。本作の世界観特有のミュータントに関して前作のクライマックスの出来事で一般にもミュータントの存在が認知されたことに。大統領を襲ったのもミュータント(マグニートー)なら救ったのもミュータント(ミスティーク)ということで最初の「X-MEN」「X-MEN2」ほどホモ・サピエンス(人類)によるホモスペリオール(ミュータント)への差別はひどくないのかもしれないが、その辺はまだこの後の歴史によって、なのかもしれない。

 それでは例によって各キャラクターごとに簡単に。

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X-MEN

 今回はついにチャールズがつるっぱげになる!「FC」でキャスティングされた時勢い余って自分て剃って、でもまだその予定ではなかったため全編カツラで撮影したマカヴォイだが、念願叶った。「FC」ラストで車椅子になり、「DoFP」では薬で歩けるようになったもののテレパスとしての能力は使えない、という感じだったが、今回は基本ずっと車椅子で、その辺でも本来のプロフェッサーXに近い感じに。マグニートーにコンタクトを取ろうとしてアポカリプスにその能力に目をつけられる。アポカリプスの新たな器となる儀式の最中に髪の毛が抜けていくという仕様。

 後半は囚われた状態だったりするけれど、前半は結構アクティブに行動し、特に過去に記憶を消したモイラ・マクダガードに対してはかなりお茶目な様子も伺える。

 新シリーズでは主人公格のレイブン・ダークホルム。前作で大統領を救ったことでミュータントならず一般の人々にも英雄扱いされているが、本人はそれが気に入らず、地道に虐げられているミュータントの救助活動を行っていた。ナイトクローラーを救う過程でマグニートーの身に起きた悲劇を知りチャールズのもとへ。ナイトクローラーと一緒にいるシーンは色々と興味深い。多分この実写シリーズでは反映されていないと思うけれど、コミックスではミスティークナイトクローラーは親子(父親は「FC「」で出てきたアザゼル)。後は「X-MEN2」でもこの二人は印象深い会話を残していた。「FC」ではミスティークが悪に走った(マグニートーの側についた)きっかけを描き、「DoFP」では旧三部作と違う道を歩むに至った経緯を描いたが、本作最後では「恵まれしものの学園」の教師、若きX-MENの教官としての姿を描いたことで、明確に旧三部作のミスティークとは別者といえるだろう。

 新三部作では皆勤賞でチャールズ、エリック、レイブンに続く四番手。能力を発揮するときだけ青いけもじゃになる、という割と都合のいい感じではあるが、今回は学園の教師としても活動。プロフェッサーXの女房役として堅実に役割を果たす。

  • スコット(タイ・シェリダン)

 コードネームサイクロップスだが、本作ではまだその名前は出てこない。本来ならX-MENという物語の主人公、なのだが、実写映画シリーズではなにかと損な役回りを与えられてきた人物。高校で突然能力が発現しオプティックブラスト(目からビーム)を出すようになる。この能力は基本的に制御不可能で目を開いている間ずっと発射される。兄アレックスのつてで恵まれしものの学園へ。そこでジーンと運命の出会いを。アレックスとの関係はコミックスでは兄弟の兄貴だが、本作では歳の離れた弟に。両親も出てくるが一般人のようだ(コミックスでは宇宙海賊)。

 旧三部作のマドンナ。「北斗の拳」で言うところのユリア的存在。テレパステレキネシスの2つの能力を持つが実は「X-MEN2」や「LS」でも描かれたとおり最強のミュータントの一人であり、本作でもその一端は垣間見ることができる。

 本名カート・ワグナー。旧三部作のタイムラインより20年ほど早くX-MENと会遇することに。能力はもちろん性格も外見デザインも「X-MEN2」に登場した時とほぼ変化はなく、最初にこの「アポカリプス」でナイトクローラーが再登場すると聞いた時は、ブライアン・シンガーは本当にこのキャラクターが好きなんだなあ、と思ったものだ。ちなみに僕もナイトクローラーは大好きなキャラクターです。「X-MEN2」ではアラン・カミングが演じていたけれど、当然本作ではもっと若く描写されていて、コディ・スミット=マクフィーという人が演じている。かなりひょろっとした感じ。

