ユーリの部屋

2018年02月11日 五度目のギドン・クレーメル

昨日の午後は、西宮の兵庫県立芸術文化センターで開催された演奏会へ行ってきた。

ギドン・クレーメル率いるクレメラータ・バルティカ、そしてフランス出身の若手ピアニストであるリュカ・ドゥバルグによるモーツァルトを主題としたプログラム。高度な技法をひけらかすことなく、繊細かつ艷やかでみずみずしく、心が弾けるような楽しい演奏を、次々と繰り広げてくださった。

二十分の休憩を挟んで、4時から6時まで、あっという間の充実した貴重な時間だった。

クレーメルさんの演奏会は、これで5回目になる(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20080923)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20110411)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20121031)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20121101)。2016年6月5日にも西宮へ行ったが、残念ながら、ブログには書けていない。(プログラムを整理してファイルを作り、記録をきちんと残したいのだが、ずっと山積みになってしまっている!)

その時に購入したCDは、以下の通り(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20160709)。

ヴァインベルク:交響曲第10番・無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番・三重奏曲[他]ギドン・クレーメル(ヴァイオリン)/ダニール・トリフォノフ(ピアノ)/クレメラータ・ヴァルティカ(他)(2014年)来日記念盤

いつでも、(もうこれが最後の来日公演かもしれない)と思いつつ、集中して演奏に耳を傾けているのだが、あのお歳でもなお、細かく透き通るような弦の音色を響かせてくださるとは、驚異的である。さらに、ゆったりした白い上着に黒いズボン姿でヴァイオリンを奏でている舞台上のクレーメルさんを拝見していると、かつて冷戦時代に、「自由な音楽活動をしたい」という一心で亡命を志して、ギリギリのところで見事に脱出に成功したという実話が(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20080926)、遥か昔の遠い夢物語のようにさえ感じられるのが、不思議でならない。

プログラムは以下の通り。

モーツァルト:アダージョとフーガ(ハ短調 K.546)

ラスカトフ:モーツァルトの生涯から5分間*

モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第3番(ト長調)*

モーツァルト:ピアノ協奏曲第12番(イ長調)

モーツァルト:セレナーデ第6番(ニ長調)「セレナータ・ノットゥルナ」*

(*クレーメル共演)

アンコール曲はこちら。

[ソリスト]

スカルラッティ:ソナタ(ニ長調 K.491)

[クレメラータ・バルティカ]

テディ・ボー博士:"McMozart Eine Kleine Bright Moonlight Nicht Music"

[クレーメル&クレメラータ・バルティカ]

クライスラー/プシュカレフ(編):愛の悲しみ

スカルラッティは(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20161104)、繊細かつ古典の典型であり、モーツァルトの主題にもよく合っていた。また、日本でよく知られた旋律を即興的に交えたパロディ風の二曲目は、思わず会場から笑いが何度かこぼれて、楽しい一時だった。「愛の悲しみ」は、公私共に辛苦を秘めたクレーメルさんの年齢だからこそ出せる、極めて抑制の効いた、深く細やかな音の響きが耳に木霊した。楽譜を見ながらの演奏だが、ゆったりと安心して、心がほぐれるような感触が快い。

また、ティンパニの奏者が、右手のバチをクルクルと宙で回していた様子も、おもしろかった。

私達の席は、右側のバルコニー席の二階で、ちょうど中央に立つクレーメルさんがよく見えた。

演奏が終了した時には、割れんばかりの拍手と「ブラボー」の声援が出ていた。楽団は終了後、舞台の上で男女が双方、両頬にキスをして舞台袖に戻って行った。

お客さんの入りは、一階中央席は満席だったが、後方左側は全体に空いていた。また、バルコニー席はどの階も半分以下の入りで、ガラガラの席もあった。全体として、75%強だろうか。相変わらず中高年が中心で、若い人達が殆ど来場していないのは、既にここ二十年ぐらいの光景だが、一体、どうしたことだろうか。

