ユーリの部屋

2017年07月20日 ダグラスさんはダグラスさん

フェイスブック(https://www.facebook.com/ikuko.tsunashima)からの転載を。

https://twitter.com/nakayamanariaki/status/887799691391377409


中山なりあき(中山成彬)‏@nakayamanariaki


蓮舫代表が戸籍謄本の一部などを公開した18日、豪州では二重国籍が判明して2人目の国会議員が辞任した。移民が3割の多様性国家だが国益を論ずる国会議員の国籍には厳しい。自分を多様性ある社会の象徴という蓮舫氏に国会議員の自覚があるか。国政選挙に出る人は三代に遡って出自を明らかにすべき。


日本国民全員、両系の三代に遡って出自を明らかにすべき。公務員や国公立の学校で勉強し勤務する人は、特に書類提出のこと。

中山成彬氏については、過去ブログ・リストを。

2017-05-19  私達の憲法なのだから

2017-04-29  アカバの教訓

2016-12-30  アリンスキー流の少子化問題

2016-12-05  イスラーム下で抑圧される人

2016-11-06  文明の推移と衝突

(リスト終)

Kazuo Yawata


[それなりに警戒し必要な範囲で監視するのは万国共通で正当](引用終)

戸籍謄本公開の問題ではないが、世界の常識として、政治家の家族の国籍は公開が当たり前だ。韓国では外相につき娘が合法的にもかかわらず二重国籍というだけで外相には不適切という声が上がっている。](引用終)

この問題については、特に過去ブログ(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20160821)を参照のこと。

八幡氏については、過去引用ブログのリストを。

2017-07-08  利用され続ける日本

2017-05-25  憂慮すべき事柄が山積み

2017-05-09  なぜ保守派なのか

2016-01-15  大津市の選挙

(リスト終)

https://www.mediamatters.org/217278


17 July 2017


On Fox, radio host Dennis Prager doubles down on claim that the media is more dangerous than Putin

Dennis Prager: "The only thing I regret about the tweet is that I didn't write the universities and the media in the West are a greater threat to Western civilization."

ダグラスさんを変な紹介付きで登場させている。


PRAGER: And read the book The Strange Death of Europe. Written by a guy who was an atheist and a gay, major thinker, Douglas Murray. And he writes about how the media hide from the people of Europe -- he's European, he's a Brit -- the media completely hid from the people the devastating effects of massive immigration of Muslims into Europe. So, again, it's not controversial unless you just don't know what's happening. (End)

(転載終)

問題発言の主であるデニス・プレーガー氏の過去ブログ引用は、こちらを。

2017-04-01  映像ホームページを整理して

2016-08-04  フェイスブックの転載続々編

2016-08-03  フェイスブックの転載続編

2016-06-30  反知性主義だと黙らせる左派

2015-01-24  話題豊富なフェイスブック

2014-09-02  彼我の差違から学ぶ(1)

2014-08-31  自分の価値観を大切に

2012-07-08  日本的な平和ムードではなく

(リスト終)

では、ツィッター(https://twitter.com/ituna4011)から。

Douglas Murray‏ @DouglasKMurray


I get introduced here as 'an atheist and a gay and a major thinker':

1:52 AM - 19 Jul 2017

Lily2‏ @ituna4011 22 hours ago

Lily2 Retweeted Douglas Murray


余計な紹介をするな!ダグラスさんはダグラスさんである。

Lily2‏ @ituna4011 22h22 hours ago

Lily2 Retweeted UnHerd


この夏も忙しいダグラスさん。

(転載終)

ダグラス・K・マレイ氏は、ロンドンで生まれ育った英国人で、新著『欧州の奇妙な死』の著者である。スコットランド系の苗字である「マレイ」氏の父は、アイルランドから南下してイングランドに定住し、公務員の母と出会った。父方の祖父はマン王国だったルイス島のトン学校で校長を務めていたが、現米国大統領ドナルド・トランプ氏の母の母校でもある。それ故に、マレイ氏が初めてアメリカに行った時には、ニューヨークでトランプ氏のご両親と会い、リムジンに乗せてもらい、昼食をご馳走になったという。

ダグラスさんに関して、映像(http://itunalily.jp/wordpress/)をどうぞ。また、過去ブログの引用は、以下に。

2017-07-14  Elliott Abrams’ comment

2017-06-14  Londonistan still continues

2017-05-10  Whither Europe?

2017-05-09  Macron was elected

2017-05-05  What is ‘far-right’ ?

2017-03-30  Tariq Ramadan

2017-03-27  Saudi Arabia’s message

2017-03-22  Contradictory ideas

2017-02-01  Trump’s immigration ban

2016-12-08  Legacy of the late Edward Said

2015-01-08  “Charlie Hebdo” attack in Paris

2013-03-09  Lars Hedegaard and Islam (1)

2009-02-18  Sharia issue in Britain

2017-07-15  訳語を巡る小話

2017-07-14  アングロサクソンを侮るな

2017-07-06  ヘンリー・ジャクソン協会

2017-06-26  ロシア革命の100周年に

2017-06-14  ロンドンを懸念する

2017-06-01  ダグラスさんの新著が到着!

2017-05-16  防衛と「解放」と

2017-05-15  北朝鮮と中東危機

2017-05-13  ダグラス・マレイ氏の新著

2017-05-07  トルコの競争力低下

2017-04-09  いつまで続くのか?

2017-04-06  ケン・リビングストーン元市長

2017-04-01  映像ホームページを整理して

2017-03-27  西洋文明は何処へ?

2017-03-25  ダグラス・マレイの新保守思想

2017-03-20  同床異夢?

2017-03-18  ダグラス・マレイ氏の受賞

2017-03-17  ダグラス・マレイ氏

2017-03-16  レッテル貼り思考の陥穽

2017-01-31  どの思想に拠って立つか

2017-01-23  日高義樹氏の新春特別講演会

2016-10-24  インターネットの効用

2016-10-18  人間の獣性

2016-08-02  イスラーム主義と中東・欧州

2016-07-26  独り善がりではない愛国心

(リスト終)

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2017年07月18日 アメリカのシンクタンク一覧

https://www.spc.jst.go.jp/link/under/list_usa.html

科学技術振興機構

アメリカのシンクタンク一覧

A

American Enterprise Institute for Public Policy Research(アメリカ企業公共政策研究所)

アメリカ企業公共政策研究所(AEI)1943年に設立された保守党系シンクタンクである。研究所のアジア研究プログラムはアジアと中国の問題を中心に研究している。

The Asian Foundation(アジア財団)

アジア財団は1954年に設立された非営利非政府組織シンクタンクである。アジア太平洋地域において、法律と政治、市民社会の発展、女性の社会参画促進、経済の改革と発展、国際関係の分野で展開されているプログラムを支援している。1979年に中国プログラムが設立された。

The Asia-Pacific Center for Security Studies(アジア太平洋安全保障研究センター)

アジア太平洋安全保障研究センターは国防省傘下のシンクタンクである。中国に対しての研究の主力は安全保障研究部にある。

Atlantic Council of the United States(米国大西洋協議会

大西洋協議会は米政府が比較的重視する対中国研究を主流としているシンクタンクの1つである。かつて米中関係の改善に重要な力を発揮したことがある。

B

The Brookings Institution(ブルッキングス研究所)

1916年にロバート・S・ブルッキングスによって政府活動研究所として創立した。その後経済研究所や公共政策研究所を統合して1927年に現在の体制となった。米国では最大の影響力を持つシンクタンクと言われている。2005年4月、中国研究プロジェクトが設立され、中国研究の実力はかなりある。

C

The Carnegie Endowment for International Peace(カーネギー国際平和基金)

カーネギー国際平和基金は国際相互理解と世界平和の推進を目的に,1910年アンドリュー・カーネギーによって設立されたアメリカの事業財団で、米国屈指のシンクタンクである。2003年、全米のシンクタンクの中で最大規模の“中国研究プロジェクト” が設立され、中国の内政や外交、発展についての概観および米中関係などの研究に力を発揮している。米国シンクタンク初の中国語のウェブサイトを公開し、ネット上で中国語の月刊誌を発行している。

The Carter Center(カーターセンター)

カーターセンターは、1982年に前アメリカ大統領カーターによって創立された、人類が健康かつ平和な生活を送ることができる世界の実現を目指す非営利、非政府の組織である。エモリー大学(Emory University)と特に密接な関係にある。カーターセンターのプログラムはエモリー大学教員らによって運営されている。1998年に中国プログラム が設立された。

CATO Institution(CATO研究所)

CATO研究所は1977年に設立されたワシントンD.C.に本部を置く非営利の公共政策研究機構で、アメリカ保守系シンクタンクである。

The Center for Naval Analyses(海軍分析センター)

海軍分析センターは米国の軍事安全問題を研究する専門のシンクタンクである。中国研究は主に戦略研究センターとアジアプロジェクト部で行っている。

Center for Strategic and International Studies(戦略国際問題研究所)

戦略国際問題研究所、かつてはジョージタウン大学に属した、米共和党に大きな影響をもつシンクタンクの一つである。中台関係や米日台関係の研究の拠点である。

China Research Center(中国研究センター)

アトランタ中国研究センターは2001年に設立され、非営利組織である。当センターと提携している大学は、アグネススコット、ドルトン州立、エモリー、ジョージア州立、ジョージア工科大学、Kennesaw州立、マーサー、オグルソープとジョージア大学などを含む。また、「China Currents」というジャーナルを出版している。

Council on Foreign Relations米外交問題評議会

米外交問題評議会1921年にウォール・ストリートの財界人とニューヨークの弁護士が中心になって組織された非営利の外交シンクタンクで、米市民の会員制組織である。中国との関係を一貫して重視し、かつて20世紀70年代には米中関係の雪解けに重要な役割を果たした。

E

The Elliott School of International Affairs at The George Washington University(ジョージ・ワシントン大学エリオット国際情勢研究科)

エリオット国際情勢研究科は国際情勢を最もダイナミックに研究している専門の大学院の一つである。国際関係の研究の歴史が長い。米国では民間で中国問題を研究している重要な機構である。