 前作「DoFP」で初登場。飄々とした若きミュータント。前作でもマグニートーと関係があるっぽいことは示唆されていたが、本作では正式に息子と判明。時期的にはエリックがまだチャールズと出会う前、の50年代後半から60年ぐらいにかけてってことだろうか。演じるエヴァン・ピーターズの外見に劇中での時間経過(約10年)が反映されていないため具体的な年齢は(彼にかぎらず)判明しないのだが「DoFP」の時点でもしかしたらまだ10代前半だったりするのだろうか?そしてクイックシルバーといえば「アベンジャーズ:エイジ・オブ・ウルトロン」の方でも登場し、双子の妹ワンダ・マキシモフ(=スカーレット・ウィッチ)が生き延びてその後のMCU作品にも出ているけれど、一応この20世紀FOXX-MENユニバースのクイックシルバーにも出てこないだけで双子のワンダが存在するそうです。

 前作のアクションシーンも最高だったが、本作の彼の活躍シーンもある意味この映画の一番の見所。

  • その他

 他にはウルヴァリンアレックスが登場。ウルヴァリンはウェポンXの名前でストライカーのもとミュータント兵器として改造(アダマンチウム注入)されている。囚われた仲間を助けるべくジーンやスコットが行動を起こす時に登場。意識の混乱したローガンは基地内で大殺戮を行うのだった。この一連のローガンの登場シーンはバリー・スミスというアーティストの傑作コミック「ウェポンX」を元にしており、ローガンのビジュアルはかなり忠実に再現されている(違いはコミックスは下半身も裸だが、映画は下着履いてるところくらい)。演じるのはもちろんヒュー・ジャックマン。本作だけ見ているとかなり唐突な登場ではあるのだが、これは人気キャラクターのその人気にあやかってむりくり出したというよりは、この後続く新作「ウルヴァリン」への橋渡し、そして旧三部作でも見られたスコット、ジーン、ローガンの三角関係を彷彿とさせる目的もあるのだと思う。またジーンがローガンの精神を宥めることでジーンの癒し手としての強調も行われる。

 アレックス・サマーズはハボックとして前2作に引き続き登場。ミュータント能力が発現した弟スコットを学園へ誘う。ビーストと共にプロフェッサーXを支えるが今回悲劇の死を迎えることに。スコットのところでも述べたとおり本来はスコットの弟、だが映画では先に登場したこともあり兄という立場になっている。演じるのは引き続きルーカスティル。前2作では短髪であったが、今回は長髪に。また設定的には20年は経っているはずなのに全然老けておらず(彼にかぎらずこの映画は特にメイクなどに寄る年齢経過を表現していない)、長髪になったためかやけに中性的な美男子になっている。

 スコットやジーン、カートとつるむ若いミュータントとしてジュビリーも登場するが個人的にはジュビリーにはもっと主役級の活躍をして欲しかったのでちょっと今回の扱いは残念かな。

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アポカリプス黙示録の四騎士

 本名エン・サバー・ヌール。最古にして最強のミュータント。古代エジプトで神として君臨していたが裏切りによって長期間の眠りにつく。83年に目覚め「適者生存」のもとミュータントに拠る支配を行おうとするが。コミックスでもX-MENの宿敵、マーベル全体でも最強のヴィランの一人だろう。設定的にもデザイン的にもあまりにコミックスらしさ全開なので実写での登場はないだろうと思っていたけれどついに登場!映画では次々と身体を入れ替えることで長寿を保ち、かつその入れ物がミュータントであった場合、その者の能力も獲得するという設定。コミックスでは分子を自在に操る能力で巨大化したりしていた。映画ではもうちょっと能力は弱いものになっているだろうか、予告編でも出てきた巨大化してチャールズを抑えこむシーンは二人の精神世界アストラル空間での出来事で現実のものではない。この描写にはちょっとシャドウキングの要素も入っているのだろうか?

