はじめてラタトゥイユを食べたのは、いつのことだったのか。 たしかイタリアンのランチコースかなにかで、付け合せ的にちょびっとついていたように思う。ひとくち食べて、うーん、となったのを覚えている。名前も知らないその料理はなんだかよくわからない野菜のトマト煮込みという印象だけが残った。 その後、ラタトゥイユという名前を知ったのは2007年に『レミーのおいしいレストラン』を観たときだ。 感じの悪さこのうえない料理批評家のイーゴ。その彼が、レミーのラタトゥイユを口にした瞬間、このうえなく幸せに包まれた顔をするのだ。その瞬間、わたしのアンテナがピコンと立った。 「そんなに美味しいのか? わたしにも食わせろ…