F

Fairbank Center for East Asian Research at Harvard University(ハーバード大学フェアバンク東アジア研究センター)

ハーバード大学フェアバンク東アジア研究センターは1955年に設立され、米国での東アジア研究、近代中国研究の先駆であり、歴史を中心とした総合研究機構である。

The Ford Foundation(フォード財団)

フォード財団はヘンリー・フォードの一族とフォード社の関係者により 1936年に設立され、当初はフォード社と深いかかわりをもっていた。1976年にヘンリー・フ ォード2世が責任者を辞任してからは、フォード社およびその一族とのかかわりはほとんどなくなったと言われている。1988年に北京事務所を開設した。

Foreign Policy Research Institute(外交政策研究所)

外交政策研究所は1955年に創立され、当時はペンシルベニア大学に属していた。1971年大学から離れて独立した。しかし現在も大学と密接な関係を保っている。中国の研究では国勢および歴史、伝統についての研究を中心としている。

H

Henry L. Stimson Center(ヘンリー・L.・スティムソンセンター)

ヘンリー・L.・スティムソンセンターは米国の無党派だが、国会や政府に密着したシンクタンクである。軍事背景の研究を中心としているのが特徴である。近年、東アジア、特に中台問題の研究の人材を強化している。米国のシンクタンクの中ではわりに影響力を持つ若い機関の一つである。

Heritage Foundation (ヘリテージ財団)

ヘリテージ財団 は1973年に設立されたアメリカ合衆国ワシントンD.C.に本部を置く保守系シンクタンクで、米国政府、特に共和党の政策決定に大きな影響力を持つ。中国については1982年より主としてアジア研究センターで研究している。

Hoover Institution at Stanford University(スタンフォード大学フーバー研究所)

フーバー研究所はスタンフォード大学フーバー戦争および革命、平和研究所の略称であり、共産主義および共産主義国家の研究に独自のスタイルで取り組んでいる。

R

RAND Corporation(ランド研究所)

ランド研究所はアメリカ軍からの調査分析を請け負うことを目的として設立された総合シンクタンクである。アメリカ国内では、カリフォルニア州サンタモニカ(本部)のほか、ワシントンD.C.(現在はヴァージニア州アーリントンにある)、ペンシルバニア州ピッツバーグ(カーネギーメロン大学の隣)に支部がある。ヨーロッパでは、オランダのライデン、ドイツのベルリン、イギリスのケンブリッジに支部がある。2003年、ドーハにRAND本部政策研究所をオープンした。

U

United States Institute of Peace(アメリカ平和研究所)

アメリカ平和研究所は議会によって設立された、独立した無党派の団体である。米国政府の対外政策の制定、特に対アジア太平洋と対中国の政策の制定にかなり大きい影響を持つ。

W

Weatherhead East Asian Institute(コロンビア大学東アジア研究所)

コロンビア大学東アジア研究所は1949年に設立された、世界で最も伝統と実績のある研究所で、アジア太平洋における研究展開の中心的な役割を果たしている。米 国の有名な現代中国研究の拠点の一つである。

Woodrow Wilson International Center for Scholars(ウッドロー・ウィルソン国際学術センター)

ワシントンコロンビア特区のウッドロー・ウィルソン国際学術センターは1968年に創立された、異なる背景をもつ学者や政界、経済界の人々の交流の場である。中国研究については中国環境フォーラムのプログラムがある。

(転載終)

赤字は、ダニエル・パイプス先生の(1)かつての職場(2)密接な関係を持っていた組織(3)講演をした場所(4)批判的に文章で引用した縁のある機関、を意味する。

[追記]これは中国発です。

itunalilyitunalily 2017/07/18 12:52 ツィッター(https://twitter.com/ituna4011)より転載。


なるほど。アメリカの政治エリートは夏の休暇にこのような本を読んでいるのだ。負けてはならぬ。

Douglas Murray‏ @DouglasKMurray 16 hours ago

Christina Hoff Sommers selects 'The Strange Death of Europe' as her summer reading choice @politico:http://www.politico.com/magazine/story/2017/07/16/what-politicos-are-reading-this-summer-215383 …

8:23 PM - 17 Jul 2017

Christina Hoff Sommers selects 'The Strange Death of Europe' as her summer reading choice @politico:

Christina Hoff Sommers, resident scholar at the American Enterprise Institute and host of video blog Factual Feminist
The Strange Death of Europe by Douglas Murray is an enthralling account of the rise of Islamism in Europe. It’s beautifully written and cogently argued. But if Murray is right, Europe is committing suicide. One reviewer said, “I found myself continually wishing that he wasn’t making himself quite so clear.” I agree. And it would be easier too if he weren’t quite so persuasive.

(End)

itunalilyitunalily 2017/07/18 12:54 もう一件、ツィッター(https://twitter.com/ituna4011)より転載。

この写真、パイプス先生もコラムで使っていた。
(http://ja.danielpipes.org/article/16771)

(https://twitter.com/DouglasKMurray/status/887011326723338241)

Douglas Murray‏ @DouglasKMurray 10 hours ago

As I was saying (part of an ongoing series)... 'Merkel rules out limiting number of refugees in Germany':http://edition.cnn.com/2017/07/17/europe/germany-refugees-merkel/index.html?sr=twCNN071717germany-refugees-merkel0154PMStory …

Merkel rules out limiting number of refugees in Germany
By Judith Vonberg, CNN
Updated 1612 GMT (0012 HKT) July 17, 2017

3:09 AM - 18 Jul 2017

(End)

itunalilyitunalily 2017/07/18 19:18 ツィッター(https://twitter.com/ituna4011)からの転載を。最初の本は新品で、二冊目は中古本で届いた。いずれも濃淡さまざまな次元の問題提起作か。

Lily2‏ @ituna4011 44 seconds ago

・メディアの驕り (新潮新書) 廣淵 升彦 https://www.amazon.co.jp/dp/4106107260/ref=cm_sw_r_tw_dp_x_27DBzbVSG1HQ0 … via @amazonJP

・Lily2‏ @ituna4011 7 minutes ago

アメリカの鏡・日本 ヘレン ミアーズ https://www.amazon.co.jp/dp/4889913505/ref=cm_sw_r_tw_dp_x_81DBzb4N34Z8R … via @amazonJP

(転載終)

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20170718

2017年07月17日 カタール危機

久しぶりに『メムリ』から(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/archive?word=memri&of=100)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/archive?word=memri&of=50)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/archive?word=memri)。

メムリ』(http://memri.jp/bin/articles.cgi?ID=IA132217

調査および分析シリーズ  Inquiry and Analysis Series No 1322 Jul/12/2017

カタール危機:サウジ・スンニ派対イラン・抵抗枢軸の紛争エスカレートは米の一貫しない二面性政策に起因―イランの拡張政策に妥協しイラン理解を追求するトランプ政権


A・サヴィヨン(MEMRIのイラン調査プロジェクト長)・Y・カルモン(MEMRI会長)

はじめに


最近、サウジアラビア・スンニ派枢軸とイラン・抵抗枢軸の間に、紛争/対立関係の先鋭化が顕著になってきた。この先鋭化は、地域勢力のみならず、アメリカとロシアもかかわっている。両陣営は、アメリカを味方につけようと張り合っているが、当のアメリカは現段階でイランとの理解を深めようとして接触している。そのイランは、イラン側情報筋によると、アメリカと何度も秘密裡に接触し、交渉しており、アメリカがイランの勢力拡張と折り合いをつけようとしている。この一連の展開が、中東に新しい状況を形成し、力関係を変えつつある。目下進行中のカタール危機は、スンニ対シーア/サウジ対イランの地政学的闘争の新しい一様相であり、アメリカ政府の政策の結果である。周知の通り、アメリカの政治の流れが二つある。一つは、トランプ大統領とそのアドバイザー達で、サウジアラビアとスンニ派枢軸を支持する。あとひとつは、ティラーソン国務長官とマティス国防長官を中心とする派で、カタールに同情し、オバマ時代の親イラン体制の維持を求める


本論は、上記状況展開と今後の動向を検討するものである。


サウジアラビア対イラン闘争の現状


トランプ大統領の就任以来、生起した状況は、次の通りである。


●サウジは、5月20−21日開催のリヤド首脳会議で、サウジ主導による反イランのスンニ派ブロックを形成すると同時に、アメリカをこのブロックへ組みこもうとしたが、こちらはうまくいかなかった。前のオバマ政権はイランを支持しサウジをシーア派イランとの“バランスをとった関係”へ組みこみ、イスラム革命の“輸出”の一環としてのイランの拡張を受入れた経緯がある。


●イランは、まだ残っている制裁(テロリズム及び人権侵害に関する)の解除を求め、アメリカとの交渉を目的とする外交攻勢にでている。イラン側要人の声明から判断すると、トランプ政権とイランの秘密交渉は既に進行中である(後述)。ほかにもこれを示唆する動きがある。


例えば、

2017年2月28日、イラン議会の国家安全保障委員委員カドウシ(Javad karimi Qadousi)が、ザリフ外相のティラーソン国務長官宛書簡を明らかにした。それによると外相は次の4点を要請している。第1、アメリカ政府はJCPOA(包括的共同行動計画) を廃棄しないこと。第2、国務省はJCPOA担当の特別代表を任命すること。第3、イランの交渉団と良い関係にあり交渉経緯をよく知るケリー前国務長官を、その特別代表にすること。第4、二国間の秘密交渉チャンネルを設け、秘密交渉をイスタンブールで行うこと※1。

2017年5月29日、イラン議会前議員ナバビアン(Mahmoud Nabavian)が、アメリカの動きについて、次のように指摘した。第1、アメリカはFATF(マネーロンダリングに関する財務行動タスクフォース)の任務を履行したが、イランとの銀行業務関係については、IRGC(イスラム革命防衛隊)クードス隊指揮官ソレイマニ(Qassem Soleimani)を含む幹部達をアメリカへ引き渡すことを条件とする。第2、ザリフ外相は、アメリカ側との接触のなかで、そのようにする旨約束した。ちなみにナバビアンは、JCPOA検討特別委員会のメンバーで、2017年5月のイランの大統領選では、ロハニの対抗馬ライシ(Ebrahim Raisi)候補の選挙本部メンバーであった※2。