(多少、無理をしてでもお金と時間をやり繰りして聴きたい)という意欲に欠けるのか、それとも、インターネットの流行で、生演奏より手軽に自宅でという風潮が浸透しているのか、何だかこの先、心許ない気がする。

だが、クレメラータ・バルティカはクレーメルさんが選抜した若手の弦の名手揃いであり、今回のピアニストも、まろやかで深みのある細やかな音色が出せる点、クレーメルさんの鋭いお眼鏡に叶っているとも言える。つまり、落日が叫ばれているとは言え、西洋諸国では、人生を掛けて古典音楽の最高の極みに達し続けようとする若い世代が、今なお誇り高く続いていることの証左でもある。

一方、我々聴衆の側は、アンコール曲を書いたボードに群がってスマホで写真を撮ったり、メモを取る人々が絶えないことから、興味関心は相変わらず持続しているのである。あと一工夫といったところだろうか。

記念として、CDを一枚、購入した。サイン会はないのだが、音楽そのもので勝負するクレーメルさんらしくて、私は好きだ。

モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲全集(全5曲)ギドン・クレーメル&クレメラータ・ヴァルティカ』(NONESUCH)(2006年ライブ録音)

数年前までは、一期一会の演奏会だからと張り切って、メモを一生懸命に取っていたのだが、この頃では、言葉で表現するよりも、演奏家と共にいる音の時間そのものが漲る空間に、もっと自然に身を浸すようになった。勿論、今回もメモ用紙に書き散らした言葉もあるのだが、音色の方が耳に強く残っているため、ブログも昔よりはあっさりしたものになった。

クレーメルさんを引用した過去ブログは、こちらを(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/archive?word=%A5%AE%A5%C9%A5%F3%A1%A6%A5%AF%A5%EC%A1%BC%A5%E1%A5%EB)。

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2018年02月09日 庄司紗矢香さんの今の心境

衝撃的なデビューを誇った16歳の少女だった庄司紗矢香さんも(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/archive?word=%BE%B1%BB%CA%BC%D3%CC%F0%B9%E1&of=50)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/archive?word=%BE%B1%BB%CA%BC%D3%CC%F0%B9%E1)、もはや三十代の熟女。その心境が伺えるインタビューを以下に。

この頃では、関西の主なコンサート・ホールからのパンフレットを見ていても、かつてのようなワクワク・ドキドキが減ったように感じる。換言すれば、演奏家の旬の時に、自分も時間を重ね合わせて、会場で同じ良い時を過ごせたという意味である。すなわち、一期一会の幸いである。

故吉田秀和氏は、紗矢香さんの初期のCD『プロコフィエフ:ヴァイオリン・ソナタ第1番&第2番/ショスタコーヴィチ:24の前奏曲より』を非常に褒めていらした。従って、中原中也についても(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20071030)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20071217)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20140723)、紗矢香さんの感受性ならば、響き合うものがあるだろう。

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO23245330Y7A101C1BE0P00/


バイオリニスト 庄司紗矢香(4)『ソロモンの歌・一本の木』好きなもの蓄える柔軟さ

2017年11月9日

日本経済新聞夕刊


じつは演奏を「仕事」だと思ったことがない。誤解をおそれずに言えば「趣味」のひとつ。もちろん打ち込んできた時間はほかの趣味に比べて圧倒的に多いが、あくまで楽しんで弾いている

それは母が美術家だったことと関係しているかもしれない。小さいころから母に連れられて美術館に通い、ニコラ・ド・スタール、ルドンら数多くの作品に心を奪われた。中でもニューヨーク近代美術館で見たクレーの絵が忘れられない

 どこまでも広がっていくような、軽やかな色彩と線の連なり。一目見た瞬間、とらえられて動けなくなった。気づいたときには涙があふれていて、自分でも驚いた。こんな風に感動を与えてくれる美術というものを心から愛している。そして同じように、音楽も、本も愛している