 前作の感想の最後の方でも書いたとおり、僕は最初に次回作でアポカリプスの登場を知った時はコミックスの「エイジ・オブ・アポカリプス」を連想したのだが、本作では現代(1983年)を舞台としタイムトラベル的な要素はなし。アポカリプス核兵器を全て宇宙に追いやるシーンは「スーパーマン検榛廼の敵」でスーパーマンが世界中の核兵器を太陽に破棄するシーンのパロディかな、とも思ったがどうなんだろうか。もちろんスーパーマンの方は賞賛されるのに対して、アポカリプスの行為や人類への脅威とみなされるのである。

 演じるのはオスカー・アイザック。「スター・ウォーズ フォースの覚醒」の爽やかパイロットとは思えぬ怪人ぶり。ちなみに感想書いてませんが、この間には「エクス・マキナ」の変態科学者なんかも演じてます。「るろうに剣心」の鯨波兵庫の元ネタともなったデザインはもちろん実写にして違和感がないようにアレンジされているけれど、概ねコミックスの雰囲気をそのままに描写されコミックスの映像化としては期待に応えたものに。もうちょっと普段から巨漢として描写されていたら完璧だったかな。

 エリック・レーンシャー。虐げられたミュータントの戦うカリスマ。前作の後ポーランドで過去を隠し新たな家族を見つけひっそりと暮らしていたが、ひょんなことから正体がばれ家族も失うことに。そしてアポカリプスにスカウトされ彼の四騎士の一人となった。このポーランドでの出来事は元々のマグニートーオリジンエピソードの一つ。ナチスに拠るユダヤ人収容所での同胞と家族を殺されたエリックが戦後、今度はミュータントということでふたたび家族を殺されヴィランとなるきっかけとなる。今回はそのポーランドの家族に加え本人も知らないクイックシルバーという息子、更には擬似家族とでも言うべきチャールズやレイブンとの関係などで割りとふらふらしてる印象は強い(その点でもFCからファンになった人には不満のようだ)。ただ作者によってヒーローともヴィランとも描かれる彼の複雑な立場が物語を動かしていることも確かなのだ。ラストは最初の「X-MEN」のラストシーンと対になる台詞のやりとり。

  • ストーム(アレクサンドラ・シップ)

 オロロ・マンロー。後に強力なX-MENのリーダー的存在となる彼女もまだここではその日食うのもにも困るような生活をしている少女。エジプトでその力を使って食料を盗むような生活をしていたところをアポカリプスと出会い彼の四騎士の一人となった。ミスティークを英雄としてあこがれを抱いており、後にアポカリプスから離反する事となる。彼女のモヒカンに近い容姿、エジプトで盗みを働いて暮らしていた、などもコミックスに比較的忠実で他の二人と違いこちらは後にハル・ベリーが演じることになるストームと同一人物である。

 黙示録の四騎士。精神力を実体化したサイ・ブレードを使う女戦士。コミックスでは本名ベッツィ”エリザベス”・ブラドック。イギリスのヒーロー、キャプテンブリテンの妹でプロフェッサーXやジーン程ではないがテレパスでもある。元々は白人だったのだが、とある事件で日本人(カンノン)の身体になってしまった。これまで実写映画シリーズに登場したキャラクターの中でもパトリック・スチュアートのプロフェッサーXを除けばそのコスチュームが最もコミックスに忠実なキャラクターで、予告編などで最初に見かけた時は、ついにここまで来たか!と感慨深く*2

 外見はコミックスに忠実、ではあるけれど、彼女と次のエンジェルに関しては映画の場合本名が設定されておらず、コミックスそのままのサイロックやエンジェルが登場した、と言うのとはまた別のよう。