※ナバビアンのリークした情報は、複数のイラン側要人がアメリカはIRGCに関わる要求を撤回しなければならないと述べたことで、立証される。例えば政権側の新聞Kayhanは、2017年6月28日付論説で、「西側はイランの政府と人民に対し、“新しい脅威に遭遇することなく、世界との関係で利益を手にしたいと思うなら、IRGCから距離をおかなければならない”とのメッセージを送りたいのである」と書いた。その前の週の2017年6月20日には、論説で、「アメリカがIRGCをテロ組織のリストへ入れ、IRGCの経済能力を制裁で傷つけるならば、この地域は、アメリカとその同盟者にとって安全ではなくなる」と威嚇、「IRGCの(シリアに対する―2017年6月18日の)ミサイル攻撃は、アメリカとそのヨーロッパ及び地域友邦に対する明確なメッセージである。この地域がイランの経済及び通商活動にとって安全でないのなら、イランのあからさまな敵一西側、アラブそしてヘブライ人―にとっても安全ではなく、危険な状態で生じる代償は、イランの敵にも押しつけなければならぬということである」と主張した※3。


公益判別会議書記長でIRGC前司令官レザイ(Mohsen Rezai)は、アメリカがイランの要求に直面していると主張した。それによると、「IRGCはイラン人民の名誉を守っているのであり、それに制裁を加えることなどあり得ない。アメリカ人が、力を誇示する対象としてイランを選んだとしたら、間違っている。アメリカは後悔のほぞを噛む」と主張した※4。同時にイランの要人達も、IS(イスラム国)と戦うIRGCの役割を考えれば、アメリカが反IRGC要求を撤回しなければならぬのは自明の理、と強調している。


2017年5月29日、ティラーソンとザリフの対話について聞かれたイラン外務省スポークスマンのカッセミ(Bahram Qassemi)は、「まだ計画はないし、決まってもいない。しかし、外交は幅があるし、明日何が起きてもおかしくない」と言った※5。


2017年6月25日付Kayhanはロハニ政府に対し、「IRGC発射ミサイルのメッセージは、(西側が)しっかりと受けとめたので、(ロハニ政府が)うろたえて(アメリカとの)交渉のテーブルにつく必要はない。今後は(イランの)軍事力を信じ、堂々と振舞えばよいのである」と提言した※6。


2017年6月初旬、サウジ・湾岸アラブが合同して(アラブ首長国連邦、バーレン、エジプト及びスンニ派諸国)、カタール排除の動きにでたカタール危機の発生理由については、後述。


●軍事上アラブの動きは二つある。陸上そしてミサイル関連である。

陸上の動き。イランの最高指導者ハメネイが“戦略行動”と呼び、クードス隊指揮官ソレイマニ(Qassem Soleimani)が指揮した件。イランがコントロールするイラク及びシリア民兵をイラク、シリア国境地帯へ動員し、イランの影響圏をテヘランから地中海まで延長した。時期的には、アメリカがアルタナフ地区へ押された時に重なる。アメリカは包囲された形になっている。次を参照:MEMRI Inquiry and Analysis No. 1320, Resistance Axis Forces Directly Threaten U.S.: We Are On The Brink Of War On Syria-Iraq Border; The U.S. Will Pay Dearly If It Acts Against Us In Syria, June 14, 2017.


ミサイル関連の動き。シリア内のISをターゲットにして、中距離ミサイル6発を発射した件。イラン側要人によると、ミサイルはアメリカに向けて発射された(アメリカに“平手打ちをくらわせた”と称された)、アメリカ上院がミサイル計画について対イラン追加制裁を通した翌日に、発射しており、トランプ政権に対する戦略的動きという※7。このメッセージは、米イラン秘密交渉の枠で示した軍事的圧力であり、IRGCをテロ組織のリストへ加えようとするアメリカの意図、に対する警告と考えられる。


この二つの軍事的動きに加えて、イランはアメリカの権益とヨーロッパに対する威嚇もやった。2017年6月25日付Kayhanは、次のように主張している。

「アメリカは、少しでも間違いを犯せば、世界中のアメリカの権益が傷つき、テルアヴィヴとハイファが灰燼に帰すことを理解したのである。アメリカ人は、この平手打は、イラン国家の力をほんの少し行使しただけであることを、知らねばならない。アメリカ人は…このセジル及びシャハブミサイルが2トンの爆薬を搭載し2,000−5,000?の射程を有することを、よく知っている…このミサイルが占領下パレスチナ全域のみならず、ヨーロッパの一部も射程圏にするのである…(イランの国内諸派は)イランが数発のミサイルを発射するだけで、欧米の世界権益をおびやかすことができると、充分に認識するに至った」。


2017年6月19日、イラン軍参謀次長ポウルデスタン(Mohammad Reza Pourdestan)も、イランの強力なミサイル打撃力に触れ、「我々の指先は引金にかかり、我々の努力目標と価値観を守るため、いつでも進軍できる態勢にある。世界はこれを頭に入れておかなければならない…我々が守るのは、イランの地理的な境界だけではない。我々の行動分野に脅威を及ばす地は、全域その対象となる」と言った※8。

ここで強調しておかなければならないが、アメリカとイランが衝突しそうな状況は、アメリカの施策―この地域におけるイランの拡張主義を阻止する政策―に起因するのではない。アメリカ軍の位置がこの拡張を一部阻止してはいるが、これはアメリカの意図によるのではない。これは、前述したように陸上に回廊をつくろうとするイランの戦略的動きに、起因しているのである。


この時期に何故カタール危機が起きたのか


ここではっきり指摘しておく必要があるが、サウジのイニシアチブは―反イランのスンニ陣営の形成とカタール孤立化―主として反テロリズムを目的として、提示された。つまり、イランの拡張主義を阻止する目的ではなかった。しかしながら、リヤド首脳会議の終りにだされた声明の特別事項第3項で、次のような指摘がある。

参加諸国首脳は、この地域のみならず世界の安全と安定を危険にさらしているイラン政権の作戦を拒否し、イラン政権のテロリズムと過激主義支持を非難する。諸国首脳は、イラン政権が敵対的態度をとり地域内諸国の国内問題に介入して、国際法と善隣関係(政策)をはなはだしく侵害している点に鑑みて、これを強く非難すると共に、それぞれの国内において、そして又共同手段によって、イランのこの行動を阻止し、イランの破壊的活動に断固として対処することを、ここに表明する。諸国首脳は、イランの弾道ミサイル開発計画に内在する危険性と、外交関係に関するウィーン協定(1961年)の侵害を、強調する※9。


同じようにスンニ派陣営は、カタールに対し一連の要求をつきつけた。それには、「イランとの外交関係を断絶し、外交機関を閉鎖せよ。イランの革命防衛隊々員をカタールから追放し、イランとの合同軍事協力を中止せよ。イランとは、アメリカと国際社会の制裁に従った通商、取引にとどめよ」とある※10。


サウジ国防相サルマン(Muhammad bin Salman)が、リヤド首脳会議の前Al-ThamnaとMBCTVの長時間に及ぶインタビュー(2017年5月1日)で、イランと合意に達するのは不可能と明言した点に、注目すべきである。その理由として国防相は、「イラン政権は、全ムスリム世界の支配をめざすイデオロギーに立脚し、シーア派(12イマム派)の拡散を狙っている」、「ロシア、シリア、イエメンとは、権益をベースとして合意に達することが可能であるが、このイデオロギーに踏みとどまっている限り、イランとは不可能である。このような政権とは共通点がない。この過激派指導者達は、イランの拡張政策を推進してきた。もう終りである」、「我々は傷つけられた。しかしもう二度と傷つけられることはない。我々がイラン政権の中心的ターゲットになっていることは、判っている。彼等は、ムスリムが祈りを捧げる方向、即ちメッカに到達するつもりだ。我々が、サウジアラビア国内で戦闘が始まる迄手を拱いていることはない。我々は、イラン国内で戦闘が始まるように行動する」と述べた※11。


2017年5月6日フランスで、サウジの外相アル・ジュベイル(‘Adell Al-Jbeir)はインタビューに応えて、次のように述べている。

「数年前サウジアラビアとカタールが調印した合意文書がある。それによると、カタールはテロ集団の支援から手をひく、他国に対する敵視煽動をしない、敵意をむきだしにするメディアを支援しない、そして地域諸国の安定を傷つけない、ことになっている。カタールはその責務を守らなかったので、外交断絶に至った」、「不履行は一回だけのことではなく、それが積み重なったので、断絶の決定になったのである」、「カタールは敵対的な煽動メディアを応援している」、「カタールボイコットしている諸国はカタールやその市民を傷つける意図はないが、カタールは、我々かあちら側かを選択しなければならない」、「カタールは既に行きすぎてしまった」、「カタールは、ハマスやムスリム同胞団のような組織に対する資金援助をやめなければならない」、「今回とられた措置によって、カタールは打撃をうけた。政策変更を促すには充分な打撃である。我々は、カタール人が高い代償に耐えることを望まないと、確信する」と述べた。一方、イランに関しては、外相は「イランは世界一のテロ支援国である。近隣の国内問題に介入、過激派を支援し、アルカイダ等のテロ組織を国内にかくまっている」、「この37年の間に、イラン政権は他国の大使館を12以上も襲撃した。イランは、テロリスト用武器弾薬の生産では世界一の国である。おかげで何千何万という人命が失われた。イランの仕掛けた数々の事件は、この地域とその安全保障に重大な脅威となっている」、「イランは、この地域で起した事件とその結果に責任を負わなければならない」と述べ、「イランは外交官を暗殺し、国際法を侵害している。地域諸国の国内問題に介入し、過激派とテロ組織に対する支援の科で処罰されなければならない」と結んだ※12。


テロリズム問題が強調されたので、西側で混乱が生じた。カタールはテロ支援国とはみなされていなし、イランの抵抗枢軸に加わっているともみえないからである。しかし、これは現実ではない。