 音楽評論の大家、吉田秀和さんの『ソロモンの歌・一本の木』(講談社文芸文庫)に魅力を感じたのは、時代もジャンルも超えて好きなものを蓄えていく柔軟さに共感したからだ。相撲に始まり、中原中也や、ワーグナーのオペラに至るまで、あらゆる話題が独自の視点で明快に論じられる。

 「クレーは音楽的だといわれているが、そういうことは、私には、曖昧な言い方にしかきこえない」。そう言い切って、画家の描く線を同時代の無調音楽の構造と比較しながら分析していく手並みの鮮やかなこと。

 この本を読めば、さまざまな芸術との出会いによって人生が深まっていくさまがわかる。だからというわけでもないが、私も興味の赴くまま、いろんなことを吸収し続けたいと思うのだ

(引用終)

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2018年02月08日 北朝鮮からの潜在的難民?

再三(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20180202)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20180203)、櫻井よしこ氏を(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/archive?word=yoshiko-sakurai.jp)。

https://yoshiko-sakurai.jp/2018/02/08/7259


2018年2月8日

「北朝鮮の船多数が漂着、備えを急げ」

週刊新潮』 2018年2月8日号

日本ルネッサンス 第789回


・昨年日本海沿岸で確認された北朝鮮木造船の漂流・漂着は100件、12月だけで40件を超えた。北海道、秋田山形、青森、新潟、佐渡、福井、石川、島根、京都、鳥取と広範囲に及ぶ。

・「特定失踪者問題調査会」の荒木和博氏の調査から拾ってみる。

・平成30(2018)年1月4日、秋田県三種町釜谷浜海水浴場に木造船の一部が漂着/5日 石川県白山市沖 木造船1隻/6日 秋田県由利本荘市松ヶ崎漁港 木造船の一部/7日 京都府京丹後市網野町 木造船1隻/8日 新潟市西蒲区間瀬(まぜ)海岸 木造船1隻/同日 秋田県男鹿(おが)市野石申川(のいしさるかわ)海岸 木造船の一部/10日 石川県金沢市下安原町安原海岸 一部白骨化した遺体1体とその15メートル先に木造船1隻/16日 右の木造船の中から遺体7体発見/21日 新潟県粟島 八幡神社から200メートルの海岸で木造船の一部、赤字でハングル2文字/24日 石川県志賀町西海千ノ浦海岸で木造船、傷み激しく長時間漂流したものと推定。

・海洋問題に詳しい、東海大学教授でシンクタンク国家基本問題研究所(国基研)理事の山田吉彦氏が指摘した。「昨年12月頃から小型船がふえています。船長12〜15メートルだったのが、7〜8メートルが多くなりました。悪天候の冬の日本海に乗り出すのは余りにも無謀ですが、大型、中型の船が少なくなっていると思われます」

・レックス・ティラーソン米国務長官は1月17日、日本側(河野太郎外相)から聞いた話として、昨年日本海沿岸に100隻以上の北朝鮮の漁船が漂着し、乗組員の3分の2が死亡していたこと、生き残った漁民は北朝鮮に戻りたがっていることから逃亡者脱北者ではなく、満足な燃料を積みこんでもらうことなく強制的に冬の海に出された漁民だと推測されることなどを語っている。

・朝鮮問題専門家で国基研の西岡力氏は、彼らが海に出される背景に北朝鮮の食糧不足があると指摘する。

・日本が主導してきた対北朝鮮経済制裁が効果を上げているのだ。

・金氏は、1948年2月8日が朝鮮人民軍創建の日だと、1月22日に突然、発表した。北朝鮮建国の日が同年9月9日であるから、北朝鮮では国家の前に軍ができたことになる。