  • エンジェル

 翼の生えたミュータントだったが、その美しい翼に怪我を負い、やけになっているところをアポカリプスから金属の翼を与えられ四騎士の一人となった。こちらも原作コミックスではX-MENのオリジナルメンバーでもあるウォーレン・ワージントン3世ことエンジェルで金属の翼を与えられ彼の四騎士の一人となった経緯もほぼそのまま採用(ただコミックスでは肌の色も青くなっている)。黙示録の四騎士はデス(Death)、ファミン(Famine)、ペスト(Pestilence)、ウォー(War)の四人からなり、その都度構成は入れ替わるのだが、エンジェルはその中でもデスとして名高い。最もこのデスはウルヴァリンガンビットもサイロックもバンシーも就いていたことがあるのだけれど。映画では特に四騎士の中のどの役割かは語られないけれど、ことエンジェルに関してはデスで間違いないかな、と。ただこちらもサイロック同様本名は設定されておらず、いわゆるオリジナルX-MENであるウォーレンとは似て非なる別人といったほうが良さそう。

  • その他

 ミスティークナイトクローラーを伴いやってきた偽造パスポートを作ったり、サイロックの元の雇い主だった裏社会に生きるミュータントの何でも屋みたいな役割だったキャリバックもコミックスでは黙示録の四騎士の一人(やはりデス)。今回はアポカリプスには相手にされず。

 古代エジプトアポカリプスに仕える四騎士はビーストタイプやフォースフィールドを使うタイプなどファンタスティック・フォーのパロディではないかな?と思うのだがちょっと詳細不明。

 後は人間キャラでモイラ・マクダガードとウィリアム・ストライカーが出てきます。モイラは「FC」で出てきたものの、その時の記憶はチャールズ消されている状態。20年経ってCIAのそれなりの役職に就いているようだが、自ら前線にも出張って、相変わらずのうっかりさんからアポカリプスを現在に蘇らせてしまう。本人も特にそのことに気づいていないようだが、今回の元凶はこの人です。演じているのはローズ・バーン

 ストライカーは前作に引き続きジョシュ・ヘルマンが演じているが普通の軍人ぽかった「DoFP」に比べると、ミュータントを兵器に改造する計画の責任者として「X-MEN2」の役割に近づいているか。彼ももしかしたら「ウルヴァリン」の方の新作にも登場するのかも。

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 さて、一応完結編ということにはなっているし、本作は新三部作としては未来に希望を託した大団円となっている。だが、まだこの世界を舞台とした作品は続き、この作品の中でも「ウェポンX」を出したり(エンドクレジット後の引きも)、完全に終わりというわけではない。「ウルヴァリン」と「デッドプール」の続編が残っている。

 新三部作は60年代、70年代、80年代と描いてきたが、実際のところ劇中時間で20年間、作品として3作かけてやっとX-MENが本格始動するまでを描いたに過ぎない、ともいえる。最初の「X-MEN」が2000年代を舞台(2000年製作の作品で舞台は「そう遠くない未来」)としているので1990年代が抜けている。コミックスではジム・リークリス・クレアモントによって「X-MEN」が「世界で一番売れたコミックス」となった頃で、この頃のエピソードも名作揃い。このまま映像化しないのはもったいない。スコットやジーン、ストームが恵まれしものの学園で学びつつ、教師としてもX-MENとしても一人前になっていく姿を是非観たい。もしかしたらウルヴァリン」の新作で90年代が描かれるのかもしれないが、是非本編でも観たいところだ。