確かにカタールは、イランの抵抗枢軸の構成員ではない。自力で独立した地位を確立した。つまり、湾岸協力機構(GCC)、アラブ・イスラム世界そして西側における地位である。資金力とアルジャジーラTVのおかげである。しかしカタールは、王制及び世俗いずれもアラブ諸政権打倒を永年画策し、アラブの春という革命でもそうであった。名目上抵抗枢軸に属してはいないものの、現実には、抵抗枢軸の支援に手を貸しているのである。サウジがイランを前にしてスンニ派の体制固めに努めているが、それに対する強硬な抵抗の中枢にいるのが、カタールである。

リヤド首脳会議をうけて、カタールはサウジ政策にあからさまに反対する態度をとっている。この態度を逆手にとった形で、サウジはカタールと正面から衝突できるようになったが、前以てこの手順が準備されていたのかも知れない。2014年の紛争では、妥協というあいまいな形で終っているのである※13。


サウジ、スンニの対カタール行動は、アメリカの態度を暴露した。アメリカはカタール反米活動を長年無視してきた。MEMRIは、国営テレビのアルジャジーラTVの放送を通して、カタールのアラブ・イスラム過激化活動と、中東及び西側におけるテロ組織支援行動に関する情報を沢山集めた。この情報は別の記事で紹介する。


例をひとつあげると、9/11の2ヶ月前に放映された番組(2001年7月10日付)がある。反米活動を含むオサマ・ビンラーディンの行動を賛美、奨励し、アメリカと西側をターゲットにするビンラーディンの活動を支援するようアラブ世界に公然と呼びかけたムスリム世界向けのビンラーディンのメッセージや演説は、カタールのアルジャジーラTVが伝達手段になっていた。次を参照:MEMRI Special Dispatch No. 319, Terror in America (30) Retrospective: A bin Laden Special on Al-Jazeera Two Months Before September 11, December 24, 2001;次のアラビア語番組も参照:Bin Laden, the Arab Despair, and the American Fear, July 10, 2001).

アルジャジーラTV記者アロウニ(Toyseer `Alouni)は、スペインとシリアの二重国籍者であるが、2004年スペインで7年の実刑判決をうけた。アルカイダに対する送金係になっていたのである。2001年以降アフガニスタン戦争をカバーし、2001年10月ビンラーディンとインタビューした。2005年に刑務所送りとなったが、健康状態を理由に2006年に自宅監禁となった。2012年に刑期を終えて、カタールに戻っている。例えば次を参照:

MEMRI TV Clip No. 869, Al-Qaeda's Internet News Broadcast Expresses Solidarity with Al-Jazeera Reporter Tayseer 'Alouni Who Was Sentenced to Seven Years in Jail by a "Crusader Infidel Spanish Court", September 28, 2005, アロウニがアルカイダから分離したヌスラ(Jabhat Al-Nusra)とインタビューした内容は次を参照:, MEMRI TV Clip No 4089, In Wide-Ranging Interview, Jabhat Al-Nusra Commander Al-Joulani Discusses Jihad in Syria, Declares: Our Conflict with ISIS Has Been Resolved, January 1, 2014).


もうひとつ例をあげると、レバノンはヒズボラのテロリストであるアル・クンタール(Samir Al-Quntar)が、イスラエルの刑務所から釈放された後、本人の誕生パーティを盛大に催したのが、アルジャジーラTVであった。巨大なケーキが飾られ、バンドも出演し、花火も打上げられた。本人は、1979年にイスラエルのナタニアで事件を起し、少女を含む家族を殺したテロ犯であった。次を参照:MEMRI TV Clip No. 1818, Al-Jazeera TV Throws A Birthday Party For Released Lebanese Terrorist Samir Al-Quntar, July 18, 2008.


カタールはアルジャジーラとその政策を通して、タリバンの活動を支持し、ムスリム同胞団の活動を支援してきた。後者の指導者のひとりアル・カラダウィ(Sheikh Yousef Al-Qaradhawi)に、アラブ世界でよく知られるプライムタイムの番組「シャリーアと命」を提供したのは、アルジャジーラである。このメディアは、シシ大将がエジプトの大統領に就任した後、ムスリム同胞団の破壊活動を支援している。


2003年にアメリカがイラクに進攻した後アルジャジーラが反米放送をやったことも、指摘しておかなければならない。それは何年も続いたのである。


カタールは、アルジャジーラを使ってアラブ/ ムスリム世界の過激化をはかってきたが、アメリカの歴代政権は、これに目をつぶってきた。カタールがアメリカにウディド空軍基地を提供しているからである。その基地にCENTCOM(中央軍)がある。アメリカの政府及び議会は、カタールが米軍のプレゼンスを必要としていることに、全然気付いていない。現在もそうである。隣国の攻撃を避けるためで、アメリカがカタールを必要とする以上に、カタールは米軍のプレゼンスを必要とするのである。ところがアメリカは、カタール反米政策、アルジャジーラを介したアラブ/ ムスリム世界の過激化をやめるように要求したことがない。カタール空軍基地をおき同時にカタール反米活動に目をつぶっているのである。

アメリカがカタール過激化煽動とテロ支持に目をつぶる姿勢は、今日まで続いている。カタール防衛におけるティラーソン国務長官の一貫した姿勢が、如実に物語る。例えば国務省のノーアート(Heather Nauert)スポークスパーソンは、6月20日にカタール側に立ちサウジの動きを疑問視した。更にティラーソン自身が、カタールに対するスンニ派の要求のなかには「カタールにはのめない極めてむずかしいもの」があると言った。あたかもカタール政府のスポークスマンのような発言である※14。


今回の危機に対するアメリカ政府の矛盾した政策は、イランとその抵抗枢軸を利するばかりで、サウジ・スンニ派陣営においてアメリカが堂々と振舞えない状況をもたらしている。


これまで、カタールは欧米に対する投資と購入キャンペーンという手法で、政治的立場を固めてきた。有名なサッカーチームの購入といったやり方で、世論にインパクトを与え、アルジャジーラの姉妹局をイギリスに開設して、アルジャジーラのファンを増やす。つまり説得力をつける。それで何となく親西側的印象を相手にもたせるようになった。裏を返せば、カタールのイメージはテロと過激主義の犠牲になる国であり、欧米がまず応援にかけつけて然るべき国、である。一方サウジとスンニ派陣営は、欧米の支援がない状態にある―数百億ドルのアメリカ製兵器の調達は、サウジ支援のためとは考えられず、アメリカ経済を支援するため、としか考えられない。トランプ大統領のサウジ訪問はそのためであり、サウジの対イラン政策の支持表明を目的とするのではない―サウジとスンニ派陣営は、万やむを得ず単独で行動しなければならない。トランプ自身リヤド演説でも次のように言っている。


ムスリム多数派諸国は、過激化に対する戦いで先頭をきらねばならない。私は、強力な指導力発揮でサルマン国王に感謝したい…アメリカは―権益の共有と共通の安全保障のうえで―あなた方と共にある。しかし、中東諸国は、アメリカのパワーが自分に代ってこの敵を撃破するなどと、悠長に待っていることはできない。中東諸国は、自分自身のために自分の子供のために、自分の未来は自分で決めなければならない。それは二つの未来のどれを選ぶかである。そしてそれは、あなたに代ってアメリカができる選択ではない。

良き未来は、あなた方国々がテロリストと過激派を駆逐して初めて、開けてくる。駆逐せよ、彼等を追い出せ。あなた方の礼拝の地から叩き出せ。あなた方の社会から追い出せ。あなた方の聖所から叩き出せ。そしてこの地から駆逐せよ…ムスリム諸国は、テロリズムを撃破し、そのよこしまなイデオロギーを忘却の淵に叩き込みたいのであれば、自ら進んで行動の重荷を背負わなければならない。

この共同作業でまずやるべきことは、悪の歩兵を領内に一歩も入れてはならぬことである。この地域のすべての国は、テロリストに隠れ家、聖域を与えないという絶対的責務がある…」※15。


米・イラン関係の発展


イランの大統領選挙前の2017年5月でも、イラン側は、アメリカの現実の立場が反イラン声明と合致していないことを認識できた。例えば2017年4月、アメリカ政府は、イタリア開催のG7協議でだされた声明で、JCPOAを支持したし、上院の反イラン立法化を遅らせた。もっとある。次を参照:MEMRI Inquiry and Analysis No. 1314, Iran Tests The Trump Administration, May 8, 2017).


アメリカの共和党とその周辺では、「トランプ政権は、JCPOAの存在とは折合わなければならないが、イラン側拡張主義の阻止努力はする」という認識がひろがっている。しかし現実は違う。政権は本件についても、降参した。2017年5月、ロシアとイランの要求にも屈した。ロシアは、シリアに四つの脱エスカレーション地帯をつくる計画をだし、その“保証勢力”としてイラン軍をシリアに入れる、と主張した。これはイランの拡張を合法化することになるが、アメリカの政権はこれを認めたのである。


シリア政府とその友邦であるイラン及びロシアが、シリア東部の砂漠地帯で過激派と戦っていることに関して、6月下旬、有志連合連スポークスマンの米陸軍ライアン・ディロン大佐は、アメリカは“全然問題ない”とバグダッドから報じた。この発言は、アメリカがシリアにおけるイランの軍事的拡張主義と折り合い、これを合法化したことを意味する※16。


イエメン問題に関しても同じである。2017年4月のサウジ訪問時、アメリカのマティス国防長官は、イエメン紛争は国連で解決すべきであると言った―これは、本件に関するイランの立場である※17。


このような一連の仕草がイラン政権を勇気づけている。今年5月そして特にリヤド首脳会議の後、イランはトランプ政権と交渉の意志を示した※18。大統領に再選される前のテレビ討論で(2017年5月12日)、ロハニ大統領は、「我々は4年の(私の)任期中に、核制裁を解除した。これから私は、残る制裁を断固として解除し、イラン国民の名誉とイランの権益の回復を、ここに宣言する」と言った※19。


5月21日、リヤド首脳会議が開催中であったが、ザリフ外相は、ロンドン発行紙Al-Arabi Al-Jadidのインタビューで、イランは条件付でアメリカと交渉する用意があると述べた。その条件とは「アメリカがサウジアラビアに反対措置をとること」であり、「イランは、テロリズムと過激主義と戦い、シリアに平和を回復する課題において、地域及び外部(アメリカ)勢力と協力する用意がある」と言った※20。