・翌日には南北朝鮮の合同チームが統一旗という奇妙な旗を掲げて平昌五輪開会式で行進する予定だ。

・平昌五輪への南北朝鮮合同参加が北朝鮮危機を緩和するなどとはどうしても考えにくい。韓国の文在寅政権の動向にもよるが、朝鮮半島の危機はより深まっていくと覚悟した方がいい。

・「北朝鮮は日本に大量の難民を送り込もうとしていると思います。北朝鮮有事で約40万人が難民化すると考えられます。うち、10万人から15万人が日本に向かい、うち半分から3分の2が海で命を落とし、日本には5万人が漂着すると想定できます」

・中国やロシアに逃れた場合、難民として保護してもらえる保証も、命を助けてもらえる保証もないかもしれない。対照的に、日本は国際法を守ろうと必死に手を尽くすだろう。難民に住居、着る物、食べる物に加えて、医療も施してくれると、彼らは確信している。朝鮮総連が身元引受人になれば、長期滞在も可能だ。

・日本には北朝鮮系団体が有する莫大な資金があり、それが彼らの目的だと、山田氏は見る。「数千、数万の難民の中には感染症を患っていたり、工作員としての密命を帯びている者も、必ずいるはずです。しかし、警察、海上保安庁、自衛隊も、大量の難民上陸には、到底、対処しきれません。日本は国として対処できる状況ではないということに、日本国民は気づいていない。そのこと自体が最も深刻な危機です」

・昨年10月の総選挙は北朝鮮の危機に対処するための国難突破選挙だった。ならば、自民党も公明党も国会で国難突破の方法を論じよ。野党もまた、この国難を乗り越える方策を探る責任があることを自覚せよ。

(部分抜粋引用終)

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2018年02月03日 首相の訪韓決意を巡って

もう一件、櫻井よしこ氏を(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20180202)。

https://yoshiko-sakurai.jp/2018/02/03/7266


2018年2月3日

「反対強い中での安倍首相の訪韓決意 政治家としての判断しっかり見守りたい」

週刊ダイヤモンド』 2018年2月3日号

新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1217 


・1月24日、安倍晋三首相が2月9日に行われる平昌五輪の開会式に出席するとの考えを、開会式出席に最も強く反対していた「産経新聞」のインタビューで明らかにした。自民党内には反対の見地から大きな波紋が広がった。この開会式には主催国の韓国でも強い反対論がある。南北朝鮮の選手による合同行進で韓国国旗の「太極旗」ではなく、「統一旗」という奇妙な旗が使用されるのが一因だ。

・安倍首相はなぜ開会式に出席するのだろうか。米国政府からの働きかけがあったと、一部の関係者は語る。それが事実なら、開会式に出席するペンス米副大統領と同格の麻生太郎副総理の出番であろう。

時事通信は自民党の二階俊博幹事長や公明党の山口那津男代表らが首相の出席を求めたことが背景にあると報じた。

首相は以下の点を語っている。

2020年に日本も五輪を開催する。日本人選手達を激励したい

・文大統領と会談し、慰安婦問題での合意を韓国側が一方的に変えることは受け入れられないと直接伝える

ソウルの日本大使館前の慰安婦像撤去も当然強く主張する。

北朝鮮への圧力を最大化していく方針はいささかも忘れてはならない。

・説得できるとしたら、それは日本国の最高責任者である自分自身だ。問題が困難であっても解決の方向へ持っていく責任は自分にはある

・首相は、開会式出席に強い反対があることも、そうした気持ちになることも十分に理解できるとして、「何をすべきかを熟慮して判断し、実行するのは政権を担う者の責任です」とも語っている。