 またX-MENの物語は確かにチャールズ=プロフェッサーXとエリック=マグニートーの友情と別れ、イデオロギー対立などが重要な柱としてあるが、もう一つサイクロップス=スコット・サマーズとジーン・グレイの恋の行方、というのも重要な柱だ(それに比べるとローガンの過去というのはウルヴァリン個人ではともかくX-MENの本筋とはいえない)。実写映画シリーズでもスコットとジーンは恋人として描かれてきたが、それほど重要視されてきたとはいえない(特にスコット)。なので是非この2人を中心とした本作の延長上にある物語が観たい。「デッドプール」の続編ではケーブルが出てくるとデッドプール本人が言っていたが、これが冗談じゃなく実際のものであるならば、その補足としてケーブルの誕生秘話にするといいんじゃないかな。そうすればタイムトラベルの要素もあるし(ケーブルはスコットとジーンのクローンであるマデリーンの間に生まれたミュータント。諸事情で未来で育って過去(現在)にやってきたためスコットたちより歳を重ねている)。普通に考えると最終的に「DoFP」の希望の2023年が待っているわけだから、どんな困難が訪れようと未来は確定されている、と思うかもしれないが、そこはそれ、もしかしたら第3の未来が待っているのかもしれず平和は確約されてはいないのだ。

 あとね、今回サイロックがほぼ原作のコスチュームを再現して登場し、第一作の時点では出て欲しいけど設定からデザインからあまりにコミックスぽ過ぎて実写映画での登場はないだろうなあ、と思っていたアポカリプスが登場したことでもう殆どの枷は外されたと思う。ということはミスターシニスターが出てもいいんじゃないでしょうか?

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時代や作者によって多少描写は異なるものの、こんな格好のキャラクター。X-MEN世界ではコロッサスと並ぶ角刈り兄さん。

 ミスターシニスターは最強のミュータントの創造を追い求める人物で、スコットとジーンの間に生まれる子供こそその最強のミュータントとなる存在である、と確信し暗躍する人物。これならスコットとジーンを中心とした物語の敵役としてはピッタリだし、いまなら実写にしてもそんなにバカっぽくならず実写としての説得力を持ちながらコミックスのデザインの要素も生かせる描写が可能なのではないだろうか。

 というわけで僕はまだまだこの20世紀FOXのX−MENユニバースが観たいのです。

We are livin’ livin' in the nineties

We still fight, fightin' in the nineties

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TOUGH BOY」byTOM☆CAT(「北斗の拳2」オープニングバージョン)

僕らは90年代に生きて、そして戦っている。今もまだ。

北斗の拳 ORIGINAL SONGS

北斗の拳 ORIGINAL SONGS

Ost: X

Ost: X

*1グレムリンの新作はまだですか?

*2:今のコミックスの映画化の隆盛の基礎を作ったのは2000年の「X-MEN」だけどコミックスそのままに近い描写を違和感なく見せるようになったのはその後の「スパイダーマン」シリーズやMCUの1作目「アイアンマン」によるところが大きいと思う

ラフマンラフマン 2016/08/30 02:46 ブライアン・シンガーは作品に対する愛はあっても技量は無い監督だなと今作を観て思いました。
でも今回はブライアン・シンガーの手によってシリーズに一区切りつけれたのは良かったです(ファイナルディシジョンでは監督が変わって出来も散々だったので)。

susahadeth52623susahadeth52623 2016/08/30 12:56 >ラフマンさん
コメントありがとうございます!
「技量がない」の部分には賛同できませんが(ナイトクローラーやDoFPのブリンクのワープを駆使したアクションだけでもなかなか他の人に容易に真似はできないかと)、でもブライアン・シンガーの手によって完結編が作られたことは本当に良かったと思います(文中でも書いた通りさらなる続編を希望してたりしますが)。
今後も是非お読みください。

2016-08-12

金の病と極上のエンターテインメント ONE PIECE FILM GOLD

| 22:47 | 金の病と極上のエンターテインメント ONE PIECE FILM GOLDを含むブックマーク

 この夏の邦画では実は一番楽しみにしていたのは「シン・ゴジラ」ではなく「ONE PIECE FILM GOLD」の方であった。ただ、「シン・ゴジラ」の方の盛り上がりが凄かったので優先順位を繰り上げゴジラを先に観た。で、「シン・ゴジラ」は確かに凄い作品で(手放しで褒めるにはちょっと抵抗はあるのだが)、逆に「ONE PIECE」の方が置いてけぼり状態だったのだが、やっと観に行ったのだった。そしてこれがもっと早く観ればよかった!と思うほどの大傑作でした。ちなみにこの日は「仮面ライダーゴースト動物戦隊ジュウオウジャー」とはしごする個人的キッズデー。夏休みということもあり子供も多い中での鑑賞でした。「ONE PIECE FILM GOLD」を鑑賞。