5月22日、大統領再選時の記者会見で、ロハニは「残る制裁に関しては、イラン国家がこれを求め、さまざまな機構の間でコンセンサスが生まれ、最高指導者(ハメネイ)が本件を指導するのであれば、我々は指導者に従がい、これを貫徹する。大変難しい仕事ではあるが、遂行可能である」と述べた※21。


2017年5月30日、外交誌Iran Diplomacyのインタビューで、ザリフが繰返しアメリカとの交渉に触れ、「いつでも外交手段で残る制裁の解除が可能である。これには(米イ間の)諸問題の話合いを伴なう。2015年に最高指導者は、反対側のアメリカが真剣に交渉し、結果をだし、その結果を実行するかどうかが、核問題の交渉が試金石になると言われた。実際のところアメリカは、良い印象を与えていない。しかし外交を以てすれば、充分可能性はある。我々は制裁を解除し、イランが望むのであれば、イランの名誉、国益、原理原則を維持したうえで、解除可能である」と前と同じことを繰返し述べた※22。


6月4日、イスラム革命の祖ホメイニの命日にあたり、ハメネイ最高指導者は、アメリカとの交渉を“チャレンジ”と称し、その交渉許可を与え、強者の立場で賢明に交渉せよと指示した。そして、交渉は、リヤドにおける米・サウジ枢軸の強化に対処するものとし、次のように述べた。


「イラン国家が経験したことに鑑みれば、アメリカ人を本当に信用することはできない…言訳口調で、チャレンジ(交渉)には、コストがかかるという者を、私は批判する。確かにチャレンジには代償を払わなければならない。しかし妥協は余りにも代償が大きい。サウジがその例である。サウジは確かにイニシアチブをとったが、アメリカの願望と目的の実現化に、国民の金を数百億ドルも払う破目になった。大サタンとの妥協の代償がこれである。チャレンジ(対米交渉のこと)するにも、確信と革命の論理を以て臨むのであれば、(サウジがやった妥協よりも)代償はずっと小さくて済む」※23。

翌6月5日、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、エジプト、バーレンが、カタールとの外交断絶を発表した。特にこの時期カタール孤立化の挙にでたサウジ・湾岸諸国の動きには、アメリカの対イラン政策にみられる二面性が背景としてある。このアメリカの立場は、リヤド首脳会議で自白のもとにさらされた。サウジは、この首脳会議をアメリカの支援を得て、反イラン糾合の場にしようと考えた。サウジが、反イランのサウジ・米共同戦線の形成を試みている時、アメリカのティラーソン国務長官は、メディアに対するブリーフィングで、サウジ側の同僚を傍にして、アメリカは将来イランに電話する選択肢を棄ててはいないと言った。この状況では仕方がない。サウジがイニシアチィブをとって、反カタールのスンニ・アラブ核をつくった。この動きにアメリカの支援を得たので、形成したのではない。全く反対である。トランプ大統領の訪問にも拘わらず、サウジはアメリカの確固とした支持がないのを痛感して、サウジはカタール孤立化によって、イラン及び抵抗枢軸との紛争に、アメリカと全スンニ・ムスリム世界を糾合する拳にでたのである。

2017年6月12日、断食後の宴(イフタール)に政権の機構の長と幹部が集まり、最高指導者ハメネイが話をした。対米交渉の進め方に関する政府の指針を繰り返したのである。彼は交渉に枠も設けた。この地域におけるイランの拡張云々については話をしない。テロリズムとイランにおける人権に関する制裁の解除のみを話題にせよとし、次のように強調した。

「外国人が己の関心事を我々に強要することを許してはならない…外国敵及びその分子との明確な距離を、イラン内で設定しなければならない…我々は敵を信用してはならない…我々は(核交渉で)敵を信用することはできない。アメリカ人に口実を与えないにせよ。口実自体が尾を引き害を及ぼす。外国人との交渉では、非常に注意しなければならない。敵を信用しているような口調は絶対いけない。後で困る。イラン内そして外国人に悪影響を及ぼす…鉄面皮な敵が厚かましく向ってくる時、その敵はそれに押された者から妥協がでることを計算しているのであり、一段と厚かましくなる…。


アメリカがIRGCとクードス隊を憎悪するのは、当然だ。イランの力を排除したいからである。そこでアメリカは、IRGCが存在しない、民兵隊が介入しないような条件をつくろうとする。そしてこれをせよあれをやれと(イランに)指図しようとする。これに対して、イランの幹部達は、軍、IRGC、バシジ(民兵隊)を含む軍事力を強め、名誉心を高めなければならない…。


アメリカと解決できないことがある。アメリカの問題は我々の核エネルギーや我々の人権ではないからだ。アメリカの問題はイスラム革命の原理である…強奪する超大国は、イランをコントロールする力を失いたくない。しかしイランはそうはさせないのである…人権、テロリズム、不安定の問題は、イランを屈服させるための口実にすぎない…アメリカとの妥協があってはならない。

あいまいな声明をだしてはいない。あいまいな点に敵が乗じてくるからである。立場は明確に表明しなければならない。アメリカは、イランが悪(“アメリカに死を”のスローガン中止要求を指すものと思われる)に対する敵意を放棄することはないことを、知らなければならない※24。

結論


カタール危機は、スンニ派陣営におけるサウジ・カタール危機のような印象をつくりだした。これは誤解である。スンニ派陣営における紛争は、イラン及び抵抗枢軸との紛争である。


イランは、その声明のなかで、交渉願望の印象をつくりだした。対米欺瞞戦略である。交渉と外交で目的を達することができる、と信じこませるのである。かくしてアメリカは、イランの拡張主義にどのように対応すべきかで、躊躇する。そこがイランの狙いである。


米・イラン対話は、外交メッセージの発信と、そしてそのメッセージを補強する軍事的動きを伴なって続いていく。アメリカのシリア爆撃やイランのミサイル発射は、アメリカとイランが軍事対決を求めていることと受けとめてはならない。話は逆である。双方は圧力手段として、もっと大きい交渉をめざす動きの一環として、考えているのである。


イランはアメリカを困難なジレンマへ押しやった。ロシアが支援する抵抗枢軸及びイランとの戦争にまきこまれるのか、それともJCPOAと折り合い、イランが中東拡張を続けるのを見ながら、そのイランと交渉していくのかである。2017年6月14日、ハメネイのトップアドバイザーであるサファビ(Yahyah Rahim Safavi)が、「アメリカがイランと戦争したいのなら、覚悟しなければならない。中東の米軍基地はすべて危なくなる。そしてイランは、その国境から2,000?圏をミサイルで打撃できるのである」と言った※25。ここではっきりさせておくべきであるが。現段階でアメリカは、ロシア軍が支援するイラン軍と地上戦ができる用意がない。シリアにおけるスパイ活動の強化とか軍事力増強といった報道があるが、アメリカの政策が明確になったわけではない。


この紛争では、腰のすわった方(イラン) が目的を達し、紛争に余り関心がなく躊躇する側(アメリカ)を負かすであろう。そして、アメリカの友邦であるサウジとイスラエルが認識しているように、アメリカは、イラン撃破ではなくイランとの宥和へ傾くであろう。


この段階でアメリカは、前政権から引き継いだ状況を変え、それに伴なう代償を払う用意がない。アメリカは、イスラミストの過激行動とテロリズムにかかわっているカタールの役割に目をつぶり、シリアとイエメンの状況を無視し、イラクがイランの下役となり、イランが核とミサイルで武装するグローバルパワーになることにも、手を拱いている。


アメリカは、ロシアが支援するイランと対決しない。この現実を前にして、サウジとそのスンニ派友邦、そしてイスラエルは、シーア派・イランの挑戦を身を以て背負わなければならない。カタール危機は、シーア派・イラン・抵抗枢軸に対するサウジ・スンニ派陣営による慎重な行動の第一歩である。スンニの反イラン陣営に対して、アメリカを初めとする諸勢力があいまいな立場をとり続けるならば、サウジ/スンニ派陣営とイスラエルの更なる接近がみられるであろう。

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[1] YJC, Iran, February 28, 2017.

[2] ISNA (Iran), May 29, 2017; Entekhab.ir (Iran), May 29, 2017.

[3] Kayhan (Iran), June 20, 2017.

[4] Tasnim (Iran), June 19, 2017.

[5] ISNA (Iran), May 29, 2017.

[6] Kayhan (Iran), June 25, 2017.

[7]  2017年6月18日、ミサイル発射数時間前公益判別会議書記長レザイ(Mohsen Rezai)がツィートし、「トランプ氏よ、我々は笑顔には笑顔で応え、平手打ちには平手打ちで返す。気をつけよ」と書いた。同じ日、イラン国軍参謀次長ジャファアリがIRGC及びイランのミサイル開発計画に関するアメリカ上院の制裁決議に触れ、ミサイル発射数時間前に、「アメリカが態度を変えなければイランは力づくで変えさせる」と言った。Fars, Iran, June 19, 2017. 同じ日イラン軍副司令官ジャーファリは、アメリカ上院のIRGC 及びイランのミサイル開発計画に関する制裁決議に関して言及し、ミサイル発射数時間前に警告を発して、アメリカが態度を変えなければイランが変えさせると言った。Tasnim, Iran, June 18, 2017.

[8] Tasnim, Iran, June 19, 2017.

[9] Al-Hayat (London), May 21, 2017.

[10] AP, June 23, 2017.

[11] Al-Riyadh (Saudi Arabia), May 2, 2017.

[12] Al-Arabiya (Saudi Arabia), June 6, 2017.

[13] カタールと湾岸諸国が、ムスリム同胞団とイランに対するカタールの外交政策をめぐって深刻な緊張関係になったのは、今回が最初ではない。2014年3月、サウジ、アラブ首長国連邦、バーレンと6ヶ月以上も揉めて、この3国は、カタールが責務を果していないとして、大使をカタールから呼び戻すと発表した。6ヶ月ほどして関係は修復された。カタールがGCC諸国政策に従って行動する旨約束したためと思われる。次を参照:MEMRI Inquiry and Analysis NO. 1075, Threatens To Break Up Gulf Cooperation Council, March 14, 2014 ). 及びMEMRI Inquiry and Analysis No. 1075, Unprecedented Tension Between Qatar And Saudi Arabia/UAE/Bahrain Threatens To Break Up Gulf Cooperation Council, March 14, 2014.