・文大統領に日韓関係についての日本の危機感を伝え、北朝鮮問題での日米韓の結束の重要性を説くことも当然すべきだ。

・朝鮮半島をめぐる力学の中で、ペンス副大統領と共に安倍首相が訪れることで、日米関係の緊密さを、中国などの関係諸国に顕示できる。その政治的意味は軽くはないはずだ。

・今回の件は首相のロシア外交を連想させる。見通しが甘いなどといわれながらも貫き通している。首相はその言葉のように、「熟慮して判断」したのだ。自民党内はおろか、世論の強い反対もある訪韓は、政治家としての判断だ。しっかりと見守っていきたい。

(部分抜粋引用終)

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2018年02月02日 米大統領の対中政策

櫻井よしこ氏の最新コラムから(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/archive?word=yoshiko-sakurai.jp)。

https://yoshiko-sakurai.jp/2018/02/01/7249


2018.02.01 (木)

「米大統領の対中政策を活用せよ」

週刊新潮』 2017年2月1日号

日本ルネッサンス 第788回


・ドナルド・トランプ氏の大統領就任から丸1年が過ぎた。

・徹頭徹尾のトランプ批判には、いささか疲れる。ちなみに、アメリカでは「リベラル」という言葉は余りにも手垢のついた印象が強く、左の人々も、もはや自身を「リベラル」とは呼ばず、「進歩主義者」(progressive)を自称することが多いそうだ。

保守的な「ウォール・ストリート・ジャーナル」(WSJ)から、進歩的な「ニューヨーク・タイムズ」(NYT)、「ワシントン・ポスト」(WP)までを読み較べると、左右関係なく、どのメディアもトランプ氏の性格分析や人物評価にかなりのスペースを割いているのが面白い。それだけトランプ氏の言動が予測し難いということだ


◎話題が突如、あらぬ方向に変わる。◎演説の最中に他の話題をさし挟んだり、聴衆の中に知人を見つければ呼びかけたりして一貫した話にならない。◎非常にあけすけに対象人物を侮辱する。◎説得されて考えを変えることもある。◎説得するにはトランプ氏の直感は正しいという大前提に立ち、実際には彼の考えとは正反対の助言をすると、その方向で考えを変えることもある。◎トランプ氏の指示を実行するのに時間をかけると、その間に考えが変わることもある。◎率直な助言には耳を傾ける。◎共和党の重鎮議員には国賓用の椅子を用意する。◎議員の子供にもエアフォースワンのロゴ入りチョコレートを与えるなど優しい。◎ゴルフコースで、どの木が枯れていて、どの木のどの枝を切るべきで、どの植物がどんな菌類に侵されているかなど、わかりにくいことを喋る

・トランプ氏が歴代大統領と較べて型破りであることは明確に伝わってくる。

・昨年12月にトランプ大統領が発表した「国家安全保障戦略」と、今年1月19日にジェームズ・マティス国防長官が発表した「国家防衛戦略」は明確な判断基準となる。「国家安全保障戦略」を現場の戦術に置き換えて説明したものが「国家防衛戦略」である。その内容は中国とロシアの脅威を言葉を尽くして強調するものだ。「中国はアメリカの戦略的競争相手で、彼らは南シナ海の軍事化を進めつつ、略奪的経済政策で周辺諸国を恫喝し続ける」「ロシアは国境を侵し、経済、外交、安全保障の問題で拒否権を用いて近隣諸国の利益を損ねる」。

・とりわけ中国への警戒心は強く、彼らは地球規模でアメリカの優位性を奪おうとしていると警告し、アメリカは打撃力を更に強める必要があると断じている。

・米国防総省は真の脅威は国際テロリスト勢力ではなく、北朝鮮の背後に控える中国だとして、中国に対してlethalな能力を持つべきだと言っているのである。オバマ政権とは何という違いであろうか。その現実認識は正しいのであり、日本にとっては歓迎すべきものだ

・トランプ政権の正式な戦略方針だ。これによって、アメリカは自動的に日本の側に立つなどとは到底言えないが、日米両国戦略的基盤には、対中国という視点から共通項がしっかりでき上がったということだ。