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物語

 新世界の海原を進む麦わらの一味と。行き先はそれ自体が巨大な船でありながら独立国として成り立つ「グラン・テゾーロ」。そこでは常に華やかなショーがお行われ海賊も海軍も関係ないエンターテインメントティ

 ルフィたちはグラン・テゾーロの王にして世界政府にも強い影響を持つ黄金帝ギルド・テゾーロからVIP扱いで待遇を受ける。華やかな裏で持つものと持たざる者ん圧倒的な格差が存在し、テゾーロの圧政に苦しむ人達がいた。麦わらの一味はテゾーロの罠にはまるが…

 本作は「ONE PIECE FILM STRONG WORLD」「ONE PIECE FILM Z」に続く原作者尾田栄一郎が製作、深く関わり、原作の流れに組み込まれる形を持つ作品の第3弾。「STRONG WORLD」以降のONE PIECE映画はやはり原作ファンだけどアニメは観ない、という人達も巻きこんだことでそれ以前のONE PIECE映画とは興行成績が段違いだったらしい。実際僕もアニメONE PIECE」の映画を劇場まで観に行ったのは「STRONG WORLD」が初。そして以降ジャンプ連載の作品のアニメの映画化作品は原作者が深く関わるのが定番となり、「NARUTO」「銀魂」「ドラゴンボール」「HUNTER × HUNTER」などが続くことになる。もちろんそれ以前にも作品として評価の高い作品なんかもあったりはしたのだが(細田守監督の「オマツリ男爵と秘密の島」とか)、やはり漫画原作のアニメオリジナルエピソードって妙な違和感が多くて原作ファンには「コレジャナイ感」が強いんだよね。これは昔から「キン肉マン」とか「聖闘士星矢」とかの劇場オリジナル作品から連綿と続く(北斗の拳はちょっと別)流れだったのだが、それを原作者が関わることでその違和感を解消した、ということで「STRONG WORLD」は映画史に残る作品であっただろう。

 で、本作は予告編等で見る限り、映像的には文句なしであろうけれど、物語的にはどうなんだろう?という疑問はあった。と言うのは前2作の敵は金獅子のシキにしてもZ先生にしてもそれ以前のONE PIECEの世界との因縁が語られていて(シキもZ先生もガープやセンゴク、ロジャーや白ひげと同世代)、それを通してすでにルフィたちとの因縁がつけやすかったのだけれど、本作の敵ギルド・テゾーロはぽっと出のキャラに思えたからだ。でも本作はその分悪役として魅力的に描かれていて良かった。

 原作に組み込まれる形、とはいったけれどちょっと矛盾はあって、この映画はドレスローザの戦いが終わった後の物語だが、麦わらの一味のクルーは全員揃っている。現在原作もアニメも一味はバラバラに行動している状態でしばらく全員集合して、また悠々自適に海原を行く、という事態になるのはかなり後になりそうだ。だから時系列的には、ドレスローザ→→ゾウ(TVアニメの現在)→ホールケーキアイランド(原作の現在)ときてその後に本作が位置する形になるのだろうか。

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 映画化されるとこれまで着たきりだったキャラクターまでが急にファッショナブルになるのがちょっと嫌、と言うのは前作の感想で書いたのだが、本作はそのへんも冒頭の衣装ぐらいで、後はちゃんと必要に迫られて着替えているので不自然には感じず。

 物語的にはちょっと「ルパン三世」を彷彿とさせる雰囲気もあって(共にアウトローの物語だし)、過剰に露出の多い女性キャラなども多いんだけど今回はカジノ(だけではないが)が舞台ということもあって批判の対象になるようなものでもないだろう。途中で出てくるテゾーロマネー(天竜人への献上金)強奪プロセスも「ミッション:インポッシブル」とかほど緻密でもなく、いざとなったら身体能力でなんとかなる「ルパン三世」っぽい感じ。この辺は「ONE PIECE」の世界観(単純に設定だけでなく、尾田栄一郎の作風も含む)をどのくらい理解しているかでありえないと思うか面白いと想うか別れそう。

 しかし、とにかくアニメーションの醍醐味動きの快楽とドラマがきちんと組み合わさっている。邦画特有のもっさり感も無し!