[14]  例えば、国務省スポークスパーソンのヘザー・ノーアーの発言(2017年6月20日)を参照。彼女は、次のように言った。「…制裁が始まって2週間以上たつが、カタール制裁の事由について湾岸諸国は詳細をまだ公表していない。時間がたてばたつ程、サウジと首長国連邦がとった行動について、疑問が高まる。現時点で我々が抱いている疑問は極めて基本的なことである。いわれるようにカタールがテロを本当に支持しているので、そうしたのか、それとも積年のうらみがあるのか、である。長官は、状況の観察、慎重な見究め作業を続ける決意である。同じメッセージを海外の外交機関に発信している」。State.gov/r/pa/prs/dpb/2017/06/272056.htm. 2017年6月25日のティラーソン声明も参照。長官は「カタールはバーレン、サウジアラビア及び首長国連邦が提示した一連の要請を慎重に検討している…カタールにとって受け入れがたい極めて難しい要求がいくつかあるが、解決へ至る対話の糸口になりそうな分野もある」と述べた。State.gov/secretary/remarks/2017/06/272157.htm.

[15] Edition.cnn.com/2017/05/21/politics/trump-saudi-speech-transcript/index.html, May 21, 2017.

[16] ABCnews.go.com, June 23, 2017.

[17]  2017年4月18日、マティスは「我々は我々の友邦、我々のパートナーと一緒に、本件を国連の仲介する交渉の場へ提出すべく働きかける」と述べた。Reuters, April 18, 2017.

[18]  ここで指摘しておかなければならないが、(穏健派と称される)ロハニ大統領と実務派は、イランの革命政権のために働いているのであり、その意を体してアメリカと交渉し、革命輸出政策を実行しているのである。西側では多くの者が、反体制派と考えているが、決してそうではない。イラン政権の二重詐欺―つまりイラン国民とアメリカ政府/西側の両方を手玉にとってだます―については、JCPOAがロハニ陣営のおかげで達成されたことを、銘記しておくべきである。ロハニは、国民ではなくあくまでも政権に奉仕しているのである。次を参照:MEMRI Inquiry and Analysis NO. 1317, Iran's Presidential Election And The Trump Administration's Emerging Shift Towards The Iranian Regime, June 2, 2017. イラン政権の二重詐欺については次を参照:MEMRI Inquiry and Analysis No. 1306, Iran Will Not Cancel The JCPOA – Because It Grants Iran Nuclear State Status And Is A Western Guarantee For The Regime's Survival, April 6, 2017 .

[19] ILNA.ir (Iran), May 12, 2017.

[20] Fars (Iran), May 21, 2017.

[21] President.ir (Iran), May 22, 2015.

[22] Irdiplomacy.ir, May 30, 2017.

[23] Farsi.khamenei.ir (Iran), June 4, 2017.

[24] Farsi.khamenei.ir (Iran), June 12, 2017.

[25] Fars (Iran), June 14, 2017.

(引用終)

itunalilyitunalily 2017/07/17 16:10 カタールには国立のカタール・フィルハーモニー管弦楽団がある。2008年に設立され、今はハンナ・チャンがチェロを止めて指揮者になっているらしい。2013年には、庄司紗矢香さんが友情出演している。

オマーンのロイヤル交響楽団は1985年設立だから、やはりオマーンの方が西洋化および近代化の努力に先行していることがわかる。

itunalilyitunalily 2017/07/17 16:10 オマーンについては、過去ブログ(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20170323)を参照のこと。

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20170717

2017年07月16日 再び庄司紗矢香さん

https://news.yahoo.co.jp/byline/suzukiharue/20170714-00073295


2017年7月14日


・今年の音楽祭はロストロポーヴィチ生誕90年という意味合いも込めたプログラムになっていて、日本を代表するヴァイオリニスト、庄司紗矢香さんがソリストとして招かれた。


・庄司さんは99年に日本人として初めて、しかも最年少でパガニーニコンクール1位という輝かしいキャリアの持ち主。16歳での受賞直後、ロストロポーヴィチから招聘されてこの音楽祭で演奏している。


・夜のコンサートを控えた貴重な午後の時間、お話をうかがうことができた。

その年は世界中いろいろな場所で初めて演奏する機会が多かったのですが、このホールの美しさは鮮明に覚えています。そしてロストロポーヴィチさんの存在感の素晴らしさも。当時は音楽祭監督としての最晩年でしたから、彼が演奏したり指揮したりということはありませんでしたが、客席でご覧になっていて、私の演奏するコンチェルトを聴いていらっしゃいました。そして演奏会の後、彼とご家族、そしてサポーターの皆さんと過ごしたひと時もとても貴重な思い出です。

ロストロポーヴィチというオーラが去ってから10数年、エヴィアンの音楽会は往時の輝きを失っていたが、2014年からモディリアーニ弦楽四重奏団というパリの若手カルテットらによって復興を遂げ、現在に至っている。

庄司さんは復興の翌年、2015年にも招かれて演奏。

ロストロポーヴィチの時代を知る貴重な若手演奏家であり、音楽祭の過去と現在、二つの時代をつなぐ象徴的な存在なのだ。

今回は、モディリアーニ弦楽四重奏団とベテラン演奏家たち、そこに学生たちが加わったアンサンブルのデビューを飾るソリストとして演奏する。

どんな仕事でもそうだと思うのですが、学校では全てを学べない。音楽家もそうです。ヨーロッパでは、音楽家の卵がプロの演奏家たちと一緒に演奏するプログラムが多くあって、そういった経験を通してプロになってゆくという過程をすごく大事にしていると思います。

世界的に活躍するベテランのジェネレーションがいて、モディリアーニ弦楽四重奏団のような今の若い世代のトップを走る人たち、そしてこれからの若い人たちが一緒に演奏するという今回のような試みは本当に素晴らしいと思います。

フランス音楽の歴史と若い世代のパワーとフレッシュさ、すべてがハーモニーになっていて、参加していてすごく力が湧いてきます

また、ホールは外側もそうですが、内側もすべてが木でできていて、日本人としてはとても居心地の良い場所です。舞台の背面には木が林のようにデコレーションしてあって、木のぬくもりに包まれたような気分がします。

近代のホールと違うところは空調がないこと。雑音がないので、音が自然に木を伝わってゆくようなとてもいい音響です。

ただし、暑いです。(笑)

エコロジーなところに皆さん理解を示して聴いてくださる。演奏する方もそうです。

(部分抜粋引用終)

久しぶりに庄司紗矢香さんを。やはり、自分にはこのような音楽の話題の方が、自然としっくり馴染む。

過去ブログで庄司紗矢香さんを引用したリストを、以下に。

http://d.hatena.ne.jp/itunalily/archive?word=%BE%B1%BB%CA%BC%D3%CC%F0%B9%E1)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/archive?word=%BE%B1%BB%CA%BC%D3%CC%F0%B9%E1&of=50


・2017-04-02   庄司紗矢香さんのインタビュー

・2015-02-13    N響とパーヴォ・ヤルヴィ

・2014-11-14   三つのテーマをまとめて記録

・2014-08-26   メナヘム・プレスラー

・2014-03-25   読書家のヴァイオリニスト

・2014-01-19   パリで活躍する日本人芸術家

・2013-11-03   国土と民族のアイデンティティ

・2013-11-01   ルーツと帰属の関係?

・2013-10-07   上昇志向の日本社会の一モデル

・2013-07-03   ガザ紛争後のイスラエル

・2013-06-27   二つのインタビューから

・2013-06-26   テミルカーノフ氏と紗矢香さん

・2013-02-11   水玉ネクタイの話

・2012-12-31   おまけ

・2012-11-25   クリスチャン・ツィメルマンに感謝

・2012-11-09   過去を回顧し動向を注視する

・2012-11-05   いずみホールの演奏会

・2012-06-25   庄司紗矢香さんの登場後...

・2012-06-10   前橋汀子さんのリサイタル(2)

・2012-06-09   前橋汀子さんのリサイタル(1)

・2012-04-22   諏訪内晶子&イタマール・ゴラン

・2012-03-13   人類史の暗闇に立ち向かうこと

・2012-01-24   前言を翻して

・2011-11-30   演奏会の余韻を思い起こしつつ

・2011-11-17   ヨルダンの情勢

・2011-11-05   サンクトペテルブルク楽団の演奏

・2011-10-18   やっぱり彼女を応援したい

・2011-09-27   芸術の秋なので

・2011-09-09   ちょっといいお話

・2011-05-05   „ Mut!”

・2011-02-20   庄司紗矢香さんの新たな境地

2010-11-06   庄司紗矢香&カシオーリの演奏会

・2010-11-05   囚われない心を保つ

・2010-06-23   9歳のヴァイオリン演奏

・2010-06-02   ヒラリー・ハーンの演奏とサイン会

・2010-06-01   サロネン&ヒラリー・ハーン演奏会

・2010-04-18   アンネ=ゾフィー・ムターの演奏会

・2009-07-01   シャガールと聖書 そして共感覚

・2009-06-29   とはいうものの...

・2009-06-28   豊かな天性に感謝しつつ

・2009-06-10   すこやかに順調に伸びて

・2009-06-02   演奏会の感想 (その2)

2009-05-28   演奏会の感想 (その1)

・2009-05-04   びわ湖でピアソラを聴く

・2009-04-26   好きなものに熱中できる幸い

・2009-02-02   早くも節分

・2009-01-26   いずみホールでのリサイタル(3)

・2009-01-23   いずみホールでのリサイタル(2)

・2009-01-20   若い音楽家の人生から学ぶ

・2009-01-19   しばし休憩

・2009-01-17   いずみホールでのリサイタル(1)

・2009-01-16   真に人を育てること

・2009-01-13   ヒラリー・ハーンのリサイタル(1)

・2008-12-15   加藤周一氏の遺言

・2008-11-18   チェックリスト

・2008-11-16   結婚記念日

・2008-10-18   ただ今、人生の第二楽章?

