山ちゃんと鈴木さんがチラッと目を合わせ、幸平はそれを眺めた。どのみち休み時間は終わりなので別に何事もないように二人は立ち上がり、湯飲みを簡単に水で濯いでしずくも振らずに盆に置いて出て行った。赤木さんはまったく洗わずにそのまま転がして出て行った。幸平はそれを簡単に濯いでやって、なんとなく自分の湯飲みとは距離のある所へ置いた。 幸平が階段を降りかかった時、先の二人はすでに作業場に戻っており、赤木さんは恐らく何の表情も浮かべずに階段の下に立っていた。幸平は上からそれを眺めた。その時荷台に肩手をついて顔を真っ赤にして立っている専務と眼が合った。専務はそれが癖なのか、また顎を突き出して何かを幸平に向かっ…