 オープニングからラストのバトルまで少なくとも映像的には満足できるはず!

 物語を通してお姫様(助けられ役)を担当するのはなんとゾロ!(もちろん後半ではアクションもあり)そしてナミが参謀として活躍するのもいいです。ウソップが情けないところを見せるのはもはやその後の格好いいシーンのための振りにしか見えない。ルフィについては後述。

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 さて、テゾーロである。前作「Z」は実質「Z先生が主人公の物語にルフィたちが助演した」といったほうがいいぐらい敵役であるZ先生の背景が細かく描きこまれていた。金獅子のシキは映画登場より前に原作で言及され、その後映画公開前には原作者によるシキを主人公とした読み切りも描かれた。それに比べるとテゾーロは背景が少ない。劇場で特典として配られた第七七七巻には尾田栄一郎によるテゾーロの人生が詳細に解説された設定が載っていたりするのだが、映画本編ではほんの少ししか出てこない。劇中で出てくる過去は幼いころに父を亡くし、生活に苦労し、母に虐待に近い扱いを受ける子供時代。ヒューマンショップ(奴隷売買の場)で知り合った愛する女性を救うべく努力するもののかなわず、彼女は天竜人の奴隷になり、テゾーロもまたマリージョアにて奴隷になる。テゾーロの背中には大きな星の形の刺青か火傷の痕かのようなものがあるが、これも天竜人の刻印を消すためにその上から入れたものだろう。ここまでが劇場版のみでうかがい知れるテゾーロの過去。

 七七七巻で補足するとテゾーロがマリージョアから脱出できたのはハンコックたちと一緒、つまりフィッシャー・タイガーのおかげである。また彼は悪魔の実ゴルゴルの実(一度触れた黄金を自在に操る)をドフラミンゴを騙して手に入れたが後にドフラミンゴとは同盟を結んでいる。テゾーロと一見無関係の麦わらの一味との因縁はドフラミンゴ経由といってもいいだろう。ドフラミンゴは「ONE PIECE」全体でもかなりの悪党だが、テゾーロと今回の物語はドフラミンゴとドレスローザの物語をなぞっているともいえる。

 これらのテゾーロの過去は時折フラッシュバック的にテゾーロが思い出すだけで具体的に過去パートがあるわけでもないし、テゾーロの口からルフィたちに向けて語られるわけでもない。観客もONE PIECEの世界観や過去のエピソードを知っていれば容易に理解は可能だが、知らないひとでも漠然とした形で感じるのみとなるであろう。だからルフィとテゾーロは純粋に現段階のいざこざのみで戦うことになる。これはテゾーロに悪役としての挟持をもたせると同時にそれを倒すルフィに枷を付けないことに成功している。山路和弘の熱演も見事。

 今回もキャストには豪華芸能人キャストが起用されている(いわゆる豪華キャストと言った場合吹替ファン一般で豪華の意味は違うのだが)。ナミと因縁があるカリーナ満島ひかり、テゾーロ一味の女幹部バカラ菜々緒、警備主任であるタナカさんに濱田岳ディーラーである巨漢ダイスにケンドーコバヤシといった具合。この中で事前に知っていたのは濱田岳のタナカさんだけで、身体に比して頭がでかいそのキャラはもっと小さいマスコット的なキャラクターかと思っていたら、身体は普通で頭がでかいキャラだった。満島ひかり菜々緒は最初ちょっと違和感があって観ながら「あ、タレント吹替なのかな?」と思ったけれど全然良かったです。満島ひかりはドラマの「ど根性ガエル」で平面ガエルピョン吉の声を担当していたけれど純粋なアニメーションはこれが初だそう。ケンドーコバヤシに至っては全く違和感を感じなかった。