・2008-09-23   ギドン・クレーメルと井上道義氏

・2008-08-04   『音楽の友』8月号から

・2008-05-25   フィラデルフィア管弦楽団の演奏

2008-05-20   それぞれの基準や水準で....

・2008-03-10   「ユーリの部屋」を再開します

・2008-03-05   人を開花させること・萎ませること

・2008-02-25   マレーシアのクリスチャンとのご縁

・2007-11-15   音楽聴いて人生楽しく

・2007-11-07   マンモグラフィ・児童書・CDなど

・2007-10-27   時代祭の小レポートその他

・2007-10-22   カウンター代わりの数値を設定

・2007-10-16   早目に今年の総括を少し...

・2007-10-03   ミーチャ@DSCH(6)

2007-09-27   中間休みと今後の計画

・2007-09-21   ミーチャ@DSCH(3)

2007-08-29   ロシアについての雑感

・2007-08-27   『ベートーヴェンの生涯』

・2007-08-26   閑話休題 その2

・2007-08-19   テレビ「情熱大陸」

・2007-07-31   音楽小話

・2007-07-27   イスラエルの話をもう少し…

・2007-07-04   写真のお話その他...

(リスト終)

itunalilyitunalily 2017/07/17 20:41 フェイスブック(https://www.facebook.com/ikuko.tsunashima)の転載を。

Jerusalem Post(http://www.jpost.com/Israel-News/Culture/A-formidable-musician-499669)

A Formidable Musician

by Maxim Reider

13 July 2017

Japanese violinist Sayaka Shoji returns to Israel

イスラエルの『エルサレム・ポスト』紙に庄司紗矢香さんの短いインタビューが掲載されている。十年以上、京都、西宮、大阪での彼女の演奏会に私は何度も行っている。サインを頂戴する時、睨まれたこともある。
“I got my first violin when I was almost six”は間違いで、「(ねだり続けて一年経った)5歳の時に、ヴァイオリンをやっと買ってもらった」と日本向けのインタビューでは繰り返し述べている。

(転載終)

itunalilyitunalily 2017/07/18 11:24 演奏会の後のサイン会で「睨まれた」のは、西宮と大阪のいずみホールでのこと。多分、彼女は音楽一筋できたので、安くはないチケットを買って、忙しい日常の中をわざわざ二時間半以上も演奏会に割く日本の人々の背景を理解するのに、どこか勘違いしてきたのだろう。

当時、主人は即座に言った。このコメント欄を書いた後にも、覚えていて同じことを言った。

「だから紗矢香ちゃんは、そこがまだ駄目なんだ」

「ヴァイオリニストは、今でこそ社会的ステータスが高くなったかもしれないけど、日本社会の一般通念から言えば、自分がどういう立場か知った上で演奏しなければならない」

そして、前橋汀子さんのホール裏側へ回ってのサイン会と写真撮影サービスの事例を引き合いに出し、「ああでなければならない」と言った。

「今の若い音楽家は、順調に行き過ぎて、勘違いしている」と。

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20170716

2017年07月15日 訳語を巡る小話

昨日のブログのコメント欄の続きを(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20170714)。ダグラスさんの評判の新著を巡って、ほんのちょっとした小話が続いた。

まずは、こちらから。

https://twitter.com/ituna4011


苺畑カカシ‏ @ichigobatakekak 11 hours ago

Replying to @ituna4011

I suppose you are right. But I did not have any English word in mind when I came up with the title.

11:51 PM - 14 Jul 2017


Lily2‏ @ituna4011 11 minutes ago

アメリカ生活が長いから、日本語のニュアンスが薄れてきたかしら?


苺畑カカシ‏ @ichigobatakekak 9 hours ago

Replying to @ichigobatakekak @ituna4011


Oh I just realized you were talking about my translation of the book title. Yes, your word choice would be better.

2:19 AM - 15 Jul 2017


苺畑カカシ‏ @ichigobatakekak 6 minutes ago


Lily2‏ @ituna4011 6 minutes ago

Lily2 Retweeted 苺畑カカシ

Better is worse than the best.

11:09 AM - 15 Jul 2017


苺畑カカシ‏ @ichigobatakekak 11 hours ago

Replying to @ichigobatakekak @ituna4011

I have just started reading. I cannot keep up with your inhuman speed.

11:59 PM - 14 Jul 2017


Lily2‏ @ituna4011 14 minutes ago

This is a normal tempo in Japan. I am human, not inhuman, by the way...


Replying to @ituna4011


先ほどは英語で失礼。考え直して、やっぱり不思議でいいとおもいます。理由はブログのコメント欄にかきました。

11:05 AM - 15 Jul 2017

(転載終)

というわけで、そのブログの該当部分と「コメント欄」を以下に抜粋。

http://biglizards.net/strawberryblog/archives/2017/07/strange_death_of_belgium.html

July 4, 2017

「ベルギーの不思議な死」


ちょっとダグラス・マレー著の「ヨーロッパの不思議な死」をもじって今回の見出しを作ってみた。

(部分抜粋引用終)

下記投稿者名: 苺畑カカシ


ネットおともだちのリリーさんから、マレー氏の著書の題名は「ヨーロッパの不思議な死」というより「奇妙な死」と訳すべきなのではないかというご指摘をうけた。確かに「Strange」という単語を英和で引くと「奇妙な」と出てくるのだが、「不思議」を反対に和英で引くと「Strange]と出てくる。だからどちらを使うかは訳者の判断に任せられる。


私は「奇妙」という言葉自体を自分であまり使わないので、普段自分が使っている「不思議」という言葉を使ったのだが、言われてみると確かに「奇妙」という言い方もあったなと思った。その方がいいのかもしれないとも思ってツイッターではそう答えた。


しかしよくよく考えてみたら、やっぱり自分としては「不思議」の方がしっくり行くと考え直した。「奇妙」というのは物事を説明する時に使うような気がする。「奇妙な形」とか「奇妙な現象」とか。それで著者の感情移入がないような気がするのだ。


これを「不思議」と訳すと、著者にとってこの現象は何か異様な興味を抱かせる現象であると言っているように聞こえる。少なくとも私にはそう思えるのだ。


この題名だけなら、確かに「奇妙」でも「不思議」でも訳者の好みの問題だろう。いや、学術的な論文なら、多分「奇妙」の方が適切かと思われる。


しかし、これまでマレー氏のインタビューやスピーチを色々聞いてきて、この場合は「不思議」の方があってるような気がするのだ。


無論これはカカシの独断と偏見に満ちた考えかた。私はプロではないからいい加減な訳なのもお許し願おう。


しかし翻訳は科学ではない。芸術だ。これについてはまた別のエントリーでしっかり書こう。

(引用終)

そこで私からひと押し。

https://twitter.com/ituna4011


Lily2‏ @ituna4011 5 minutes ago


著述の全体を読めば、「不思議な」というよりは、もっと強いニュアンスの「奇妙な」が適切だと、私は思います。事例の使い方や言葉の選択に、意図的な狙いとウィットと皮肉が込められているからです。私はそのように読んでいます。ダグラスさんに尋ねてみないと、本当のところはわかりませんが。

(転載終)

あ、続きがあった。

https://twitter.com/ituna4011


DouglasKMurray 14 hours ago

'Let us hope Murray’s profound meditation has not arrived too late. For if there is still time, he may yet be Europe’s Jonah, not Jeremiah.'

12:10 AM - 15 Jul 2017

Lily2‏ @ituna4011

「泣きのエレミヤ」ですもんね?大魚に飲み込まれたヨナさん、いえ、ダグラスさんは大魚と格闘しているのでは?ウィットという槍で突っつきながら...。

(転載終)

「泣きのエレミヤ」については、過去ブログ(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20080409)を参照のこと。

アメリカ東海岸への留学と駐在を計4年間、経験した主人は、理系だが、私よりも遥かに英語が正確でよくできる。パイプス親子先生の母校および職場でもあったハーヴァードでも(外国人向けの)英語のクラスを取っていたし、専門分野以外に難しい対米交渉もこなしてきて、ユダヤ系も含めたアメリカ人を採用する立場にもあった。

その主人が本件に関して一言。「奇妙な、でなければおかしい」。

なぜ、‘mysterious’という単語をダグラスさんが使わなかったかは、本書を読めば歴然としている。

繰り返しているように、2012年3月下旬から、ダニエル・パイプス先生のご依頼により(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120330)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20170309)、プロの翻訳家ではないものの、少額の謝礼をいただきながら訳文作成を続けてきた(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120514)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130403)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20140113)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20170124)。

読者の方達からも、訳ミスが見つかれば、是非ご指摘いただきたいが、今まで一度も、「訳がまずい」「読みにくい」等という、炎上寸前のコメント・メールは一切ない。むしろ、そっくりそのまま転載して、話題につなげてあるサイトを時々見かけた。

それは、私がうまい訳出をしているからではない。

訳文開始後から今に至るまで、棚に並べてある70冊以上の自分のミニ・ノートには、訳語不統一や他の選択語の可能性や訳文ミスなど、細かくメモが取ってあるが(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20121121)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20160406)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20160905)、とてもじゃない、全体を直す暇も時間もない。それよりも、パイプス先生からは「どんどん訳文を出してね」と注文がついている。

いろいろ言葉に拘るのは、私が国文学科の出身であって、院生時代には、日本語の音声指導や文章表現指導をプロから訓練されたからだ(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20070905)。言語学や比較言語学、対照言語学の講義も受講した(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20161108)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20170526)。翻訳理論や技法については、専門ではないが、延長線上にさまざまな本を読んで(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120508)、ノートやファイルを作成してきた上、翻訳や通訳で仕事をされた方達の講演も伺ってきた(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120314)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120315)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20160912)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20161012)。そして、私の最初の仕事は日本語教育で、国内外の幾つかの大学で何年か外国人に教えてきた。教材や試験問題も作成した。だから、日本語の使い方には、実は結構うるさい方だと思う。何しろ、私の母語であり母国語なのだ。これで教育を受け、仕事をし、暮らしを築いてきた。いい加減に言葉を用いたら、私の人生までいい加減になる。