・WTO加盟から約20年、中国市場へのアクセスは未だに制限され、中国政府の介入は多岐にわたる。中国政府はアメリカ企業の最先端技術や知的財産の移転を強要する。中国政府は国家主導の経済体制を築いて、外国企業に不利な条件を課す。これらは悉くWTO加盟国には馴染みのない不適切な慣行である。このように厳しい非難を中国に浴びせたうえで、中露両国のWTO加盟をアメリカが支持したのは間違いだったと結論づけている。

・日本にとって大事なことは、トランプ氏の言葉ではなく、政権が打ち出す基本戦略を見て、中国に対する評価を共有することだ。具体的に問われるのは、「一帯一路」やアジアインフラ投資銀行(AIIB)へ参加するか否かということでもあろう。

・日本は、如何なる意味でも中国に加勢して、中国共産党主導の世界の構築に資するようなことをしてはならない

・トランプ政権の行動を見て、日本の国益に繋げていく判断が必要だ。トランプ氏の暴言などによって、アメリカへの信頼が失われつつあり、国際政治に空白が生じている。日本はアメリカと協力し、出来るだけその空白を埋めていくという発想を持つべきだろう。日本の価値観を打ち出すときでもある。

(部分抜粋引用終)

[参考]

http://ironna.jp/article/8818


FBI、共和党幹部の「偏向」資料公開めぐりホワイトハウスに「深刻な懸念」

FBI has 'grave concerns' about controversial Republican memo)

BBC

2018年2月1日


・米司法省と連邦捜査局FBI)がドナルド・トランプ米大統領に反して偏っていると共和党幹部がまとめた資料をめぐり、公表に前向きなホワイトハウスに対してFBIは31日、メモの正確性が疑わしいため、公表について「深刻な懸念を抱いている」と、ホワイトハウスの方針に反対する異例の声明を出した。


・米下院情報委員会のデビン・ヌネズ委員長(共和党)のスタッフがまとめた長さ4ページのメモ(資料)には、司法省が外国諜報活動偵察法(FISA)にもとづく偵察活動権限を乱用し、大統領選のトランプ陣営関係者を不当に監視対象にしようとしたと書かれているという。


・ホワイトハウスのサラ・サンダース報道官は翌31日、CNNに対して公表しない「可能性は常にある」と述べた。しかしホワイトハウスのジョン・ケリー大統領首席補佐官は31日午前、フォックスニュース・ラジオに対して、「おそらくかなり近々、公表される。そうすれば世界中が読める」と話した。


ケリー補佐官の発言から数時間後、FBIはホワイトハウスの姿勢に異を唱える異例の声明を発表。「資料からは、重要な複数の事実が除外されており、それによって資料の正確性が根本的な影響を受けていると、深刻な懸念を抱いている」とFBIは表明した。


・問題の資料を点検した複数の議員によると、大統領選のロシア疑惑に関するいわゆる「スティール文書」を根拠に、FBIがトランプ陣営関係者の盗聴監視許可をFISA手続きを通じて得ていたという。


下院情報委の民主党議員たちは、ヌネズ・メモに対抗する内容の資料を公表させようと委員会に働きかけたものの、否決された。民主党はヌネズ・メモについて、極秘情報の中から都合のいい情報だけを選別してまとめたもので、国の安全保障を脅かしかねないと批判している。民主党はさらに、ヌネズ・メモは、FBIとロバート・ムラー特別検察官によるロシア疑惑捜査の信ぴょう性に傷をつけようとするものだと非難している。


・トランプ氏は昨年5月に当時のジェイムズ・コーミーFBI長官を解任した後、8月まで長官代行を務めたアンドリュー・マケイブ副長官に対して、2016年大統領選で誰に投票したのか問いただしたといわれている。大統領から、政治的に民主党偏向だと繰り返し非難されていたマケイブ副長官は29日に辞任した。3月に退任の予定だった。

(部分抜粋引用終)

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20180202