 出てきて喋った途端誰だか分かったのは北大路欣也のレイズマックス。ただこれもCMなどで北大路欣也の声を多く聞いているから分かった、というだけで声優として違和感があるというわけではない。

 他には竹中直人が「STRONG WORLD」に引き続き出演し(ただし今回は役割はずっと小さい)、古田新太三村マサカズ小栗旬なんかも出ていたのだけれど、いわれなければわからないレベルでありました。多分、僕がこれまでに観たアニメ映画では本作は一番タレント吹替が確かに豪華で、でも(悪い意味での)タレント吹替と感じさせない作品だと思う。

 キャラクターのほうのゲスト出演では原作ではまだ明確にされなかったCP0になったロブ・ルッチやスパンダイン、そして革命軍からサボなんかが出てくる。サボの声は古谷徹で、これはエースの古川登志夫、ルフィの田中真弓というこれまでも何度も共演してきた関係性*1を利用した起用なのだけれど、なんだかサボの声はいわゆる古谷徹の声(透明感のあるヒーロー声)とはちょっと違っててわかりにくい。これは何か意図的なものなのだろうか。

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 さて絶賛してきたが、もちろんこれは原作を読んできた、ある程度前提を共有している者の見方である。当然駄目だったという人もいるだろう。例えば主人公であるルフィのキャラクターはこれまでも散々話題にされてきた。ルフィはいかにも少年漫画の主人公っぽい造形である一方、その心情を示す描写がなく、また表情も黒丸の星のない瞳で描かれるため、怒りや笑いなど極端な感情以外の微妙な表現がなく、逆に何考えているか分からない、と言われることもある。これは考えるより先に動くというルフィのキャラクターを最大限に活かすための手法だ。また弱者に寄り添って慰めてくれるキャラクターではない。弱いもの、虐げられているものには「なぜ歯向かわない!」と厳しくあたり、相手が動いて初めて手を貸すタイプ。その辺で毛嫌いされることもある。

 後は多分大多数の読者以上にルフィは自分たちが所詮は悪党である、自分たちは自分ルールで動く無法者って意識している。僕たちはつい少年漫画の典型的なヒーローとしてルフィを捉えて、そこからはみ出るとおかしいと思ってしまうが、ルフィたちは自身がアウトロー、犯罪者、賞金首、そして海軍に追われる海賊であると自覚している。

 今や世界的にも広く読まれる「ONE PIECE」だが、僕は別に少年漫画青少年の教育に貢献しなきゃならないとは思わないので、このへんのルフィたちに対する非難は的はずれなものが多いなあ、とは思ってしまうのだ。

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シリーズ前作。Z先生には熱烈なファンが付いていて、その同じ敵役ということで今回のテゾーロを比べるとちょっと今回は物足りなく感じる人もいるかもしれない。

シリーズ前々作。原作者がガッツリ関わるジャンプ作品の映画作りの流れはここから始まった。

TVSPとして放送された前日譚。こんなにハマると思っていなかったから放送見なかった。もったいなかったな。

 

 何度も言っている通り、原作ファンであの世界観をどの程度理解しているかによって満足度は違うとは思うけれど(もちろんそれほど知らなくても及第点の満足度は得られると思う。逆にONE PIECEなんて全く知らねーよ!ってのはさすがにこの作品の知名度を考えるともはや甘えだと思う)、個人的には過去三作の中でも一番の出来。これまで観たアニメ映画の中でももしかしたらベストに入るのではと思う作品でした。オススメ!

黄金と聞いて聞いて思い出す作品。黄金に囚われた者の末路。

*1ガンダムならアムロとカイ(最近だとシャアシャンクス)の子供の頃を田中真弓が演じてたりする)、ドラゴンボールならヤムチャピッコロクリリン