パイプス訳文については、「読みやすい日本語」よりも「正確さ」を第一にしている(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20160803)。学者を名乗り、シンクタンクを率いている方の文章だから、たとえ読みやすくても、間違っていたらダメだ。そのことは、繰り返し、パイプス先生に伝えている。こまごまとメールで連絡を取っているのは、自分の専門分野ではない中東イスラームと米国外交政策がテーマなので、まずは素人考えで勝手に憶測せずに、基本理解をしっかりと固めたかったことと、原著者の人となりを知らない限り、日本語に移せないからである。

だから、最初の7本が一番難しかった。英文を何日かかけて何度も繰り返して読み直し、米国留学・駐在経験のある主人にも読んでもらって、おそるおそる訳出してみた。英語は読めても、なぜそんなことを書いているのか、どうしてそこでこの語彙を選択しているのか、お会いしたこともない、国籍も民族も言語も性別も年代も宗教も学歴も職歴も全く異なる、雲の上のような方を見上げているだけでは、皆目見当がつかなかったからである。

だが、頭の回転が人の数倍は早く、気の短いパイピシュ先生のこと(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120422)、「まだ訳文が出てないね」とお叱りメールが、(間違えて締切の一日前に)届いたのだった(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120606)。

私の方は、準備万端、その辺りは覚悟ができていたので、負けてはいなかった。

「先生や先生の中東政治に対するお考えに、これほど日本では悪口や否定的な見解が出てきたのです(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20080107)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20091110)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120126)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120521)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20121128)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130920)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20140306)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20140629)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20150513)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20151012)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20151203)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20160222)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20160716)。最初からそんな調子では、到底、太刀打ちできません」。

幸いなことに、その後は徐々に私に合わせてくださるようになり、「他の訳語は全部、翻訳したいという申し出があってのことだけど、日本語だけは例外で、こちらから特別に頼んだ(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120505)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120607)。あんたみたいに、こっちの家族背景まで調べて、旅にも参加して、献身的に勉強しようとする人は、初めてだよ」と言ってくださっている。

しかし、一旦お受けした以上は、最低限、それは礼儀であり、義務であり、務めではないか?これは、日本の伝統的な勤労倫理であって、特別なことではない。私の父の世代までは、日本人ならば皆、当たり前のようにそうしてきたのだった。

特に、機械翻訳があればネット情報は充分だという言語道断が罷り通る時代だからこそ(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120525)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120606)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20160726)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20170124)、尚更、人と同じことをしていてはいけないのだ(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20160905)。

今朝も、少しダグラスさんの著述活動について考えていたが、『欧州の奇妙な死』で綴られている内容そのものは、実はゲートストーン研究所の他の執筆者も重ねて書いてきたことであり(https://www.gatestoneinstitute.org/)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20150528)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20170316)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/archive?word=Gatestone+Institute)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily2/archive?word=%22Gatestone+Institute%22)、このテーマに関心のある人ならば、特に目新しいことではない。

だが、ポイントはそこにはない。この新著は、五月雨式に販売を始めたオーストラリアやアメリカ等の英語圏でも、軒並み上々だ。今も続々とコメントが寄せられ続けている。概ね、好評である。

では、なぜ発売直後に、堂々とベストセラー入りしたのか。しかも、今回が初めてではない。

三十代とまだ若いのに、老若男女に通じる視野の広さと思考の深さ、簡潔かつ巧みな表現力、気の利いたウィットペシミズムを醸し出す泣き笑いのようなユーモア、例証の上手な使い方が特徴として浮かび上がるが、それのみではない。危険な地域へも勇敢に出掛けて、ムスリム移民と直に会話を交わし、考察を深めたプロセス、十年以上も各種会合で積み重ねた堂々たるスピーチディベートの経験等、実直な経験主義に基づく態度が、いかにも懐かしい、古き良き時代の英国人を彷彿とさせるからである。西洋対イスラームという、長期に及ぶ深刻な人類文明史上のテーマと取り組む上で、あのイギリス女王を戴く移民系英語諸国の人々が共有する歴史として、現在進行中の生きた現象として、深く心の琴線に触れるものがあるからである。

この辺り、ちょっと他のジャーナリストには真似ができない、センスと才覚をお持ちなのだ。

以前も書いたように、私は学生時代に記紀万葉から戦前の昭和初期までの国語学と国文学を専攻しながら、同時に、仏文学(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20110224)や独文学(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20110327)を含めて英文学も、と夢中になっていた(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20170327)。だが、さてアメリカ文学となると、どのように理解したらよいのか、どうも馴染めなかった。

英語は、アメリカ式ではなく、英国綴りがいい。90年代の若い時期に計四年間、仕事と勉強で暮らしたマレーシアがそうだったからである。マレーシアで本当に優秀な若者は皆、日本ではなくて英国に留学することが当然視されていたし、まずもって学校制度が英国風だった。エリート向けの寄宿学校も男女別にあり、特に教育州として有名なペラ州のクアラ・カンサーには、「東洋のイートン校」と呼ばれた最も優秀なエリート校があった。(ここへは二度ほど、仕事絡みで訪れたことがあるが、非常に印象的だった。)

従って、事の順序として、何事もやはり大本の英国から学ぶべきだと思っていた。それで、マレーシアにいた頃も、サマーセット・モームや(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20150324チャールズ・ディケンズ等を(当時は首都クアラルンプールでも数少なかった)本屋さんで買い込んでは、仕事の休みの日に、亜熱帯気候と異文化で疲れた体を宥めつつ、次々と読んでいた。

それが私にとってごく自然なのは、今現在、関西に身を置きながら、毎日のように(アメリカよりも遥かに)長い日本の文化史を、空気のように吸って過ごしているからである。

その意味で、ダグラスさんからは、いろいろな意味で大いに刺激され、学ぶ点が多い。

少なくとも昨秋、私はダグラスさんと8日間を共に過ごした(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/archive?word=%A5%C0%A5%B0%A5%E9%A5%B9%A4%B5%A4%F3)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/archive?word=Douglas+Murray)。同じホテルに宿泊し、同じ場所で食事をし、同じバスや飛行機に乗って移動し、同じレクチャーを受け、同じものを見聞し、同じことを経験してきたのだ。そして、思いがけず彼の方から話しかけられ、握手をされ、短く会話を交わした。(「何度かブログに著述を引用させていただきました。よく書けていますね」と、私は言った。)10月1日には、ストックホルムの護衛付き某会場で、目の前でスピーチを聴いたのだ。聴衆の反応も、今でも生き生きと覚えている(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20170123)。

http://itunalily.jp/wordpress/?paged=7


Douglas Murray – Freedom of Speech

Posted on 22/10/2016 by Lily


I was one of the audience at this talk conference in Stockholm. The name of the place was ‘comedy club’. (Lily)


1 October 2016

Freedom of Speech Conference part 5

Svensk Webbtelevision


The conference DANGEROUS WORDS 250 was held in Stockholm on 1 October 2016 to celebrate the 250th anniversary of the Swedish Freedom of the Press Act 1766.

(転載終)

だから、どういう人柄なのかは、大体、察しがつく。

だからこそ、微力ながらも、日本の読者にニュアンスを伝える責任や義務のようなものを感じている。

それにしても、ダグラスさんは凄い才能だ。これは、パイプス先生も公然と認めていらっしゃる。

https://www.facebook.com/ikuko.tsunashima/posts/10212230736998083?notif_t=feedback_reaction_generic&notif_id=1500085208616494

https://blogs.spectator.co.uk/2016/04/labours-anti-semitism-problem-stems-from-its-grassroots/


Labour’s anti-Semitism problem stems from its grassroots

Douglas Murray

28 April 2016


・Of course there are anti-Semitic tendencies in every strain of politics. I could point to a strain within the Conservative tradition. But in the Conservative tradition it is dying. The problem for Labour is that anti-Semitism in their party is a growth industry.


・the more Muslims you have, the more anti-Semitism you have. Of course the party will not admit this. Not least because it goes directly against New Labour’s policy of mass immigration.


・The architects of that grand policy in the late 1990s thought that the more people you brought into Britain the more ‘diverse’, ‘vibrant’ and ‘tolerant’ our society would become. Instead they have imported, among other things, a new generation of racists.


・It’s why you hear so many French accents in Herzliya these days.

(End)

ユーリ:S様、ダグラスさんの表現の巧みさが、ここにも出ているでしょう?

(転載終)

ちなみに、「カカシ夫人」と「S様」は同じ人である。

itunalilyitunalily 2017/07/15 16:39 ダグラスさんのお名前は、発音上は「ダグラス・マリー」だが、日本語のインターネット検索では、既に「ダグラス・マレイ」と出ていたので、それに倣うことにした。

パイプス訳文でも、固有名詞の場合、勝手に自己流にすると、たとえそれが正しかったとしても、検索上で不利になることもある。

また、個人訳の場合、個人名の訳語そのものが間違って流出していることもある。

なかなか厄介だが、そこに拘っていると全く前進できないので、ある程度のところで見切り発車の連続である。

itunalilyitunalily 2017/07/17 16:38 上記のチャールズ・ディケンズだが、本棚からやっと取り出し、アルコールで表紙を拭いて、今手元に置いている。

今はなき「KLヤオハン」の書店で、5.8リンギット(当時で円換算すれば約200円ほど)で買い求めた、と日付も入っている。

ペンギン・ポピュラー・クラシックスの“Hard Times”である。

ヴィクトリア朝の英国の労働者社会を知るには、格好の参考小説だ。

1812年にポーツマスで生まれたチャールズ・ディケンズは、この小説の中で、次のように描く。

I thought I couldn’t know whether it was a prosperous nation or not, and whether I was in a thriving state or not, unless I knew who had got the money, and whether any of it was mine. But that had nothing to do with it. It was not in the figures at all….(p.51)

私には、このような描写を読むと、いかにも英国らしさを感じる。

念のため、これは西洋かぶれだとか、ましてや出羽守だとか、そんな次元とは全く異なることに留意を。

時々、原書を読まない、原書で読めない人が、そういうことを平気で言い出すので....。

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