冷たい雨ではない。優しい雨だ。山野は生命の息吹で溢れている。そして静かな雨でもある。心に染み入ってくるようだ。 里のあちこちで産土神社の春の例大祭が執り行われる季節である。我が里山でもそのそぼ降る雨の中、神事が始まった。春は豊作を祈願する。秋は豊作に感謝する。神殿を清め氏神様と共にある塩梅がしみじみとしていて何ともいい。神事は素朴だけれどもこの空間とゆっくりと過ぎて行くここだけの時間が心地よい。多分、それはこの時期に決まって降るこの雨のせいなのだ。 神域に降る雨は心の内に日常とは違った情緒を降り注いでくる。鎮守の杜の外には田地が広がり里人の播種を今かと待ち構えている。今は一面、蓮華が覆い尽くし…